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アプリリア、新型ライトウェイトミドルスポーツ「RS 660」
車重183Kg、エンジン回転MAX11500prm、最高出力100HP、電子デバイスAPRC搭載
2020年10月19日 08:30
- 2020年10月10日(現地時間)発表
アプリリアは10月10日(現地時間)、新型の660ccツインエンジン(100HP)を搭載する新型ライトウェイトミドルスポーツ「RS 660」を発表した。ヨーロッパ市場では10月12日よりオンライン事前予約が開始、日本での販売価格や時期に関しては、後日改めて案内するとしている。
RS 660は気軽にスポーティな走りが楽しめるバイクのニーズに対応するために生まれた新しいモーターサイクルで、さまざまなライダーが乗りやすいバイクに仕上げられている。
また、183Kgという軽量に加え、上位モデルに装備されている電子デバイスAPRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール)も搭載する。
新世代のアプリリアスタイル
アプリリアのスポーツバイク特有のトリプルLEDヘッドライトを採用し、2つのメインのヘッドライトの周囲にはデイライトを配置。どのような条件下でも直ぐに認識できるルックスを備える。また、ウィンカーはDRL(デイタイムランニングライト)に組み込まれ、フロントまわりはよりコンパクトな造形に仕上げられている。
ライトシステムには複数の機能が備わっていて、トワイライトセンサーによりロービームが自動的に点灯、緊急ブレーキ時には自動キャンセル式のハザードが点滅。さらに、コーナリングライトを装備し、2つのライトがカーブの内側を照らすことでコーナリング時の可視性を高め、より安全なライディングを可能とした。
エアロダイナミック性能を高めるために、空力研究により生まれた最先端の「ダブルフェアリング」を採用。ダブルフェアリングの機能により、高速移動時は安定性を最適化しながら、風圧とエンジンやラジエータから発生する熱風からライダーを守ることで快適性を向上させている。
シートは快適性の高いパッドを採用して、側面にテーパー加工を施すことで足付き性を向上。大きめなサイズのリアシートパッドのデザインは「V4」シリーズからインスピレーションを得ており、オプションでシングルシートカバーを装着することも可能となる。
エキゾーストパイプをエンジン下に配置することでタンデム(2人乗り)用のフットレスト位置の自由度が高まり、同乗者の快適性も向上。15Lの燃料タンクはコンパクト性を高めるデザインを採用し、ライダーはダブルフェアリングの内側で守られ、快適なライディングが可能となっている。
また、ミラーやタンデム用フットレスト、ナンバープレートホルダーのようなサーキットでは不要な部品は、簡単に取り外せる設計となっている。
アルミ製シャーシによる優れたハンドリング
RS 660 はアルミダイキャストのフレームとスイングアームで構成され、シャーシ寸法はキビキビとしたハンドリングを最優先とし、1370mmのホイールベースとステアリングヘッドのアングルを24.1度としたことで、優れたハンドリング性能を実現している。
フレームは2本のラテラルビームをステアリングヘッドエリアとリアにボルトで固定。エンジン自体も強化メンバーとして利用し、コンパクトで軽量でありながら強固な構造となっている。さらにフレームを軽量にするため、スイングアームをエンジンに直接取り付け、アジャスタブルショックアブソーバーの取り付けも、リンケージを介することなく優れた作動性を確保し、重量軽減にも貢献している。
また、フロントはKYB製アジャスタブル倒立フォーク(41mm径)を採用。ブレーキシステムは前後ブレンボ製で、フロントは直径320mm、リアは220mmのブレーキディスクで構成され、スポーツ性能を損なうことなくストリートで最大限の安全性を確保するための最先端マルチマップコーナリングABSを搭載。横加速度、フロントブレーキレバーにかかる圧力、バンク角度、ピッチとヨーなどを監視して、常に最適なブレーキングサポートを行なう。
タイヤサイズはフロントが120/70ZR17、リアは180/55ZR17で、ピレリ「Diablo Rosso Corsa II」を軽量アルミホイールと合わせて装着。ストリートでの安全性と楽しさ、サーキットで最高のパフォーマンスを引き出すためのグリップを確保した。
新型ツインシリンダーエンジン
