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SUPER GT 公式テスト富士、GT500はGR Supra勢が、GT300はGT-Rがトップタイム

トップタイムをマークした36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組、BS)

 日本で最も人気があるレースシリーズであるSUPER GTは、4月10日~11日に岡山国際サーキットで開幕する「2021 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル OKAYAMA GT 300km RACE」に向けた準備を進めている。3月27日~28日にはシーズンオフの公式テスト2回目となる「SUPER GT 公式テスト富士」が行なわれ、開幕前の最後の走行になることもあり各チームとも熱心に走り込んだ。

 2日間の走行でトップタイムをマークしたのは、GT500が36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組、BS)。GT300が56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)。GT500はGR Supraが、GT300はGT-Rが上位に来る結果となっている。

GT500はGR Supraが1-2、ニスモのGT-Rが3位のタイム

3番手のタイムをマークした23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)

 テストセッションは初日午前(セッション1)、午後(セッション2)、2日目午前(セッション3)、午後(セッション4)の4回(それぞれ2時間~2時間20分)が行なわれた。

 28日の午後に強い雨が振るという天気予報があったため、2日目午後のセッション4は2時間から1時間に減らされ、初日の午前、午後にそれぞれ30分ずつ追加されるというスケジュールで行なわれた。

 しかし、2日目は午前中こそ朝から降り続いた雨の影響が残ったが、徐々に路面はドライ方向に。セッション3終了直前には天気は晴れとなり、太陽まで出てくる状況に改善した。結局そのままセッション4の終了まで雨は降らず、ドライのまま1時間のセッションが終了することになった。(結局は杞憂に終わったものの)そんな天候の悪化が予想されたため、多くのチームは初日にテストプログラムを消費できるように予定を組んでおり、ロングランなどのタイヤテストなどを精力的に行なっていた。

 上位クラスとなるGT500は、2020年のクルマから基本的に開発が凍結されており、2021年シーズンは昨年利用した車両をそのまま使わなければならない。性能面で強化できるとすれば、エンジンに新スペックが投入できることだが、そちらも1シーズンで2基までという制限がある。したがって、その強化は開幕戦で利用する1つ目のエンジンと、シーズン中のどこかで投入する2つ目のエンジンとなる。

 このため、富士テストでは新スペックのエンジンのテストに各車とも追われていた。

1号車 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/武藤英紀組、BS)

 ドライバーはすでに発表されているとおりだが、2020年のチャンピオンチームであるSTANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組、BS)と、昨年惜しくも最終ラップの最終コーナーで失速して2位となった37号車 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ組、BS)は、牧野任祐選手が病気療養中のために武藤英紀選手に、サッシャ・フェネストラズ選手はコロナ禍による入国制限で日本に入国できないため阪口晴南選手が代役を務めている。

 開幕戦で牧野任祐選手とサッシャ・フェネストラズ選手が出場するかどうかについては、まだ発表されていない。

14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組、BS)

 2日間のトップタイムをマークしたのは36号車 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔組、BS)。ベテランとなった関口雄飛選手と、トヨタの若手ドライバーナンバーワンと言ってよい坪井翔選手というバランスの取れた組み合わせの36号車 au TOM'S GR Supraは、今シーズンのチャンピオン候補筆頭と言ってよい存在。トップタイムも初日の午後に坪井選手がマークしたタイム(1分27秒760)となる。

 2位はルーキー・レーシングとして2年目を迎える14号車 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太組、BS)で1分27秒949。3位は初日午前のトップタイムをマークした23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)となる。

 トヨタ、日産、ホンダの3メーカーは、セッションによって順位を入れ替えており、タイムを見る限りは各メーカーの差はとても小さいと考えられる。シーズンの開幕戦でも熾烈な戦いが繰り広げられることになりそうだ。

GT300はGT-Rがトップ3を独占、富士でのGT-R優位の構図は

GT300のトップタイムをマークした56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)

 GT300は2020年からの継続車両が多いが、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰組、BS)だけが利用していたトヨタ GR Supraが、60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組、DL)、244号車 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威組、YH)にも供給され3台に増えるなど、いくつかのチームで車両の変更が行なわれている。

60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組、DL)
244号車 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威組、YH)

 また、Audi Team Hitotsuyamaの1台だったAudi R8 LMSも2021年は2台に増えて、本山哲選手 兼 監督が率いるTeam LeMans w/ MOTOYAMA RacingのTeam LeMans Audi R8 LMS(本山哲/片山義章組、YH)が参戦している。SUPER GTおよび前身となる全日本GT選手権のGT500で3度のタイトルに輝く本山哲選手が、SUPER GTに帰ってくるのも大きなニュースだ。

 かつてのホンダのエースで、2000年の全日本GT選手権/GT500チャンピオンである道上龍選手 兼 チームオーナー率いるYogibo Drago CORSEのYogibo NSX GT3(道上龍/密山祥吾組、YH)とのレジェンドドライバーバトルも気になるところだ。

 GT300でトップタイムをマークしたのは2020年の年間チャンピオンである56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)で1分36秒467。

6号車 Team LeMans Audi R8 LMS(本山哲/片山義章組、YH)
34号車 Yogibo NSX GT3(道上龍/密山祥吾組、YH)

 2位。3位も同じくGT-Rで、11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組、DL)が1分36秒658、360号車 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/田中篤組、YH)が1分36秒742。いずれも初日の午前中に出したタイムとなる。昨年も富士でGT-Rは早いという印象だったが、その傾向は今年も続いているようだ。

 SUPER GTのシーズンオフテストはこの富士ですべて終了。4月10日~11日に岡山国際サーキットで予定されている「2021 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル OKAYAMA GT 300km RACE」の開幕を待つだけになっている。

セッション1の結果(PDF)

https://supergt.net/upload/fuji-test_0327s1.pdf

セッション2の結果(PDF)

https://supergt.net/upload/fuji-test_0327s2.pdf

セッション3の結果(PDF)

https://supergt.net/upload/fuji-test_0328s3.pdf

セッション4の結果(PDF)

https://supergt.net/upload/fuji-test_0328s4.pdf