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F1第13戦エミリア・ロマーニャGP決勝、メルセデスが1ー2で7年連続コンストラクターズチャンピオン ホンダ勢最上位は4位のクビアト選手

2020年11月1日 決勝開催

ホンダハイブリッドPU搭載で最高位の4位となったダニール・クビアト選手(28号車 アルファタウリ・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1第13戦エミリア・ロマーニャGPが10月31日~11月1日の2日間にわたって開催された。舞台となるのは以前サンマリノGPとして開催されていたイモラ・サーキットで、抜きにくいコースでトラックポジションが重視されるサーキットになる。

 決勝レースは予選2番手から一時3番手に下がったルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)が優勝。2位にはバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)が入った。

 予選3番手からスタートしたマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は終盤にリアタイヤがバーストし、グラベルに入ってリタイア。レッドブル勢はアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は終盤スピンして15位に終わり両車ともにノーポイント。これにより、メルセデスはコンストラクターズ・チャンピオンシップで7年連続のチャンピオンが確定した。

 残りのホンダ勢はピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が序盤でリタイアしたが、チームメイトのダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)は4位に入り、ホンダ勢で唯一入賞した。

スタートで出遅れたルイス・ハミルトン選手、ホンダのフェルスタッペン選手が2位に上がる

 スタートは奇数グリッドのポール・ポジションのバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)と3位のマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)がいいスタートを切り1位と2位に。予選2番手スタートのルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)はわずかに遅れて、4位からスタートしたピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)にも抜かれそうになるが、ガスリー選手はコース幅一杯のところでアクセルを抜かざるを得なくなり、後ろから来たダニエル・リカルド選手(3号車 ルノー)にも抜かれてしまった。

 スタートしての“いつもの3台”はいつもの順位ではないボッタス選手、フェルスタッペン選手、ハミルトン選手の順。その後ろは4位リカルド選手、5位ガスリー選手、6位シャルル・ルクレール選手(16号車フェラーリ)、7位アレックス・アロボン選手(23号車 レッドブル・レーシング)、8位ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)という順位になった。

 この中で最初に脱落したのは、予選4位と好調で、アイルトン・セナをイメージしたヘルメットで走っていたガスリー選手。9周目に水圧の低下というパワーユニットのトラブルが起こり、ピットインしてそのままガーレジに入りリタイアになってしまった。ガスリー選手は好調さを維持していただけに、リタイアは非常に残念な結果になってしまった。

 4位のリカルド以下はすぐに十数秒遅れてしまい、トップ3が突き放すレースになった。2位のボッタス選手、2位のフェルスタッペン選手、3位のハミルトン選手はそれぞれ2秒程度の間隔でレースをしている形になる。今回のエミリア・ロマーニャGPが行なわれているイモラ・サーキットは抜きにくいコースとして知られており、いずれも抜けない状況が続く。

 その後方では14周目に、5位のルクレール選手がピットインすると、4位のリカルド選手、6位のアルボン選手、7位のクビアト選手などがピットインして、ハードタイヤに交換した。

レース中盤のタイヤ交換でボッタス選手、フェルスタッペン選手を抜いたハミルトン選手

 19周目に2位を走っていたレッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手がハードタイヤに交換。その翌周に、トップを走っていたメルセデスのボッタス選手がハードタイヤに交換し、順位を守ったままフェルスタッペン選手の前に留まることに成功した。

 これで、3番手だったハミルトン選手がトップに立ち、そのままボッタス選手とフェルスタッペン選手との差を縮めるべく、当初の予定を延ばして周回を続けることになった。ハミルトン選手とボッタス選手の見えない緊張感のあるレースが続けられており、ピットイン時のロスタイムを勘案すると、27秒差をつけいたところでピットインしたいところ、ボッタス選手としてはその差をつけさせずに差を維持出来るか、というレースになっている。

 トップ3以外の最上位はピットインを終えた組のリカルド選手だと思われていたが、スタートからミディアムタイヤでずっと走り続けてきたセルジオ・ペレス選手(11号車 レーシングポイント・BWT・メルセデス)がピット作業を終えると、リカルド選手の前に入り、4位を確実にした。

 そして30周目に30号車 エステバン・オコン選手(30号車 ルノー)がコース脇に停止。車両を処理するためバーチャル・セーフティカーが出され、そのタイミングを利用してハミルトン選手はピットインしてルーティン作業を終え、悠々とトップのまま戻った。

 まさにハミルトン選手のピットインの間だけがバーチャル・セーフティカーになるようなタイミングで、2位のボッタス選手、3位のフェルスタッペン選手は、ハミルトン選手がトップで戻るのを指をくわえ見ているだけになってしまった。

 これでレースはタイムが上がらず1位のハミルトン選手にどんどん差をつけられている2位ボッタス選手と、3位のフェルスタッペン選手のマッチレースになった。ボッタス選手は2周目に他のクルマのパーツを拾ってしまい、それによりクルマを傷つけており、タイムが上がらないのだ。それにより、タイヤへのダメージも大きくなっていて、厳しいレースを強いられてしまっていた。

 レースが動いたのは42周目の終わり。ボッタス選手が最終コーナーで飛び出す中で、ストレートでスリップストリームに入り、43周目のタンブレロの入り口でボッタス選手を外側からオーバーテイク。これでフェルスタッペン選手はトップのハミルトン選手から13秒程度離された2位に上がった。その一方はボッタス選手は抜かれてからすぐに引き離されてしまった。これでトップ3はハミルトン選手、フェルスタッペン選手、ボッタス選手の順となる。

