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「グランツーリスモSPORT」初心者がeモータースポーツ大会「AUTOBACS JeGT CHALLENGERS」に出場してみた

「グランツーリスモSPORT」初心者がeモータースポーツ大会「AUTOBACS JeGT CHALLENGERS」に出場することになった。せめてフォトだけはかっこよく……

「北村さんってPS4を持ってますか?」このひと言がすべての始まりでした。

 これまで、空飛ぶバスから飛び降りて銃撃戦を繰り広げたり、大型モンスターを4人で倒したり、大鷲をなでたりすることはあっても、レーシングゲームだけは本当に苦手だった。アクセル開度を誤って壁に衝突して動けなくなったり、カーブを曲がるときは壁伝いだったり……。そんな私がひょんなことからeモータースポーツ大会「AUTOBACS JeGT CHALLENGERS」に出場することになったのだ。

 今回私が出場することになったAUTOBACS JeGT CHALLENGERSとは、賞金総額500万円(!)となる国内最大規模のeモータースポーツ大会「AUTOBACS JeGT GRAND PRIX」のサイドプログラムとして開催されるもの。AUTOBACS JeGT GRAND PRIXには日本のトップクラスのドライバーやGTプレイヤーが参戦し、ハイレベルなレースを繰り広げるが、AUTOBACS JeGT CHALLENGERSはさまざまな参加基準が設けられ、今後のAUTOBACS JeGT GRAND PRIXを担う人の挑戦の場となっている。

 これまでにRd.1では「40歳以上」、Rd.2では「17歳以下」のレースが開催され、今回私が出場することになったRd.3は「女性限定」という位置付けの「JeGT CHALLENGERS Rd.3 -QueensCup-」。「ド初心者の私でも大丈夫だろうか……」という不安があったものの、「普段からゲームをやりこんでいる方ばかりが参加されるわけではないと思われます」という言葉を信じて、グランツーリスモSPORTにまったく触れてきていなかった初心者の、手探りの挑戦が始まった。

AUTOBACS JeGT CHALLENGERSへの挑戦がスタート

“グランツーリスモSPORTにまったく触れてきていなかった”、と先で述べたが、実はグランツーリスモSPORT発売直後にディスクを購入していたことがある。とはいえ、PlayStation 4の純正コントローラーの「DUALSHOCK4コントローラー」での操作は難しく、壁伝いもしくはコースをショートカットしてでしかカーブを曲がれず、まっすぐ走るのでさえ一苦労でまわりのクルマに激突してばかりだったこともあり、1度コースに出たきりでプレイからは遠ざかってしまっていた経緯がある。

 その記憶を払拭するため、まずは基本の操作を学ぼうとキャンペーンモードの「ドライビング スクール」をやりこんだ。そして、それを糧にして1人で周回できるアーケードモードの「タイムトライアル」で操作に慣れることから始めた。横着な私は「コースも覚えられるだろうし、マウントパノラマを走り込もう」と思っていたのだが、最初はレベルが足りずコースが解放できていなかったため、筑波サーキットをひたすら周回。後日、「サーキット エクスペリエンス」であればマウントパノラマが走れるということが分かったため、コースの特徴を覚えようとサーキット エクスペリエンスをやりこんだ。

ドライビング スクールは「ゴールドを取れるまで次に行かない」というマイルールを決めてチャレンジ。途中で力尽きてしまい、32だけシルバーになってしまった
コースが解放されていなかったため、サーキット エクスペリエンスだけが指定コースの「マウントパノラマ モーターレーシングサーキット」を走れる方法だった(と思っている)
サーキット エクスペリエンスでも“オール・ゴールド”を目指そうとしたが、プレイスキルが足りず歯が立たなかった。悔しい

 とはいえ、平日は仕事があるため十分なプレイ時間がとれず、週末に集中力が切れるまでの4時間くらいをプレイに充てる日々。さらに、わが家には当然ながらハンドルコントローラーはない。部屋のスペース的にも設置する場所がないため、普通のコントローラーでのプレイとなる。本当にこの方法での練習で大丈夫なのか? プレイ時間が明らかに足りていないのでは? と、レース本番までは本当に気が休まらない毎日だった。

ガレージにあるクルマに乗る方法がずっと分からず、初期選択画面で選べるクルマで練習していた。左端に「ガレージから選ぶ」という選択肢があることに気が付いたのはだいぶ時間が経った、本番直前の週末だった(笑)

レース本番直前。それなのに、人と一緒に走れない!?

 そして、あっという間に迎えた本番直前の週末。はたと気付いたのだ。「タイムトライアルばかりをプレイしていたため、“複数台で走るレース”ができない」と。

 今思い出しても完璧に致命的な問題過ぎて、あきれて笑いがこみ上げてくる(笑)。慌ててAIとのレースができる「シングルレース」での練習を開始。これまで1人で走っていたため、まわりのクルマとの距離感が分からず、追突するし体当たりするし、自分の思ったとおりのコースが走れないことが嫌になって、何度もコントローラーを投げ出しそうになった。

 それでも挑戦を続けるうちになんとなくぶつからない距離感を保てるようになり、AIに対して追い越しもかけられるようになった。カーブすらまともに曲がれていなかった最初のころに比べると、成長したなぁと実感したときだった。

シングルレースでプレイしないと、複数台で走る練習ができないと気付いたのが遅すぎた。私が練習する理由は「1人で走ってタイムを出すため」ではなく、「複数台で走って1位を目指す」ためだ!
最終的なプレイ時間はだいたい24時間くらい。ずっと練習が足りてないような気がしていた。そして、実際に足りていなかった

 その実感の結果はJeGT GP OfficialのYouTubeチャンネルで2月27日に公開された「【ROUND 03 INDIVIDUAL MATCH】AUTOBACS JeGT GRAND PRIX 2020 SERIES」で見ることができる。レース中のことは緊張しすぎと不安でまったく覚えていないのだが、とにかく丁寧に、丁寧に走ることだけを考えていたような気がする。苦手な1コーナーはしっかりと減速し、4コーナーは壁にぶつからないように……。上りで速度が乗らなくてもアクセル全開にすると壁に突っ込んでしまうので抑えて抑えて……、下り区間は適度にブレーキングして……。と、“ぶつからない”ことが第1目標になってしまったため、タイムは伸びず。さらに明らかなプレイスキルの不足で結果は散々ではあったものの、「勝ちたい」という同じ目標を持った人たちと一緒に走るということが、こんなに楽しいものなのかと知ることができた。

大会用に用意した「Car Watch号」(と心の中で呼んでいた)リバリー。メルセデス・ベンツなら車体色はシルバーでしょ! ネギ色の差し色入れちゃうでしょ! というオタク仕様

「レーシングゲームはうまくできないから……」と尻込みしていた最初の私に伝えたい。「本当はとても楽しいものだよ!」って。なにより、時間とPS4さえあれば家にいながら手軽にいくらでも走り込めるし、上達していってタイムが縮まったときの達成感や、苦手なコーナーのライン取りがうまくできたときの爽快感がとても気持ちいい。そして、クルマをぶつけてしまっても懐が痛まない(笑)。プロの方々の熱いプレイに胸を躍らせるだけではなく、コロナ禍でなかなか外出ができず、ドライブしたい、サーキットを走りたいと思っている方にも、ぜひともこの楽しさを味わってもらえたらと思う。

【ROUND 03 INDIVIDUAL MATCH】AUTOBACS JeGT GRAND PRIX 2020 SERIES