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ホンダF1、第2戦で今季初優勝 ウェットスタートをチームと開発した結果を証明できたと田辺豊治TD

第2戦エミリア・ロマーニャGPを優勝したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手 (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 F1第2戦エミリア・ロマーニャGPがイタリアのイモラサーキットで4月16日~18日(現地時間)の3日間にわたって開催され、18日に行なわれた決勝レースでレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が今季初優勝した。PU(パワーユニット)を供給するホンダにとっても、今季初優勝となる。

 2020年シーズンのシーズン初優勝は第5戦の70周年記念GPまでかかったのに対し、2021年シーズンは第2戦でメルセデスを抑えて優勝した。ドライバーズランキングでもマックス・フェルスタッペン選手は、メルセデスのルイス・ハミルトン選手の1ポイント差の2位になり、レッドブル・ホンダ vs. メルセデスという構図がはっきり出始めた。

F1第2戦、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝 2位はメルセデスのハミルトン

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1319398.html

 第2戦終了後、F1の現場でホンダPUのテクニカル面を統括するホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏のオンライン会見が行なわれた。

ホンダF1 田辺豊治TD

 今日は2021年第2戦が終了しました。第2戦にして今季初優勝をマックス・フェルスタッペン選手が獲得。前戦(開幕戦のバーレーンGP)はポールポジションでレースは2位となり、ちょっと悔しい思いをしたのですが、今回ペレス選手が2位、マックス選手が3位。(マックス選手は)3位からスタートダッシュを決め優勝ということで、いいレースシーズンスタートの優勝になったと思っています。

 今日のレースは、スタート直前にコースの部分的に雨が降り出し、しかもかなり激しい雨だったので、非常に難しいコンディションの中でのスタートになりました。(スタート後)徐々に路面が乾いていく中で、ドライタイヤにどの辺りで切り替えるのか、ハミルトン選手との差がどうなのか、その辺りで非常に難しいレースだったと思っています。

 スピンアウトとか、クラッシュとか、赤旗中断もあったりという中で、きっちりと走りきり優勝してくれたマックス選手はさすがだなと思いました。

 ほかのクルマに関して言いますと、ペレス選手が難しい路面に足を取られる形でコースアウトしたり、それでちょっとペナルティをもらったりとか含めて残念な結果に終わりました。

 2番手スタートできっちり1番2番なり2番3番なり、1番3番なりという形でフォーメーションを組んでレース展開ができたらもうちょっと力強いレースだったかなと思いますが、これから先きっちりとチームとして戦えるようにやっていければと思います。

 ガスリー選手ですが、ウェットタイヤの選択の中でエクストリームでのスタートとなったのですが、序盤にその後雨が降らなかったということで、どんどんどん乾いていく路面の中で、タイヤ劣化が大きく、大きく順位を落とすと。最終的には、インターミディエイトやドライ(タイヤ)という形の中ではよいタイムで走り最終的に8位と。ちょっと残念な結果に終わりましたけど、レースを通してアルファタウリのクルマの戦闘力と、ガスリー選手の安定した走りを確認できたかなと思っています。

 角田選手に関して言うと、昨日のスピンで最後尾スタートと。スタート後は水煙を全車が巻き上げる中で、なかなか視界を含めて難しかったのではと思いますが、徐々に順位を上げていいところに来たのですが、今日もスピンをしてしまい、そこで大きく順位を落とし、ポイント圏外のままフィニッシュと。

 PUとしては、ウェットからセミウェット、ドライという中で走り、4台がきっちり完走し、そういう中でのエネルギーマネジメント等の設定もきっちりとできたと思っています。

 ある意味PU観点で言うと、きっちりレースができたかなと思います。

 これから23分の2を終わって、3戦目のポルトガルGPを再来週迎えますが、今回のデータをきっちり確認してみた上で、さらに我々としてパフォーマンスを上げる検討を進め、臨みたいと思っています。


 今回の勝利の大きなポイントに、ウェット路面でのスタートがしっかり決まったことが挙げられる。2020年の第14銭ポルトガルGPではフェルスタッペン選手はスタートに失敗、大きく出遅れていたのに対し、今回は3位スタートにもかかわらず、1週目でハミルトン選手を抜くなど、抜群のスタートだったことが勝利の要因になっていた。

