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ホンダのF1参戦終了 八郷社長が一番うれしかったのは「50戦目の初優勝」
2020年10月2日 20:25
- 2020年10月2日 発表
本田技研工業は10月2日、2021年シーズンをもってF1(FIA フォーミュラ・ワン世界選手権)への参戦を終了すると発表。同日開催された「Hondaモータースポーツ活動に関するオンライン記者会見」に同社代表取締役社長 八郷隆弘氏が出席して、記者からの質問に答えた。
今回、2021年シーズンをもってF1へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を終了することが決定された。
会見の中で八郷社長は、現時点でのF1参戦の成果について、Red Bull Racing(レッドブル・レーシング)、Scuderia AlphaTauri(スクーデリア・アルファタウリ)とともに、2019年シーズンは3勝、2020年シーズンも2勝を挙げるなど、大きな目標としてきた勝利を実現することができたことを挙げた。
そして、引き続き2021年シーズン終了までレッドブル・レーシング、アルファタウリの両チームとともにさらなる勝利を目指して、最後まで全力で戦い抜くことを誓った。
今回のF1への参戦を終了するという判断については、新型コロナウイルスの影響や短期的な収益のためでなく、最重要課題である環境への取り組みとして、持続可能な社会を実現するために「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指すためとし、将来のパワーユニットやエネルギー領域での研究開発に経営資源を重点的に投入していく必要があることを繰り返し強調した。
また、八郷社長はモータースポーツ活動はホンダのDNAであるとし、継続して参戦していくカテゴリーにおいてNo.1を目指してチャレンジを続けていくことを強調した。
一番悔しかったのは2018年の最終戦アブダビGP。一番うれしかったのは50戦目の初優勝
質疑応答の質問の中で、今回のF1参戦の中で1番悔しかったことと、1番うれしかったことを聞かれて、八郷社長は「これから今年はまだ7戦残っています。来シーズンも1シーズンやりますのでそこでしっかりと頑張っていきたいというふうに思いますので、その中で悔しいこともうれしかったことも出ると思います」と前置きしながら、次のように述べた。
八郷社長は「現時点で言いますと一番悔しかったのはですね、個人的になりますけど2018年の最終戦アブダビグランプリでガスリー選手のエンジンブローが出た時です。当時のトロロッソと参戦し、非常によいペースでいってたのが、最終戦でエンジンブローしてしまったということで、翌シーズンからレッドブルへのエンジン供給も決まっていましたので、今までの1年間、何をやってたんだろうということで非常に悔しい思いをしました。そして、一番うれしかったのはやはりわれわれ苦しい時に手を携えてくれた、当時のトロロッソ、現在のアルファタウリ、その参戦50戦目で初優勝できたということが一番うれしかったです」と話した。
また、今回の第4期F1参戦については、2015年の八郷氏の社長就任とともにスタートしている。
そこに対する思いについて、八郷社長は「今回のF1参戦につきましては、2015年に私が社長に就任したと同時に参戦しました。当時、非常に苦しい時期もあったのですが、本当に苦しく私としては悩んだ時期もあります。その時にトロロッソは、今のアルファタウリになりますけども、新たなスタートを切れたというのが非常によかったと思っています。特にチーム代表のトストさんには今でも感謝をしております。そしてトストさんと一緒に戦ってきて、50戦目にアルファタウリとして優勝できたということが非常にうれしく思っています」と話した。
その話に続けて参戦終了を決断したことについて、八郷社長は「その中で今回われわれとしても事業の方向性でいきますと、2050年のカーボンフリーに向けた対応というのも重要なチャレンジになりますので、私としてはそちらに特に技術者、技術のリソースを傾けるべきだということで、社内では参戦を継続すべきだという意見はいっぱいございましたけれども、社長として私が判断をしました」と語った。
具体的な参戦終了を決断した時期について、八郷社長は「昨年の1年延長を決めた時からいろいろなことを考えてまいりました。そして8月にレッドブルにわれわれの考えを伝えて、最終的に終了を決定したのは先月9月末のことになります」と明かした。