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F1開幕戦 オーストリアGP、メルセデスのボッタス選手が優勝。レッドブル・ホンダは2台ともリタイア

2020年7月5日 開催

F1 オーストリアGPが開幕。レッドブル・ホンダは残念ながら2台ともリタイア。写真は23号車 アレクサンダー・アルボン選手(c)Getty Images / Red Bull Content Pool

  フォーミュラワン世界選手権(以下、F1)は、3月にオーストラリアで開幕戦を迎える予定だったが、直前にチーム関係者などにCOVID-19(新型コロナウイルス)の感染者が出るなどした結果、金曜日のフリー走行開始直前に中止になるなど混乱の中で延期となった。

 その後スケジュールは大きく見直され、7月3日~5日の3日間にオーストリアのレッドブル・リンクで開幕を迎える新しいスケジュールが組まれ、前半戦は9月上旬に計画されているイタリアGPまで約2か月で8戦という過密スケジュールで行なわれる計画になっている。

 予選ではメルセデスのバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)とルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)が1-2を獲得し、3位にレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が入るなど、メルセデス 対 レッドブル・ホンダという構図でシーズンがスタートすることになった(その後ハミルトン選手は予選での黄旗無視を取られて3グリッド降格ペナルティ)。

 現地時間14時10分にスタートしたレースでは、2台のメルセデスはセンサーのトラブルなどもあり全力を発揮できない状況。しかし、それを追いかけるレッドブル・ホンダもマシントラブルと、接触などにより後退し、フェルスタッペン選手、アルボン選手の両車ともリタイアになってしまった。3位はランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・ルノー)が初めての表彰台を獲得した。

F1 開幕戦 オーストリアGPを優勝したのは、77号車 バルテリ・ボッタス選手(メルセデス)

予選ではメルセデス、レッドブル・ホンダが上位に。マクラーレン、レーシングポイントが躍進もフェラーリは後退

 今回のオーストリアの開幕戦では、2019年の王者であるメルセデスの強さが光るレースとなった。3回あった練習走行はすべてメルセデス勢が1-2を奪うなどしており、予選でもバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)、ルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)が1-2を奪ってみせた。

 注目のレッドブル・ホンダ勢は、マックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が3位、アレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が5位と上々の滑りだしとなった。さらに、レース直前になってハミルトン選手が予選で出されていた黄旗を無視したとして3グリッド降格ペナルティとなり、それぞれ2位と4位に繰り上がってスタートすることになった。

 この予選で注目を集めたのは、2019年のタイトルコンテンダーだったフェラーリ勢の不振だ。昨年のタイムから1秒近くタイムが遅くなっており、シャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)が7位、セバスチャン・ベッテル選手(5号車 フェラーリ)が11位となっており、ユーザーチームとなるハース、アルファロメオ共々下位に沈んでしまった。

 予選3位はランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・ルノー)、6位はセルジオ・ペレス選手(11号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)の2台。中段勢の争いは激しくなるばかりだが、レーシングポイントとマクラーレンの2台が牽引していくシーズンになりそうだ。

 ホンダ勢のもう1チームとなるアルファタウリ・ホンダ(昨年までのトロロッソから改名)は、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が予選12位、ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)が13位となり、ポイント獲得に期待ができるポジションを確保した。

波乱の決勝レースを2台のレッドブル・ホンダはリタイア、優勝はメルセデスのボッタス選手

 スタートではポールからスタートしたバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)が1コーナーでトップを維持し、そのまま抜け出した。2位は2番手グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)、上位勢の中で唯一のミディアムタイヤを履いてスタートしたこともあり、タイヤの暖まりに課題があるかとみられたが、序盤は無事に2位を維持した。

 3位は3番手からスタートしたランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・ルノー)。序盤は3番手を維持したが、その後、後ろから来たアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)とルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)の2台にオーバーテイクされた。

 これでレースはメルセデスが1-4、レッドブル・ホンダが2-3という4台により争われることになった。ここでハミルトン選手は、アルボン選手に引っかかり容易にオーバーテイクできず、9周目までハミルトン選手を押さえ込んだことで、レースはディフェンディング・チャンピオンにやや不利な形になった。

 ところが12周目、レッドブル・ホンダのエースであるフェルスタッペン選手が1コーナーを過ぎた辺りで、アンチストールモードに入ってしまうというトラブルが発生し、ピットまで戻ってステアリングを替えたりしたが、直ることはなくそのままリタイアとなってしまった。

