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F1第16戦サヒールGP、レーシングポイントのセルジオ・ペレス選手が初優勝 ホンダ勢最上位はアルボン選手の6位

2020年12月6日 決勝開催

ホンダ勢最高位の6位でゴールするアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1第16戦サヒールGPが12月4日~6日(現地時間)、バーレーン王国サヒールにあるバーレーン国際サーキットで開催された。COVID-19の感染拡大によりスケジュールが大幅変更されたことを受け、このサヒールGPはバーレーン国際サーキットにおいて2週連続で開催されている。

 ただし、決勝レースのスタート時刻が日本時間23時10分(現地時間17時10分)から日本時間25時10分(現地時間20時10分)に変更され、トワイライトレースから本格的なナイトレースへ変更されたほか、これまでF1には使われたことがなかった外周路(3.543km)を利用するレイアウトに変更されており、同じサーキットながら先週とは異なるレースになることが期待されていた。

 メルセデスのルイス・ハミルトン選手がCOVID-19のPCR検査で陽性(ただし症状は重くない)になり、この週末は欠場を強いられることになったことも明らかにされ、その代役として今シーズンはウイリアムズでレギュラーとして走ってきたジョージ・ラッセル選手(63号車 メルセデス)が起用され、ラッセル選手は予選2位を獲得して大きな注目を集めた。

 ポールポジションからスタートするのは、チームメイトとなるバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)で、予選3位はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)。決勝レースは、この3台の優勝争いとなることが予想された。

 レースはメルセデス2台が独走していたが、終盤にセーフティカーが出たタイミングで、トップを独走してきたラッセル選手には間違ったタイヤセットを、ボッタス選手には同じタイヤをつけて出すというミスにより順位を下げるなか、1周目にクラッシュに巻き込まれて最後尾に落ちながら実質1ストップを成功してトップに立ったセルジオ・ペレス選手(11号車 レーシングポイントBWTメルセデス)が優勝した。

 2位はエステバン・オコン選手(33号車 ルノー)、3位はペレス選手のチームメイトであるランス・ストロール選手(18号車 レーシングポイントBWTルノー)。

 ホンダ勢はマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が1周目にリタイア、アレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が6位、ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)が7位、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が11位となった。

レースは序盤からメルセデス2台が支配、ジョージ・ラッセル選手が2位スタートからトップ独走

ジョージ・ラッセル選手(63号車 メルセデス)

 レースでは2番手グリッドからスタートしたジョージ・ラッセル選手(63号車 メルセデス)が抜群のスタートで1コーナーにトップで入っていく。2位はチームメイトのバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)だが、2コーナーでハーフスピンのような状況になり、そのボッタス選手にセルジオ・ペレス選手(11号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)、シャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)、マックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)の3台が襲いかかる。

 ルクレール選手がペレス選手の左タイヤに接触する形で突っ込み、フェルスタッペン選手は避けきれず壁にクラッシュ、これでリタイアとなってしまった。ルクレール選手もペレス選手との接触で左フロントタイヤを壊して、こちらもリタイアとなる。その結果セーフティカーが出された。

 セーフティカーがピットに戻るとレースをリードするのはラッセル選手、2位はボッタス選手。ラッセル選手は、2位を走るボッタス選手をすぐ引き離し、DRS圏外の1秒以上にしてレースをリードする。ラッセル選手はボッタス選手に対しすぐに2秒、レースの1/3が過ぎるころには3秒の差をつける。

 メルセデスの2台と3位以下は、ピットストップ1回以上の差がついており、どちらが勝つのかという状況になった。

ピットストップも問題なくこなしたメルセデス勢、優勝するかに見えた……。

 30周前後に5位だったクビアト選手がピットストップに入る。その翌周に3位だったサインツ選手がピットに入りクビアト選手をカバーにしにいくが、4位のリカルド選手はピットインのタイミングを逃してクビアト選手にアンダーカットされてしまう。

 3位以下のドライバーがタイヤを交換する中、レースの折り返しを迎えた46周目、トップを走るメルセデスのラッセル選手がタイヤを交換、ハードタイヤに交換したことで、メルセデス勢は1ストップが確定。その2周後にボッタス選手がピットに入り、ラッセル選手、ボッタス選手の順になる。

 2台の差は8秒に開いており、どちらかのクルマに何かが起こらない限り1位と2位は変わらないと思われた。

 3位争いはマクラーレンのサインツ選手がリードしているが、そのグループの後方を走っていたガスリー選手は53周目にメディアムからハードへとタイヤ交換。ソフトからミディアムへと交換して3位争いをしている各車はミディアムで走りきることは難しく、もう一度交換が必要なようだ。

 ところが55周目にウイリアムズのニコラス・ラティフィ選手(6号車 ウイリアムズ・メルセデス)がコース脇にストップしたことでバーチャルセーフティカー(VSC)が出され、それに合わせてサインツ選手以下のドライバーがピットに入るが、ピットに入る前にVSCは解除されることになり、ルノーのリカルド選手はクビアト選手をオーバーカットすることに成功した。

 3位争いの上位に立ったのは1周目のクラッシュに巻き込まれてタイヤをパンクし、最下位から追い上げたペレス選手。ペレス選手は1周目の終わりにパンクしたタイヤを交換し、すぐにソフトからミディアムへと交換し、そしてミディアムからハードへ交換して盛り返してきたのだ。

