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F1第5戦 70周年記念GP、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が今季初優勝 メルセデス勢は2位、3位に

2020年8月9日 決勝

F1 70周年記念GP。今シーズンホンダに初優勝をもたらしたマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・ホンダ) (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1世界選手権(以下F1) 第5戦となる70周年記念GPが、8月7日~9日(現地時間)の3日間にわたり、イギリス・シルバーストーンサーキットで開催された。この70周年GPは新型コロナウイルスの感染拡大に伴うスケジュール変更により、シルバーストーンで2週連続開催されたもので、F1が1950年の初開催から70周年になることを記念して「70周年記念GP」と名付けられた。

 シルバーストーンでの2つめのレースとなるこのGPでは、同じソフト、ミディアム、ハードのタイヤだが、それぞれタイヤが1ランク柔らかいタイヤに割り当てが変更されており、先週のイギリスGPでは終盤にパンクが相次ぐなどしたタイヤへの対応が鍵となるレースになると考えられてきた。

 そうした中優勝したのはレッドブル・ホンダのエースであるマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)。昨年のブラジルGP以来の優勝で、今季初優勝。予選では4位となっていたが、予選2回目(Q2)でハードタイヤでタイムを出してハードタイヤでスタートしたことで、タイヤマネージメントをうまくやり、タイヤの劣化に苦しむ2台のメルセデスをピット作戦で追い抜き優勝した。2位、3位はルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)、バルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)との2台のメルセデス。

 ほかのホンダ勢は予選9位から追い上げたレッドブル・ホンダのもう1台アルボン選手が5位、アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアト選手(28号車 アルファタウリ・ホンダ)が10位とホンダパワーユニットは3台が入賞することになった。

予選2回目をハードタイヤでタイムを出したことが作戦の幅を広げることになったレッドブル・ホンダ

レース序盤の戦い (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 今回のレースでは、先週のイギリスGPで使われたミディアムタイヤがハードに、ソフトタイヤがミディアムに、そしたソフトタイヤはさらに柔らかいタイヤになって、このタイヤをうまく使うことがレースの鍵となる。そうした中、レッドブル・ホンダのエースであるマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は予選2回目(Q2)においてハードタイヤでタイムを出し、トップ10の中で唯一のハードタイヤスタートとなるため、第1スティントを伸ばすことが可能になるため、作戦によっては有利になると考えられる。

 そうした中、フロントローのバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)とルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)のメルセデス勢は順当にグリッド順にスタートしたが、4位スタートのフェルスタッペン選手は、予選3位のニコ・ヒュルケンブルグ選手(27号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)を抜きスタートで3位に上がり、メルセデスを追いかけるが、序盤はフェルスタッペン選手は徐々にメルセデスの2台に引き離されていく、先週のイギリスGPと同じような展開になっていった。
 中段勢の争いは、4位のヒュルケンブルグ選手、スタートで5位に上がったランス・ストロール選手(18号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)、6位がダニエル・リカルド選手(3号車 ルノー)、7位にピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)、8位にランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・ルノー)、9位にアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)という順位。

 こうした中で一番最初に動いたのは、ホンダ勢。アルボン選手が6周目、ガスリー選手が7周目に、スタートタイヤのミディアムからハードに交換し、前を走る選手をアンダーカットする戦略に出る。だが前をいくキミ・ライコネン選手(7号車 アルファロメオ・レーシング・フェラーリ)などに引っかかり、アンダーカット作戦は成功しなかった。

 その後、トップ勢はトップを走るボッタス選手、2位を走るハミルトン選手というメルセデス勢はミディアムタイヤの劣化に苦しみ、徐々にフェルスタッペン選手が2台のメルセデス勢に近づいていく。ハミルトン選手は無線で「リアタイヤが終わった」とチームに告げるなどタイヤを苦しんでいる様子が窺えた。そこからフェルスタッペン選手はハミルトン選手に猛チャージ。するとボッタス選手がまずピットに入りハードタイヤに交換、翌周にはハミルトン選手もピットに入る。これで、フェルスタッペン選手がトップに立つ。

タイヤの厳しくなったメルセデスの2台に打ち勝ち、レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が今季初優勝