序盤でリアイアとなったレッドブル・ホンダのエース フェルスタッペン選手(c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 レースは26周目にケビン・マグネッセン選手(20号車 ハース・フェラーリ)がランオフエリアに飛び出して止まってしまった影響でセーフティカーが出て、ピットストップをしていなかった車両全車がピットイン。これで全車既定のストップを終えたことになり、後はコースでの争いになった。

 31周目にレース再開されると、8位を走っていたセバスチャン・ベッテル選手が前を行くカルロス・サインツ選手(55号車 マクラーレン・ルノー)を抜こうとしてスピン、これで同一ラップの最後尾に回ることになった。2台のアルファタウリ・ホンダが8位と9位に上がり、2台ともポイント圏内へと浮上することになった。

 レースは2台のメルセデス、レッドブル・ホンダのアルボン選手が3位となり、徐々にアルボン選手が離されていく展開になり、2台のメルセデスよるトップ争いが展開されることになった。メルセデスの2台は互いにファステストラップを更新する速さで激しいトップ争いを展開した

終盤のセーフティカーによる混乱の中、ランド・ノリス選手が初めての表彰台を獲得

 レースはそのまま終わりを迎えるのかと思いきや、ジョージ・ラッセル選手(63号車 ウイリアムズ・メルセデス)がパワーユニットトラブルでストップすると再びセーフティカーが出る。メルセデス勢は2台ともステイアウトしたのに対して、3位だったレッドブル・ホンダのアルボン選手はタイヤをソフトタイヤに切り替えるためにピットストップした。4位だったペレス選手が入らなかったので4位には落ちたが、新しいタイヤで勝負に出た。メルセデス2台はセンサー類に不安があり、全力を出せない状況。

 セーフティカーが解除されたかと思った周にはキミ・ライコネン選手(7号車 アルファロメオ・フェラーリ)の右フロントタイヤが脱落するというトラブルが発生し、再びセーフティカー。そのままの順位で暫くレースはセーフティカー先導で行なわれた。

 残り9周でレース再開。アルボン選手が2位のハミルトン選手に襲いかかる。しかし、コーナーでハミルトン選手の右フロントとアルボン選手の左リアが接触し、アルボン選手はスピン。これでレッドブル・ホンダは2台とも脱落となってしまった。ハミルトン選手にはその接触により5秒加算のタイムペナルティが出されることになった。アルボン選手はその後パワーユニットトラブルでリタイア(記録上は13位完走扱い)になった。

 優勝したのはメルセデスのボッタス選手、2位は厳しい予選から追い上げたフェラーリのシャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)、3位は5秒ペナルティのハミルトン選手との差を最後4.7秒差まで縮めて自身初の表彰台を獲得したマクラーレンのノリス選手。4位はハミルトン選手、5位はノリス選手のチームメイトであるサインツ選手となった。

F1 開幕戦 オーストリアGP 順位表
順位カーナンバードライバー車両周回数タイム/差
177Valtteri Bottasメルセデス711時間30分55秒739
216Charles Leclercフェラーリ71+2.700s
34Lando Norrisマクラーレン・ルノー71+5.491s
444Lewis Hamiltonメルセデス71+5.689s
555Carlos Sainzマクラーレン・ルノー71+8.903s
611Sergio Perezレーシングポイント・BWT・メルセデス71+15.092s
710Pierre Gaslyアルファタウリ・ホンダ71+16.682s
831Esteban Oconルノー71+17.456s
999Antonio Giovinazziアルファロメオ・レーシング・フェラーリ71+21.146s
105Sebastian Vettelフェラーリ71+24.545s
116Nicholas Latifiウイリアムズ・メルセデス71+31.650s
1226Daniil Kvyatアルファタウリ・ホンダ69DNF
1323Alexander Albonレッドブル・レーシング・ホンダ67DNF
NC7Kimi Räikkönenアルファロメオ・レーシング・フェラーリ53DNF
NC63George Russellウイリアムズ・メルセデス49DNF
NC8Romain Grosjeanハース・フェラーリ49DNF
NC20Kevin Magnussenハース・フェラーリ24DNF
NC18Lance Strollレーシングポイント・BWT・メルセデス20DNF
NC3Daniel Ricciardoルノー17DNF
NC33Max Verstappenレッドブル・レーシング・ホンダ11DNF