エイトキン選手の事故によりセーフティカー。メルセデス勢がピットストップミス

 62周目にこのレースがデビューレースのジャック・エイトキン選手(89号車 ウイリアムズ・メルセデス)が最終コーナーでクラッシュし、バーチャルセーフティカー、そしてセーフティカーが出される。

 これで、メルセデスの2台はダブルピットストップを実施。ラッセル車は問題なくピットアウトしたが、ボッタス選手はピットでタイヤ交換したが、さらに外したあげく再び元のタイヤを付け直すというドタバタで4位に順位を下げることになった。

 また、ラッセル選手は翌周チームから「ミックスされたセット」を付けたという連絡があり、再びピットストップしてタイヤ交換を行ない、5位に順位を下げることになった。

 これでトップにたったのはレーシングポイントのペレス選手、2位オコン選手、3位ストロール選手、そして4位と5位にボッタス選手とラッセル選手のメルセデス勢となっている。

 レースが再開されたのは69周目。ペレス選手は徐々に2位のオコン選手を引き離し始める。70周目にラッセル選手が、ミスをしたチームメイトのボッタス選手を目の覚めるようなオーバーテイク。その前を走るのはいずれもタイヤを使い古しているレーシングポイントの2台とルノーのオコン選手だ。その翌々周の1コーナーではストロール選手を1コーナーで抜いて3位に。その翌周の73周目にはルノーのオコン選手を抜いて2位に上がる。これで残るは3.3秒先を行くペレス選手のみとなった。

 残り10周はペレス選手をラッセル選手が追い詰めていく展開に。その後ろではタイヤを交換できなかったボッタス選手が徐々に順位を下げる。ところが、サーキットにはメルセデスがラッセル選手に対してピットインを求める無線が。なんと、79周目ラッセル選手のタイヤがパンクし、タイヤを交換することに。ラッセル選手は、ほぼ最後尾まで下がることになった。

 この結果ペレス選手は2位に8秒以上と大きな差をつけてトップを独走し、結局そのまま優勝した。メキシコ人ドライバーとしては1970年のペドロ・ロドリゲス(故人)以来の優勝。2位はルノーのオコン選手、3位はストロール選手で、レーシングポイントは1-3フィニッシュ。4位はマクラーレンのサインツ選手、5位はルノーのリカルド選手。6位はレッドブル・ホンダのアルボン選手、7位はアルファタウリ・ホンダのクビアト選手となった。

F1第16戦サヒールGP 決勝結果
順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
111セルジオ・ペレスレーシングポイント・BWT・メルセデス871時間31分15秒11425
231エステバン・オコンルノー87+10.518秒18
318ランス・ストロールレーシングポイント・BWT・メルセデス87+11.869秒15
455カルロス・サインツマクラーレン・ルノー87+12.580秒12
53ダニエル・リカルドルノー87+13.330秒10
623アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ87+13.842秒8
726ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ87+14.534秒6
877バルテリ・ボッタスメルセデス87+15.389秒4
963ジョージ・ラッセルメルセデス87+18.556秒3
104ランド・ノリスマクラーレン・ルノー87+19.541秒1
1110ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ87+20.527秒0
125セバスチャン・ベッテルフェラーリ87+22.611秒0
1399アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ87+24.111秒0
147キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ87+26.153秒0
1520ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ87+32.370秒0
1689ジャック・エイトケンウイリアムズ・メルセデス87+33.674秒0
1751ピエトロ・フィッティパルディハース・フェラーリ87+36.858秒0
NC6ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス52DNF0
NC33マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ0DNF0
NC16シャルル・ルクレールフェラーリ0DNF0
ドライバーズランキング F1第16戦サヒールGP終了時
順位ドライバー車両ポイント
1ルイス・ハミルトンGBRメルセデス332
2バルテリ・ボッタスFINメルセデス205
3マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ189
4セルジオ・ペレスMEXレーシングポイント・BWT・メルセデス125
5ダニエル・リカルドAUSルノー112
6シャルル・ルクレールMONフェラーリ98
7カルロス・サインツESPマクラーレン・ルノー97
8アレクサンダー・アルボンTHAレッドブル・レーシング・ホンダ93
9ランド・ノリスGBRマクラーレン・ルノー87
10ランス・ストロールCANレーシングポイント・BWT・メルセデス74
11ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ71
12エステバン・オコンFRAルノー60
13セバスチャン・ベッテルGERフェラーリ33
14ダニール・クビアトRUSアルファタウリ・ホンダ32
15ニコ・ヒュルケンベルグGERレーシングポイント・BWT・メルセデス10
16キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ4
17アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ4
18ジョージ・ラッセルGBRメルセデス3
19ロマン・グロージャンFRAハース・フェラーリ2
20ケビン・マグネッセンDENハース・フェラーリ1
21ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス0
22ジャック・エイトケンGBRウイリアムズ・メルセデス0
23ピエトロ・フィッティパルディBRAハース・フェラーリ0
コンストラクターズランキング F1第16戦サヒールGP終了時
順位チームポイント
1メルセデス540
2レッドブル・レーシング・ホンダ282
3レーシングポイント・BWT・メルセデス194
4マクラーレン・ルノー184
5ルノー172
6フェラーリ131
7アルファタウリ・ホンダ103
8アルファロメオ・レーシング・フェラーリ8
9ハース・フェラーリ3
10ウイリアムズ・メルセデス0