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マツダ、2021年3月期第3四半期決算説明会 今期通期を上方修正
電動化マルチソリューションの進捗なども改めて解説
2021年2月5日 11:56
- 2021年2月4日 公表
マツダは2月4日、2021年3月期第3四半期(2020年4月1日~12月31日)決算説明会をコンファレンス・コール(電話会議)形式で行なった。経営陣の中から、代表取締役社長兼CEOの丸本明氏、常務執行委員の藤本哲也氏、執行役員の梅下隆一氏の3名が出席した。
まずは藤本氏より、第3四半期の累計売上高は1兆9595億円、同営業損失は320億円、同当期純損失は782億円で、ただし第3四半期(2020年10月~12月)においては、営業利益は209億円、同純利益148億円と黒字であったと報告。連結出荷台数は66万5000台(対前年25万台減)であった。エリアのよって差はあるが、第3四半期のみではほぼ前年と同じレベルまで回復してきたと付け加えた。
また、営業利益が2020年3月期からマイナス643億円となった理由として、出荷台数が25万台減ったことなどに加え、環境規制対応の費用、OEM供給の台数減、タイ工場の低操業、為替変動などを挙げた。しかし逆に、広告宣伝費を約250億円、研究開発費を約80億円、品質関連費用も初期品質が安定していることで効率化を計れて200億円ほど削減。結果、固定費他で610億円の増益要因となった。さらに第1四半期の操業停止による生産ロス205億円を特別損失に振り替えたと説明した。
一方、グローバル販売台数は、前年比マイナス16%の93万台となったが、こちらも第3四半期のみでは前年比マイナス6%の352万台と、回復の兆しが見えているとした。各エリアの動向としては、日本は販売台数が対前年18%減の11万4000台と落ち込んだが、CX-5やCX-8、マツダコネクトの商品改良の実施や、MX-30がデザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことを報告。続いて北米は対前年4%減の29万2000台で、特にアメリカは対前年2%増と販売ネットワークと販売金融の強化などの取り組みの結果が出てきたことをアピール。欧州はロックダウンなどの影響が大きく残り、対前年38%減の13万5000台となった。中国は対前年2%増の17万8000台と今期導入したCX-30が好調で着実にシェアを伸ばしていると解説。その他のエリアではオーストラリアが好調だが、タイやベトナム、ASEANが振るわず、対前年比22%減の21万1000台となった。
また、通期の見通しとしては2020年11月公表時から改善策の効果にともない上方修正を行なったと説明した。
ここで藤本氏から代表取締役社長兼CEOの丸本明氏にバトンタッチして決算の総括を発表。コロナ禍の影響を大きく受けた今期は、販売回復、固定費の効率化、変動利益の向上を重点的、継続的に取り組んできたことで、第3四半期は黒字化することができたと説明。また、連結出荷台数も前年並みの29万6000台まで戻ったが、利益ポイントは対前比1.7ポイント改善して2.5%まで回復できたことを紹介。前年並みの販売台数でも利益率が向上したのは、構造改革や固定費削減の効果が出ていると評価していて、さらに構造改革を加速させるとした。
丸本氏はさらに、2017年に公表した美しい地球と心豊かな人や社会の実現を目指し、クルマの持つ価値で人の心を元気にすることを追求し続けるという「サスティナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」や、2018年の技術説明会で公表した、CO2削減のためには「Tank to Wheel(自動車の燃料タンクからタイヤを駆動するまで)」ではなく「WELL-TO-WHELL(油田からタイヤを駆動するまで)」という考え方、つまり「LCA(ライフサイクルアセスメント)視点」での対応が重要となることなど、2050年のカーボンニュートラル実現に向けてのマツダの進め方を改めて紹介。
また、これらの考え方をもとに、段階的に電動化技術を開発し、2030年までに生産する全てのクルマを電動化すると宣言し、合わせて電動化技術の導入計画についても公表してきたことを再度説明。さらに、2020年11月の中期経営計画見直しで解説した、電動化マルチソリューションの進捗状況についても、2020年にマイルドハイブリッドとEVを導入し、2022年にはラージ商品群向けのマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッド、ロータリーエンジンを活用したマルチ電動化技術を導入することを説明したが、これらが2018年の発表時からほぼ計画通りに進んでいることを改めて紹介した。
そして、新型車や電動化などを考慮した汎用化を実現する設備投資を2022年までに終え、2022年以降の本格的成長期では、CASE時代の価値創造競争に向け、製造過程でのCO2排出がゼロとなる工場のカーボンニュートラル化、同時に次世代EV専用プラットフォームの開発など、2030年以降は統合制御による商品価値を向上させられるように投資の質を転換していくことを改めて宣言した。