 これについて田辺TDは、「スタートの設定を検討して、トルコGPのなにがわるかったのというところをきっちりと解析して、ではそれを向上するためにはどういう設定がいいのかと。車体側のクラッチコントロールだったり、エンジン側としては要求トルクに対するトルクの出し方だったり、その合わせ技ですね」「エンジンだけではないし、車体だけではないし、そこはチームと一緒に開発を続けて、今年に臨みました。今日、その結果が明らかに出ました。非常に複雑なところなので、なかなか難しい部分があるのですが、開発をした結果が証明できた。スタートダッシュでマックス選手がポールポジションのハミルトン選手をパスできたということは、非常によかったと思っています」と語り、「やった甲斐があったなと」と締めくくった。

 今シーズンのホンダPUは、パワー的にメルセデスと拮抗するものとなり、レース展開によっては圧倒する場面も見られるものになっている。さらに、昨年の明らかな弱点だったウェット路面のパワーコントロールも大きく改善されているようだ。ただ、昨年トルコGPでフェルスタッペン選手と争って2位を獲得するなど、ウェット路面の能力が高いと言われているペレス選手は、レッドブル・ホンダのパワーコントロールに苦労しているように見えた。

 ドライバーズランキングはフェルスタッペン選手とハミルトン選手の争いになりそうだが、チームランキングに関してはペレス選手がレッドブル・ホンダをどれだけ早く手の内に入れるかがポイントとなっていきそうだ。

※レース後、ストロール選手やライコネン選手にペナルティがあり、ガスリー選手は7位、ペレス選手は11位、角田選手は12位となった。

F1第2戦エミリア・ロマーニャGP 決勝結果

順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
133マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ632時間02分34秒59825
244ルイス・ハミルトンメルセデス63+22.000秒19
34ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス63+23.702秒15
416シャルル・ルクレールフェラーリ63+25.579秒12
555カルロス・サインツフェラーリ63+27.036秒10
63ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス63+51.220秒8
710ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ63+52.818秒6
818ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス63+56.909秒4
931エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー63+65.704秒2
1014フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー63+66.561秒1
1111セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ63+67.151秒0
1222角田裕毅アルファタウリ・ホンダ63+73.184秒0
137キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ63+94.773秒0
1499アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ62+1周0
155セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス61DNF0
1647ミック・シューマッハハース・フェラーリ61+2周0
179ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ61+2周0
NC77バルテリ・ボッタスメルセデス30DNF0
NC63ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス30DNF0
NC6ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス0DNF0

F1第2戦エミリア・ロマーニャGP終了後 ドライバーズランキング

順位ドライバー車両ポイント
1ルイス・ハミルトンGBRメルセデス44
2マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ43
3ランド・ノリスGBRマクラーレン・メルセデス27
4シャルル・ルクレールMONフェラーリ20
5バルテリ・ボッタスFINメルセデス16
6カルロス・サインツESPフェラーリ14
7ダニエル・リカルドAUSマクラーレン・メルセデス14
8セルジオ・ペレスMEXレッドブル・レーシング・ホンダ10
9ランス・ストロールCANアストンマーティン・メルセデス5
10ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ6
11角田裕毅JPNアルファタウリ・ホンダ2
12エステバン・オコンFRAアルピーヌ・ルノー2
13フェルナンド・アロンソESPアルピーヌ・ルノー1
14キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ0
15アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ0
16ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス0
17セバスチャン・ベッテルGERアストンマーティン・メルセデス0
18ミック・シューマッハGERハース・フェラーリ0
19ニキータ・マゼピンRAFハース・フェラーリ0
20ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス0

F1第2戦エミリア・ロマーニャGP終了後 チームランキング

順位チームポイント
1メルセデス60
2レッドブル・レーシング・ホンダ53
3マクラーレン・メルセデス41
4フェラーリ34
5アルファタウリ・ホンダ8
6アストンマーティン・メルセデス5
7アルピーヌ・ルノー3
8アルファロメオ・レーシング・フェラーリ0
9ウイリアムズ・メルセデス0
10ハース・フェラーリ0
(C)Getty Images / Red Bull Content Pool