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F1第15戦バーレーンGP、レッドブル・ホンダが2位と3位で表彰台獲得 優勝はメルセデスのハミルトン選手
2020年11月30日 02:40
- 2020年11月29日 決勝開催
F1第15戦バーレーンGPが11月27日~29日の3日間にわたりバーレーン王国のバーレーン国際サーキットにおいて開催された。11月29日には決勝レースが行なわれた。
レースはスタートしてすぐ、ロマン・グロージャン選手(8号車 ハース・フェラーリ)が2コーナーの先でマシンのモノコックとパワートレインが千切れるほどの大クラッシュとなり、火も出たため赤旗中断。グロージャン選手は病院に搬送されたが命に別状はなく、大きな怪我もなかったことは不幸中の幸いだったが、その衝撃によって壊れたガードレールを修復するために1時間半以上レースが中断した。
レース再開後もランス・ストロール選手(18号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)の車両がひっくり返るクラッシュが発生しセーフティカーが導入されるなど荒れた序盤のレースとなった。
その後レースが再開されると、ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)が安定したレースでゴールまで走り、そのまま優勝した。2位は予選3位からスタートしたマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)。
3位は予選5位からスタートで3位に上がってそれを終盤まで守ったセルジオ・ペレス選手(11号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)が入るかと思われたが、残り数周でエンジンブローでリタイアとなり、4位を走っていたアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が3位に上がり表彰台にレッドブル・ホンダの2人が入ることになった。2019年にレッドブルとホンダがパートナーとなってから初めてだ。
ほかのホンダ勢はピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が6位、ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)は11位。
レーススタート後すぐにロマン・グロージャン選手が大クラッシュ。ガードレールに突き刺さり赤旗中断
すでにF1のタイトルはドライバーズ選手権も、コンストラクターズ選手権もチャンピオンが決定している。そうした中でも前戦にタイトルを決めたメルセデスのルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)はアクセルを緩めるつもりはなく、11月27日に行なわれた予選ではポールポジションをゲット。それに続いたのはチームメイトのバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)で、3位、4位にはマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)、アレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が続いており、メルセデスとレッドブルを中心にしたレースになりそうだ。
そしてその後ろにはレーシングポイント、ルノー、アルファタウリ・ホンダ、マクラーレン、フェラーリなどのコンストラクターズ選手権の3位を争っているチームが続いており、誰が「ベストオブレスト」となる3位争いで優位に立つのか注目が集まる所だ。
ところがそのスタートでは、いきなり大事故が発生する。予選2番手のボッタス選手が大きく出遅れ、そのあおりを食らって4番手スタートのアルボン選手も出遅れ、予選5位からスタートしたセルジオ・ペレス選手(11号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)が3位に上がる。
ところが、2コーナーを抜けたところで、大クラッシュが発生。クラッシュしたのはロマン・グロージャン選手(8号車 ハース・フェラーリ)で、マシンからは大きな炎が出る様子がテレビで映し出され、グロージャン選手の状況が心配されたがマシンから降りてマーシャルカーに乗せられている状況が映し出され、安堵が広がった。
チームのTwitterでの発表によれば、グロージャン選手は肘と膝に軽いやけどがあり肋骨の骨折などが疑われるものの、医者のチェックでは総じて問題はなく、念のため検査のために病院へいくという状況だと説明された。
