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F1開幕戦は電気系トラブルでリタイアのレッドブル・ホンダ。週末の第2戦で巻き返しを期待。「やはりメルセデス強しという印象」とホンダ 田辺TD

F1開幕戦、ステアリング交換を試みるも序盤でリアイアとなったレッドブル・ホンダのエース フェルスタッペン選手(c)Getty Images / Red Bull Content Pool

 7月5日(現地時間)にオーストリアで開幕した2020年シーズンのF1グランプリ。ホンダエンジンを搭載するレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が予選3位(その後、ルイス・ハミルトン選手のペナルティで2位に)、アレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が5位(同 4位)。また、ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が予選12位、ダニール・クビアト選手(26号車 アルファタウリ・ホンダ)が13位と、いずれも表彰台争いや入賞争いが期待できるポジションからのスタートだったが、ガスリー選手の7位以外はリタイアと残念な結果に終わった。

 決勝終了後、ホンダのPU(パワーユニット)を担当するHONDA F1テクニカルディレクター 田辺豊治氏(以下、田辺TD)のオンライン記者会見が行なわれた。田辺TDは1台入賞、3台リタイアとなった決勝について次のように総括した。

「2020年の開幕戦、長い間いろいろと新型コロナウイルス感染対策をしてやっと開幕に臨んだのですが、残念なことにホンダPUを搭載している4台中、3台がリタイア。1点ポジティブな結果を得られたのは、ガスリー選手の7位入賞。チームとしてあの混戦の中で、年間のタイトル争いを考えると貴重なレース結果だったのではないかなと。クビアト選手は、トラブルを抱えた中走ってバーストという結果でした」。

「レッドブルの2台に話を移しますと、電気系と思われるトラブルで2台ともリタイア。マックス選手はレース直前に(ハミルトン選手の)再審査からフロントスタートといういいところから出て、(マックス選手のリタイアは)あまりにも序盤だったのでなんとも言えませんが、トップ10の中で唯一ミディアムタイヤで走行し、そのミディアムタイヤでのレースストラテジを活かし、いい結果に結びつけようとしたところだったのですが、残念な結果になっています。アルボン選手は中盤まで走っていたということで、いろいろな意味で学べた、またペースに関してもいいデータが得られたのではないかと思います。ただ結果としてはリタイアということで、非常に残念な結果に終わってしまいました」。

 上位を走っていたフェルスタッペン選手、アルボン選手、いずれのマシンにも電気系のトラブルが発生し、それがリタイアにつながったという。しかしながら、その電気系のトラブルは異なる症状のもので、原因は究明中とのこと。

 レースを見ていた人に印象的だったのは、序盤のフェルスタッペン選手のリタイア。パワーが急に落ちたように見え、ピットイン後ステアリングを交換するなどの作業を行なっていた。

「電気系はわりと非常に原始的なんですけど、どこかで変なデータが入った場合、1回パワーサイクル(電源を入れ直す)すると復活する場合が多々あるので、それを試した。でもだめだということで止まった」(田辺TD)と言い、多数のスイッチ類が集約されている(それだけ電気的なコントロールが行なわれている)ステアリングを交換するも、エラーメッセージが出続ける状態で、走行するのを諦めたとのことだ。

 レッドブルの本拠地でもあり、昨年にフェルスタッペン選手がホンダPUで優勝しただけに期待の集まっていた開幕戦だが、ホンダPUはその実力を発揮する前にレースを終えてしまったといえるだろう。昨年のこのサーキットではメルセデスのPUよりもパワーが出ているように見えたホンダPUだが、今年はどうなのだろう。田辺TDは「(昨年も)なんとも言えませんね、予選結果の、レースの序盤の状況とかを見ますとやはりメルセデス強しという印象を持ちました」といい、昨年も今年もメルセデスの強さを感じると語る。

 2020年シーズンのF1は変則的な開催となっており、今週末の7月12日にも同じサーキットで第2戦オーストリアGPが行なわれる。メルセデスの速さが光った開幕戦の展開からどう変わるのか、1週間でどのような対応が行なわれたか、そしてホンダPUを搭載する4車の信頼性はどのように改善されたのかなど、注目点は多い。前半8戦は過密スケジュールだけに、チーム力、対応力が強く結果を左右するかもしれない。今週末の第2戦を楽しみに待ちたい。