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ホンダF1 通算77勝目、 F1テクニカルディレクター 田辺豊治氏「モチベーションの高まる優勝をガスリー選手が獲得してくれた」
今週末は高速3連戦の最後を飾るムジェロ
2020年9月11日 14:56
9月6日、F1 第8戦イタリアGPがモンツァ・サーキットにおいて開催された。既報のとおり、このイタリアGPではホンダPU(パワーユニット)を搭載するアルファタウリ・ホンダの10号車 ピエール・ガスリー選手が優勝。ガスリー選手にとっては初優勝、チームにとっては前進となるトロロッソ時代の2008年にセバスチャン・ベッテル選手が優勝して以来の2勝目になる。
ホンダのF1活動としては今季2勝目。通算77勝目の勝利となり、アルファタウリの前進のトロロッソとパートナーシップを組んでから50戦目の劇的な勝利となった。
このイタリアGPからはPUにおける予選モードが廃止、つまり予選・決勝と同一のPUモードで走行するようルール変更されたため、メルセデスやルノー、ホンダのパワーユニット対決も注目されていた。予選ではメルセデス勢が1-2を占めるなど、ホンダPU搭載勢にとって厳しい状況となっていたが、決勝は赤旗中断や首位を走行していたメルセデスのエース ルイス・ハミルトン選手(33号車 メルセデス)に10秒のストップ&ゴーペナルティが出るなど荒れたレースとなった。決勝レース終盤は、ガスリー選手とカルロス・サインツ選手(55号車 マクラーレン・ルノー)のマッチレースとなり、ガスリー選手がサインツ選手を抑えきって優勝したことで、予選・決勝同一エンジンモードでルノーエンジンに対して負けないだけの優位性は見せていた。
ホンダPU勢のエースである、マックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)はPU起因のトラブルによりリタイヤ。そのため、メルセデス勢との決勝における予選・決勝同一エンジンモードの本格的なエース同士の戦いは、今週末の第9戦 トスカーナ・フェラーリ・1000戦記念GP(ムジェロ・サーキット)へ持ち越しとなったが、アルファタウリ・ホンダの勝利は、ホンダPU勢の層の厚さを実証してみせたことになる。
決勝レース後、チームとの勝利の記念撮影を終えてから行なわれたホンダ F1テクニカルディレクター 田辺豊治氏のオンライン会見は、祝福ムードに包まれたものとなっていた。
田辺氏は冒頭のコメントとして、ガスリー選手へのお祝いやスタッフへのお祝いを述べた。
田辺豊治 ホンダF1 TD
今日のレースはですね、もうとにかくまずアルファタウリのガスリー選手優勝ということ。ガスリー選手におめでとうと言ってきましたけど、という言葉を送りたいと。それとやはりアルファタウリのメンバー、現場にいるメンバーとしてファクトリーメンバー、われわれのホンダのメンバーにおめでとうとメッセージを送りたいと思います。
チームにとって、ホームのイタリアでの優勝と、またトロロッソ・ホンダとしてスタートして2年間、50戦目。ホンダにとって、彼らとわれわれの節目での優勝ということで、いろんな意味でですね、チームにとって、モチベーションの高まる優勝をガスリー選手が獲得してくれたと思ってます。
いつも目標はと聞かれると、4台完走、4台入賞という形でお話してるんですけども、その点関して言うとですね、マックス選手のリタイヤ、PU起因のリタイヤをしてしまったというところでですね、非常に悔しい思いをしています。
ガスリー選手の優勝をポジティブに捉え、マック選手のPUのトラブルを真摯に受け止め、今週末は初めての予選・決勝レース同一モードでのF1開催でした。先日TDが発行されてから、いろいろと検討を加え、金曜土曜のP3までの中で確認をしてレースに望んだと。結局やってみるとですね、基本的にはきちんとわれわれの想定どおりにできたと思っています。
次のムジェロに向けてはもう1回きちんと見直していきたい。マックス選手のPUに関しては、これから詳細にデータ確認、現物確認しながらいろいろなところを見て、継続判断等々していきたいと思っています。
複雑な気持ちではあるものの、素直にトロロッソ、アルファタウリとの優勝をポジティブな気持ちに、さらにモチベーションへと変えて、この先シ-ズン戦っていきたいと思います。
高速サーキット3連戦の初戦であるベルギーGP(スパ・フランコルシャン)はメルセデスの勝利、2戦目のイタリアGP(モンツァ)はアルファタウリ・ホンダの勝利。では、3戦目となる今週末の第9戦 トスカーナ・フェラーリ・1000戦記念GP(ムジェロ)での勝者は?
このムジェロサーキットでのF1開催は初となるものの、フェラーリ所有のサーキットであるため、フェラーリが豊富なデータを持っているのは間違いない。また、ムジェロはMoto GPが開催されるサーキットなので、Moto GPで強さを誇るホンダも細かなデータを持っている点が有利に働くのではないだろうか? その点を田辺TDに聞いたところ、「確かに二輪のチームとやりとりはあるが、二輪と四輪では特性が違う」とのこと。F1マシンが走った場合のデータの優位性はとくにないという。
F1初開催、しかもフェラーリの地元だけにこのところ元気のないフェラーリの復調に期待したいし、田辺氏に「特性が違う」といわれたものの、ホンダPUのがんばりにも引き続き期待したい。圧倒的な強者メルセデスに挑む各チームという構図は大きく変わらないだろうが、高速サーキットならではの、そして初めてのF1開催となるサーキットのバトルを楽しみに待ちたい。