We are so thankful that Romain Grosjean was able to walk away from this. We did not need a reminder of the bravery and brilliance of our drivers, marshals, and medical teams, nor of the advances in safety in our sport, but we truly got one today#BahrainGP🇧🇭#F1pic.twitter.com/z8OeTU5Nem
— Formula 1 (@F1)November 29, 2020
その後映し出されたクラッシュ映像では、グロージャン選手が前の混乱を避けようと右側にステアリングを切ったところにダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)がいてグロージャン選手の右リアとクビアト選手の左リアとが接触し、その後ガードレールにぶつかりマシンが真っ二つになり、ガソリンが入ったタンクが壊れて出火する大きなクラッシュになった。
リプレイ映像では、モノコックがガードレールに埋まり、グロージャン選手は炎とガードレールの隙間から間一髪脱出する様子が映っていた。壊れたガードレールとそのガードレールに埋まった様子からは、ドライバーのいるコックピットをHaloが守ったことがうかがわれ、ドライバーの安全性の為にHaloが有効であることが再び証明された形だ。
#BahrainGPred flagged as Romain Grosjean escapes big crash on Lap 1#F1
— Formula 1 (@F1)November 29, 2020
レースは赤旗中断となり、セーフティカーを先頭にして全車ピットレーンに停車することになった。グロージャン選手がクラッシュしたガードレールは大破したため、急遽修復が行なわれることになり、それが終了するまではレースの再開は延期されることになった。
約1時間半の中断後にリスタートしたが、再びストロール選手のクラッシュでセーフティカー導入
結局レースは現地時間18時35分(日本時間11月30日午前0時35分)に再開することが発表され、実際に18時35分から再開された。現在のF1のルールではセーフティカーからの再開時にはセーフティカーに先導されて1周してから、グリッドに整列してのリスタートとなる。この時点での順位はスタートしてすぐの所にあるセーフティーカーライン2を通過した結果に変更され、ハミルトン選手、2位はフェルスタッペン選手、3位ペレス選手、4位はボッタス選手、5位はアルボン選手、6位はダニエル・リカルド選手(3号車 ルノー)、7位はランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・ルノー)、8位はエステバン・オコン選手(31号車 ルノー)、9位はピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)、10位はセバスチャン・ベッテル選手(5号車 フェラーリ)というトップ10になった。
セーフティカー先導で始まった2周目の終わりに全車グリッドについて、再びスタートが切られた。2回目のスタートでも、ハミルトン選手が抜群のスタートを切り、トップのまま1コーナーに入っていき、2位はフェルスタッペン選手、3位はペレス選手、4位ボッタス選手、5位アルボン選手というグリッドでの順位順にコーナーに入っていった。しかし、ランス・ストロール選手(18号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)がクビアト選手とクラッシュしてひっくり返った影響で再びセーフティカーが出されて、再びレースは水入りとなった。ストロール選手はすぐに車から這い出して救出され体には問題はなさそうだが、ストロール選手の車両を排除するために、再び時間がかかることになった。なお、このクラッシュはクビアト選手側に非があると判断され、クビアト選手には10秒のタイムペナルティが出された。
セーフティカーがでた翌周に4位を走っていたボッタス選手がピットインして、ミディアムタイヤからハードタイヤに交換することになった。どうもコース上にあったデブリがタイヤにあたってスローパンクチャーを起こし、急遽ハードタイヤに交換することになった。残りの距離をハードとミディアムで走るという固定された作戦で走る必要が出てきたほか、下位に沈んでしまったのでここから追い上げないといけない状況になってしまった。これでアルボン選手にすれば自動的に4位にあがることができたため、前を走るペレス選手をオーバーテイクできれば表彰台が狙える絶好のポジションだ。
9周目にセーフティカーはピットに戻りレース再開。ハミルトン選手、フェルスタッペン選手、ペレス選手、アルボン選手、ノリス選手、オコン選手、シャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)、カルロス・サインツ選手(55号車 マクラーレン・ルノー)、リカルド選手、ガスリー選手の順でレースは落ち着きを見せ始めた。この中で最初に順位を下げていったのはフェラーリのルクレール選手で、徐々に抜かれていき、サインツ選手、リカルド選手、ガスリー選手に10位まで順位を下げる。チームメイトのベッテル選手もずるずると順位を下げており、フェラーリには厳しいレースになってしまっていた。昨年ルクレール選手は終盤までトップを走っていたこのサーキットでこの惨状。フェラーリには辛い時期がまだ続いているようだ。