 そのタイヤを交換したメルセデス勢がタイヤ交換後にどんどんと差を詰めてくるのかと思いきや、ハードタイヤに交換したメルセデス勢はすぐにタイヤがブリスターが発生しタイヤが厳しくなってきたようで、むしろ同じハードタイヤで履歴が古いフェルスタッペン選手に引き離され始める。それに対してフェルスタッペン選手はスタートから20周以上履いたタイヤでも自己ベストをマークして、むしろメルセデス勢を引き離していく。

 そうした中で、フェルスタッペン選手はピットのロスタイム分の19秒差を稼いだところで27周目にピットストップしミディアムタイヤに交換する。しかし、左リアの交換にやや戸惑い、通常よりも1秒多くかかってしまったので、ピットレーンの出口でボッタス選手に抜かれてしまうが、コースに出ると新しいタイヤの利点を生かしてすぐにボッタス選手をオーバーテイク。これでタイヤ交換の義務も満たしているので、あとは、メルセデス勢の前に残りさえすれば優勝が見えてくる状況になった。

 33周目にフェルスタッペン選手は、ボッタス選手と同時にミディアムからハードへとタイヤ交換することを選び、これで順位はほぼ確定。あとはハミルトン選手がピットに入ればフェルスタッペン選手の優勝は確定することになる。しかし、ハミルトン選手はステイアウトし、セーフティカーが出る等のチャンスを待つことになる。ハミルトン選手は4本のタイヤ全てにブリスターが出るなど厳しい状態だが、走り続けてチャンスを狙うことになるが、徐々にフェルスタッペン選手が追いついていく。

 残り10周となったところで、ハミルトン選手とフェルスタッペン選手の差は9秒以下となり、セーフティカーが出ても前に戻れる可能性がなくなったところでピットインしてタイヤ交換。これでフェラーリのシャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)の後ろでレースに戻ることになった。

 これで順位はほぼ確定し、1位フェルスタッペン選手、2位ボッタス選手、3位ルクレール選手、4位ハミルトン選手となった。その後タイヤが新しいハミルトン選手は、ルクレール選手をオーバーテイクして3位に上がったものの、追い上げもそこまで。

レース終盤。メルセデスのボッタス選手を徐々に突き放すレッドブル・ホンダのフェスタッペン選手 (c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 レースはタイヤマネジメントでメルセデスを上回り、作戦をズバリ成功させたレッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が優勝。レッドブル・ホンダは今季初優勝。メルセデス勢は終盤にハミルトン選手がボッタス選手をオーバーテイクし、2位はハミルトン選手、3位にボッタス選手となり、今季初めて優勝を逃すことになった。

 ほかのホンダ勢は予選9位から追い上げたレッドブル・ホンダのもう1台アルボン選手が5位、アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアト選手(28号車 アルファタウリ・ホンダ)が10位とホンダパワーユニットは3台が入賞することになった。

優勝を喜ぶフェルスタッペン選手
F1第5戦 70周年記念GP 決勝結果
順位カーナンバードライバー車両周回数タイム(トップとの差)
133マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ521時間19分41秒993
244ルイス・ハミルトンメルセデス52+11.326s
377バルテリ・ボッタスメルセデス52+19.231s
416シャルル・ルクレールフェラーリ52+29.289s
523アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ52+39.146s
618ランス・ストロールレーシングポイント・BWT・メルセデス52+42.538s
727ニコ・ヒュルケンブルグレーシングポイント・BWT・メルセデス52+55.951s
831エステバン・オコンルノー52+64.773s
94ランド・ノリスマクラーレン・ルノー52+65.544s
1026ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ52+69.669s
1110ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ52+70.642s
125セバスチャン・ベッテルフェラーリ52+73.370s
1355カルロス・サインツマクラーレン・ルノー52+74.070s
143ダニエル・リカルドルノー51+1 lap
157キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ51+1 lap
168ロマン・グロージャンハース・フェラーリ51+1 lap
1799アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ51+1 lap
1863ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス51+1 lap
196ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス51+1 lap
NC20ケビン・マグヌッセンハース・フェラーリ43DNF
(c)Getty Images / Red Bull Content Pool