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ホンダ、三部敏宏新社長が就任会見 2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ発表
2021年4月23日 16:36
- 2021年4月23日 発表
日本ではEV、FCVの販売比率として2030年に20%、2035年に80%、2040年に100%を目指す
本田技研工業は4月23日、2021年4月1日付で代表取締役社長に就任した三部敏宏氏が社長就任会見を行なった。
会見では、ホンダが目指す姿・取り組みの方向性として「環境」と「安全」に徹底的に取り組むとともに、将来に向けてモビリティ、パワーユニット、エネルギー、ロボティクスの領域で進化をリードすることを目指していくと表明。
地球環境への取り組みでは、2050年にホンダの関わる全ての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを目指す。製品のみならず、企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロを目指し、カーボンニュートラル、クリーンエネルギー、リソースサーキュレーションの3つを柱に取り組んでいくという。具体的なポイントは以下の4点。
・二輪・四輪製品の電動化や交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」により電動製品の幅を広げ、インフラと連携したスマートな電力オペレーションを行なうことで、再生可能エネルギーの利活用を拡大。
・再生可能エネルギーのさらなる拡大に向けて、水素の活用も積極的に進めていく。電動化が難しい航空機などの領域も含め、カーボンニュートラル・フューエルも加えたさまざまなエネルギーを利活用する「エネルギーのマルチパスウェイ」の実現を目指していく。
・バッテリーのリユースやリサイクルをはじめとしたマテリアル・リサイクルに関する研究を進め、サステナブル・マテリアル100%での製品開発にチャレンジ。
・電動モビリティとエネルギーサービスをつなぎ「自由な移動の提供」と「再生可能エネルギーの利用拡大」に貢献する「Honda eMaaS(イーマース)」のコンセプトは、「モバイルパワーパックの活用拡大」「電動車両に搭載された大容量バッテリーの活用」「FC(燃料電池)システムの応用・展開」の3つを軸に、着実に実行していく。
2024年に軽自動車のEVを投入
四輪車の電動化については自動車メーカーとしてTank to Wheelでのカーボンフリーを達成するため、「先進国全体でのEV、FCVの販売比率を2030年に40%、2035年には80%」、そして「2040年には、グローバルで100%」を目指すとしており、「これはチャレンジングな目標であり、バリューチェーン全体での対応が必要ですが、全員で目指す姿を共有し、実現に向けて高い目標を掲げることにしました」と説明されている。
一方、日本市場ではEV、FCVの販売比率として「2030年に20%、2035年に80%、2040年に100%」を目指すとともに、2030年には「ハイブリッドを含めて100%電動車とする」ことを目標に掲げた。
また、2024年に軽自動車のEVを投入するなど、ハイブリッド・EVによる軽自動車の電動化も進めていくことを明らかにしたほか、バッテリーの調達は国内産業の発展にも寄与できるよう、日本での地産地消を目指すとした。
さらにモビリティサービスの領域では、GM・クルーズと共同開発している「Cruise Origin」を、2020年代半ばに日本市場に導入することを目指し、2021年中に技術実証を開始することを発表している。
そのほか、EVの高い商品競争力を確保するため、高容量、低コスト化を実現する次世代バッテリーとして全固体電池の研究を独自に進めており、今期、実証ラインでの生産技術の検証に着手するとのことで、この全固体電池は2020年代後半のモデルに採用できるよう研究を加速するとした。
二輪車の電動化は、高額なバッテリーを車両と切り離して考えることが普及のカギ
二輪車の電動化については、高額なバッテリーを車両と切り離して考えることが普及のカギになるとし、電動化への社会的要請が強い先進国では「B to B(企業間取引)」「B to G(省庁や自治体との取引)」をターゲットに、モバイルパワーパックを活用した電動化を進めていく。
モバイルパワーパックは、パワープロダクツ製品やマイクロモビリティまで活用を拡げていきたいと考えており、インドでは三輪タクシーの「リキシャ」を活用した実証実験を開始した。
また、多様なニーズに応えるべくビジネス領域にて「GYRO e:」「GYRO CANOPY e:」を2021年に投入するのに加え、2024年までにパーソナル領域で原付一種・原付二種クラスに3機種の電動二輪車を、さらにFUN領域でも商品を投入するとした。