レース終盤にレーシングポイントのペレス選手がパワーユニットのトラブルでストップ、アルボン選手が繰り上がって3位に
膠着したレースの中で最初に動いたのはルノー勢。リカルド選手が17周目に、オコン選手が18周目にタイヤ交換を行なった。それに続いて、クビアト選手とライコネン選手がピットインし、クビアト選手は10秒のタイムペナルティを消化し、ライコネン選手は壊したフロントウイングを交換した。
その後、20周目にトップのハミルトン選手もタイヤ交換に入る、その後4位のアルボン選手もピットに入り、どちらもミディアムタイヤからミディアムタイヤへと交換を行なう。このため両ドライバーともにミディアム-ミディアムーハードの2ストップであることがこの時点で判明した。その翌周にフェルスタッペン選手とペレス選手がピットに入り、こちらの二人はミディアムからハードに乗り換えた。この時点でハミルトン選手/アルボン選手と、フェルスタッペン選手/ペレス選手でタイヤ戦略の選択が分かれたことになる。
トップ4台は1位のハミルトン選手と2位のフェルスタッペン選手が5秒差、3位のペレス選手と4位のアルボン選手の差が4秒と、レッドブル・ホンダの2台はなかなか直近のライバルに追いつけない状況が続くことになる。その後ろではマクラーレン・ルノーとルノーというコンストラクターズ選手権を、レーシングポイントを含めて争っている2チームが、マクラーレンは5位と6位、ルノーが7位と8位で続いている。両チームにすれば残り3戦でレーシングポイントを抜いて3位に上がるためには、このレースの結果が重要になるため、激しい争いが展開されている。
35周目にレッドブル陣営が動く。フェルスタッペン選手とアルボン選手が相次いでピットストップしてハードタイヤに交換。これで最後まで走る作戦だ。その翌周にハミルトン選手もピットに入り、ハードタイヤに交換して、こちらも最後まで走る作戦だ。その翌周にペレス選手もピットに入り、これで上位4台はハミルトン選手、フェルスタッペン選手、ペレス選手、アルボン選手で順位が確定することに。あとはコース上で決着をつけるだけという状態になった。
そして残り10周となった47周目、フェルスタッペン選手は再びミディアムタイヤに交換し勝負に出る。3位を走っていたペレス選手とは28秒近い差があったので順位を失うことなくピットインできるためだ。そのタイヤでファステストラップも記録し、これでファステストラップポイントを1点取れることになる。
レース終盤の見所は6位を走るアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手。ガスリー選手は赤旗中断時のピットインを別にして、一度のピットストップで済ませており、今回のレースでそれを成功させたのはガスリー選手ぐらいという状況だ。しかし、後ろからはマクラーレンのサインツ選手、ルノーのリカルド選手、メルセデスのボッタス選手というよりタイヤ履歴が少ない車両に追いかけられており、どこまでそれに耐えられるかがレース終盤の焦点となった。
51周目にサインツ選手がガスリー選手を抜くと、リカルド選手もガスリー選手に近づき追い越せるかと思った瞬間、55周目、コース上では信じられない光景が現出していた。3位を走っていたペレス選手がエンジンブローと見られるパワーユニット系のトラブルでコース脇にマシンを停める。それによりセーフティカーが出され、レースはセーフティカーのまま終了してチェッカーを迎えた。
優勝したのはメルセデスのルイス・ハミルトン選手、2位はフェルスタッペン選手、3位はアルボン選手となり、レッドブル・ホンダは2位、3位と19年からパートナーシップを組んでから初めて2台同時に表彰台となった。
4位はマクラーレンのノリス選手、5位はサインツ選手で、レーシングポイントが2台ともノーポイントとなったため(ペレス選手は完走扱い)、これでマクラーレンはレーシングポイントを逆転してコンストラクターズ選手権で3位に上がった。アルファタウリ・ホンダのガスリー選手が6位、ルノーのリカルド選手が7位、メルセデスのボッタス選手が8位、ルノーのオコン選手が9位、フェラーリのルクレール選手が10位となり、ここまでがポイント獲得となった。
F1第15戦バーレーンGP 決勝結果
順位 | 号車 | ドライバー | 車両 | 周回数 | タイム | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 57 | 2時間59分47秒515 | 25 |
2 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・レーシング・ホンダ | 57 | +1.254秒 | 19 |
3 | 23 | アレクサンダー・アルボン | レッドブル・レーシング・ホンダ | 57 | +8.005秒 | 15 |