レース終盤にフェルスタッペン選手が右リアタイヤのバーストでリタイア

 49周目に最後までピットに入っていなかったキミ・ライコネン選手(7号車 アルファロメオ・レーシング・フェラーリ)がピットに入ると、順位は確定した思われたが、その2周後の51周目にフェルスタッペン選手の右リアが突然バーストしてそのままスピンしてグラベルにはまってしまう。これでセーフティカーが出される。

 すると、2位のボッタス選手がピットに入る、1位のハミルトン選手はセーフティカーに捕まっておりいい判断だ。しかし、その翌周にハミルトン選手がピットに入ると、ボッタス選手は隊列に追いついておらず2位のままで、結局順位は変わらなかった。

 これでトップはハミルトン選手のまま、2位にボッタス選手。

 3位はルノーのリカルド選手、4位はフェラーリのルクレール選手、5位はレッドブルのアルボン選手で、この3台はタイヤを変えずトラックポジション重視の選択だ。6位のレーシングポイントのペレス選手、7位のアルファタウリのクビアト選手、8位のマクラーレンのサインツ選手、9位のマクラーレンのノリス選手、10位のアルファロメオのライコネン選手はいずれもタイヤをソフトに変えており、再スタートするとタイヤでは有利になる。抜けないサーキットと新しいタイヤ、どちらが強いかというレースになる。

 58周目にレース再開。すると、クビアト選手がリスタートで前のアルボン選手とルクレール選手を抜き4位に上がる。アルボン選手はその後、後続と競っている中でスピンして最後尾に落ちてしまった。これで4位に上がったクビアト選手は前を行くリカルド選手を追いかける。リカルド選手を抜けば、3位表彰台の座が手に入る。特にリカルド選手は40周以上走ったハードタイヤでかなり厳しいレースになっている。

 クビアト選手はリカルド選手の1秒以内に入りDRSが使えるようになっていく。しかし、そこはレース巧者のリカルド選手、隙を見せることなく結局そのままでゴールすることになった。

 レースは中盤にタイヤ交換のタイミングを上手く活用し、セーフティカーの混乱も乗り切ったメルセデスのハミルトン選手が今シーズン9勝目となる優勝、2位はチームメイトのボッタス選手。

 3位はルノーのリカルド選手で今シーズン2回目の表彰台を獲得。ホンダ勢で唯一入賞したのはアルファタウリ・ホンダのクビアト選手、5位はフェラーリのルクレール選手、6位はペレス選手、7位はサインツ選手、8位はノリス選手、9位はライコネン選手、10位はアントニオ・ジョビナッツィ選手(99号車 アルファタウリ・レーシング・フェラーリ)となった。

 レッドブル勢が1台リタイア、1台はポイント圏外で終わったことで、メルセデスは今シーズンのコンストラクターズ・チャンピオンシップの獲得を決めた。これにより、2014年以来7年連続でコンストラクターズ・チャンピオンシップを獲得した。

マックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)は2位走行時に右リアタイヤがバーストしリタイア (C)Getty Images / Red Bull Content Pool
F1第13戦エミリア・ロマーニャGP 決勝結果
順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス631時間28分32秒43026
277バルテリ・ボッタスメルセデス63+5.783秒18
33ダニエル・リカルドルノー63+14.320秒15
426ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ63+15.141秒12
516シャルル・ルクレールフェラーリ63+19.111秒10
611セルジオ・ペレスレーシングポイント・BWT・メルセデス63+19.652秒8
755カルロス・サインツマクラーレン・ルノー63+20.230秒6
84ランド・ノリスマクラーレン・ルノー63+21.131秒4
97キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ63+22.224秒2
1099アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ63+26.398秒1
116ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス63+27.135秒0
125セバスチャン・ベッテルフェラーリ63+28.453秒0
1318ランス・ストロールレーシングポイント・BWT・メルセデス63+29.163秒0
148ロマン・グロージャンハース・フェラーリ63+32.935秒0
1523アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ63+57.284秒0
NC63ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス51DNF0
NC33マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ50DNF0
NC20ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ47DNF0
NC31エステバン・オコンルノー27DNF0
NC10ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ8DNF0
ドライバーズランキング F1第13戦エミリア・ロマーニャGP終了時
順位ドライバー車両ポイント
1ルイス・ハミルトンGBRメルセデス282
2バルテリ・ボッタスFINメルセデス197
3マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ162
4ダニエル・リカルドAUSルノー95
5シャルル・ルクレールMONフェラーリ85
6セルジオ・ペレスMEXレーシングポイント・BWT・メルセデス82
7ランド・ノリスGBRマクラーレン・ルノー69
8カルロス・サインツESPマクラーレン・ルノー65
9アレクサンダー・アルボンTHAレッドブル・レーシング・ホンダ64
10ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ63
11ランス・ストロールCANレーシングポイント・BWT・メルセデス57
12エステバン・オコンFRAルノー40
13ダニール・クビアトRUSアルファタウリ・ホンダ26
14セバスチャン・ベッテルGERフェラーリ18
15ニコ・ヒュルケンベルグGERレーシングポイント・BWT・メルセデス10
16キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ4
17アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ4
18ロマン・グロージャンFRAハース・フェラーリ2
19ケビン・マグネッセンDENハース・フェラーリ1
20ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス0
21ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス0
コンストラクターズランキング F1第13戦エミリア・ロマーニャGP終了時
順位チームポイント
1メルセデス479
2レッドブル・レーシング・ホンダ226
3ルノー135
4マクラーレン・ルノー134
5レーシングポイント・BWT・メルセデス134
6フェラーリ103
7アルファタウリ・ホンダ89
8アルファロメオ・レーシング・フェラーリ8
9ハース・フェラーリ3
10ウイリアムズ・メルセデス0