新型エンジンは、シリンダーヘッド、燃焼室、ダクト、シリンダー、ピストンはすべて「RSV4」のパワフルなエンジンを参考にし、1078ccのV4エンジンと同じ81x63.93mm(ボア×ストローク)を採用。
前後方向および横方向の寸法を削減したことで、インテークやエキゾーストのような基本的なパーツの配置の自由度が高まり、さらにシャーシの一部となるメンバーとしても機能し、リアにはスイングアームが接続される。
また、ロングエキゾーストマニホールドも、すべてエンジン下に配置され、非対称スプリットアウトレットのシングルピーステイルパイプに空気の流れを誘導する設計とし、低重心ですぐれた重量配分を形成している。
さらに、ウェットサンプによる潤滑システムを採用し、オイルパンを下方向に突き出させることで、バイクが最大バンクしているときも、減速や加速中などあらゆる走行状態でもエンジンオイルの確実な潤滑を可能にした。
エンジンパフォーマンスは、最高出力73.5kW(100HP)/10500rpm、最大トルク67.0Nm/8500rpmを発生。最大11500rpmまでパフォーマンスを発揮させることが可能。また、最大トルクの80%を4000rpmで発生させ、6250rpm到達時には最大トルクの90%を発生する性能を誇りながらも、Euro 5ホモロゲーション(アイドリング時の排ガス規制)もクリアしている。
この新型エンジンは、V型2気筒エンジンと同レベルの特性とパワーを引き出すことを目標に開発され、コネクティングロッドピンを270度で配置したバルブタイミングを選択。それにより燃焼間隔が不規則となり、V型2気筒エンジンと同じようなパフォーマンスとサウンドを実現した。
最高水準の電子デバイスを搭載
アプリリアRS 660のもう1つの独自機能が、性能と安全性の実現を目的とした電子システム。
アプリリアでは2007年に初めてライド・バイ・ワイヤスロットル制御を導入したが、現在はモータースポーツで磨いた電子システムAPRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール)を採用。このAPRCには以下の機能が内蔵されている。
名称 | 機能 |
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ATC(アプリリア・トラクション・コントロール) | 繊細で高性能なロジックを特徴とするトラクションコントロール機能 |
AWC(アプリリア・ウィリー・コントロール) | ウィリー走行を制御してくれるシステム |
ACC(アプリリア・クルーズ・コントロール) | スロットル制御を使用することなく一定の速度を維持する機能 |
AQS(アプリリア・クイック・シフト) | スロットルを緩めたり、クラッチを使用することなく高速でシフトチェンジできる電子制御ギアボックスシステム。ダウンシフト機能も搭載していて、クラッチに触れることなくダウンシフトが可能となる。内蔵するソフトウェアによって部品を交換することなくレース用の逆チェンジシフトパターンへの変更も可能 |
AEB(アプリリア・エンジン・ブレーキ) | 減速時のエンジンブレーキを調整する制御システム |
AEM(アプリリア・エンジン・マップ) | エンジン出力の特性や供給方法を変更するためのさまざまなマッピング |
5つのライディングモードを搭載
走行時の快適性を向上させるために5つのライディングモードを開発。ライダーはニーズに合ったライディングモードを選択するだけで、トラクションコントロール、ウィリーコントロール、エンジンブレーキ、ABSなど、最適な設定を自動的に選択可能となる。
ストリート用の3モード | |
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Commute | 街中でのライディング |
Dynamic | ストリートでのスポーツライド |
Individual | 自分で数値を設定 |
サーキット用の2モード | |
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Challenge | RS660のポテンシャルを最大限に引き出すサーキットでのレースに最適なモード |
Time Attack | より習熟したライダーが自分で数値をカスタマイズして使うモード |
フルカラーのTFTダッシュボードには、さまざまな数値を表示。さらにトワイライトセンサーによる夜間もしくは日中のバックライトの自動切換えも可能とし、オプションの「アプリリアMIA(マルチメディアプラットフォーム)」を追加すれば、スマートフォンとバイクを接続することができ、計器の機能をさらに拡張できる。