4 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン・ルノー | 57 | +11.337秒 | 12 |
5 | 55 | カルロス・サインツ | マクラーレン・ルノー | 57 | +11.787秒 | 10 |
6 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ・ホンダ | 57 | +11.942秒 | 8 |
7 | 3 | ダニエル・リカルド | ルノー | 57 | +19.368秒 | 6 |
8 | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 57 | +19.680秒 | 4 |
9 | 31 | エステバン・オコン | ルノー | 57 | +22.803秒 | 2 |
10 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 56 | +1周 | 1 |
11 | 26 | ダニール・クビアト | アルファタウリ・ホンダ | 56 | +1周 | 0 |
12 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウイリアムズ・メルセデス | 56 | +1周 | 0 |
13 | 5 | セバスチャン・ベッテル | フェラーリ | 56 | +1周 | 0 |
14 | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウイリアムズ・メルセデス | 56 | +1周 | 0 |
15 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 56 | +1周 | 0 |
16 | 99 | アントニオ・ジョビナッツィ | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 56 | +1周 | 0 |
17 | 20 | ケビン・マグネッセン | ハース・フェラーリ | 56 | +1周 | 0 |
18 | 11 | セルジオ・ペレス | レーシングポイント・BWT・メルセデス | 53 | DNF | 0 |
NC | 18 | ランス・ストロール | レーシングポイント・BWT・メルセデス | 2 | DNF | 0 |
NC | 8 | ロマン・グロージャン | ハース・フェラーリ | 0 | DNF | 0 |
ドライバーズランキング F1第15戦バーレーンGP終了時
順位 | ドライバー | 国 | 車両 | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | ルイス・ハミルトン | GBR | メルセデス | 332 |
2 | バルテリ・ボッタス | FIN | メルセデス | 201 |
3 | マックス・フェルスタッペン | NED | レッドブル・レーシング・ホンダ | 189 |
4 | ダニエル・リカルド | AUS | ルノー | 102 |
5 | セルジオ・ペレス | MEX | レーシングポイント・BWT・メルセデス | 100 |
6 | シャルル・ルクレール | MON | フェラーリ | 98 |
7 | ランド・ノリス | GBR | マクラーレン・ルノー | 86 |
8 | カルロス・サインツ | ESP | マクラーレン・ルノー | 85 |
9 | アレクサンダー・アルボン | THA | レッドブル・レーシング・ホンダ | 85 |
10 | ピエール・ガスリー | FRA | アルファタウリ・ホンダ | 71 |
11 | ランス・ストロール | CAN | レーシングポイント・BWT・メルセデス | 59 |
12 | エステバン・オコン | FRA | ルノー | 42 |
13 | セバスチャン・ベッテル | GER | フェラーリ | 33 |
14 | ダニール・クビアト | RUS | アルファタウリ・ホンダ | 26 |
15 | ニコ・ヒュルケンベルグ | GER | レーシングポイント・BWT・メルセデス | 10 |
16 | キミ・ライコネン | FIN | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 4 |
17 | アントニオ・ジョビナッツィ | ITA | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 4 |
18 | ロマン・グロージャン | FRA | ハース・フェラーリ | 2 |
19 | ケビン・マグネッセン | DEN | ハース・フェラーリ | 1 |
20 | ニコラス・ラティフィ | CAN | ウイリアムズ・メルセデス | 0 |
21 | ジョージ・ラッセル | GBR | ウイリアムズ・メルセデス | 0 |