ニュース
ホンダF1 田辺豊治TD、「メルセデスとは僅差の闘いで予選からの戦い方が重要」と第3戦を振り返る
2021年5月3日 06:06
ホンダPU搭載車3台がポイントを獲得
F1第3戦ポルトガルGPが4月30日~5月2日(現地時間)、「アウトドローモ・インターナショナル・ドゥ・アルガルベ(アルガルベ国際サーキット)」において開催され、5月2日(現地時間)には66周の決勝レースが行なわれ、ホンダPU(パワーユニット)を搭載したレッドブル・レーシング・ホンダは、マックス・フェルスタッペン選手が2位、セルジオ・ペレス選手が4位、アルファタウリ・ホンダはピエール・ガスリー選手が10位、角田裕毅選手は15位となり、3台がポイントを獲得するレースとなった。
F1第3戦ポルトガルGP、メルセデスのハミルトンが優勝 ホンダ勢はフェルスタッペン2位、ペレス4位、ガスリー10位と3台入賞
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1322449.html
ホンダF1の今シーズンは、開幕戦でマックス・フェルスタッペン選手がポールポジションから2位、第2戦では予選3位から優勝、そして第3戦の今回でも予選3位から2位と、メルセデスのルイス・ハミルトン選手が2勝+2位×1という成績に対して、フェルスタッペン選手が1勝+2位x2と、優勝と2位はハミルトン選手とフェルスタッペン選手しか獲得していないというマッチレースを毎戦展開している。今回のポルトガルGPでも同様で、昨日の予選、ポールポジションに相当するタイムを出したフェルスタッペン選手だが、コース外走行を取られて3位となるなど、小さな差が2人の結果を左右する展開になっている。
そうした中でレース後のオンライン会見に登場したF1の現場でホンダPUのテクニカル面を統括するホンダF1の田辺豊治TD(テクニカルディレクター)は「メルセデスとは僅差の戦いになっており、予選からの戦い方が重要になっている」と、予選も含めて完璧に戦わなければメルセデスを破ることができないほど競争が先鋭化していると説明した。
長いシーズンを考えれば拮抗した戦闘力の中で予選3位から2位でゴールできたことは最善の結果だったと田辺TD
――それでは田辺TDから今回のレースの総括を
田辺TD:この3日間、昨年は新しい舗装による路面の影響がどの程度かということで様子見から始まったが、今回もあまりグリップがあがらないという状況のままだった。また、午後になると強まる風の影響もあった。そのコンディションの中で、車のパフォーマンスも加わった状況の中で難しい3日間だった。結果としてはフェルスタッペン選手が2位表彰台で予選より1つ順位を上げ、ペレス選手は4位というグリッドのままの順位になった。アルファタウリの2台はガスリー選手が順位を1つ落としたが10位でポイントを獲得し、角田選手は予選がうまくいかなかったが、レースでも苦しい走りでレースが終わっている。
ホンダのPUとしてはスムーズな金土で、今日のレースも4台完走でトラブル無く終えることができた。昨日予選でポールを逃した結果、メルセデスが1-2になってしまったが、序盤から2台に絡み、最終的にメルセデスの2台に割って入ることができた。こうした拮抗した戦闘力の中で、2位という結果。この先長いシーズンを考えると、取られたり取ったりという長い戦いになることを考えれば最善の結果であり、このサーキットでのわれわれの戦闘力を考えるといい結果だったと思う。
戦闘力が近いということもあるが、4台ともに予選がレースの結果に影響してきている。予選が大事になり、そこで戦闘力を発揮してという、あたり前だけど、それがうまく回るようにチームと一緒に戦っていくために準備をしていく。
去年のこのレースでは予選でコンマ数秒、決勝では30秒程度の差をつけられていた。しかし、今年は最後ファステストラップを取りにいったので30秒程度の差になっているけれど、それが無ければ5秒程度の差であったことを考えれば大きな改善になっていると思う。しかしながら、依然として差はあるのでそれを詰めていきたい。
――この3戦メルセデスと接戦、ノーミスで勝てないところを見ると、予選からの準備がこれまで以上に重要になってくるということか?
田辺TD:その通りだ。昨年のレースでもすべてがうまくいって予選でメルセデスの前にいけると、戦いになってきていた。今年はより勝つということを考えると、本当に予選のちょっとした差が重要になってくる。また、アルファタウリは中段勢の拮抗した戦いの中、得意不得意のコースはあると思うけれど、大きく影響するとレース中パスすることが難しい。その意味で予選が重要であり、前に出てミス無く性能を最大限引き出してレースを完走することが重要だ。
――レースに敗れたので悔しいだろうが、メルセデスとの戦いでの手応えはどうか? 引き続き高いモチベーションがあるのか?
田辺TD:今の段階でどうのこうのと言うより、われわれは今年が最後ということも含めてモチベーション高くやっている。その上で今年の(この僅差という)状況とF1参戦最後の年ということもあって、さらにモチベーションを高くしてこの先のレースに臨んでいきたい。
――今回のレースではアルファタウリが2台とも苦しそうに見えた、それは車両の特性ということか?
田辺TD:確かに今回は今までの2戦に比べると苦しい展開だったことは否定できない。それがクルマの特性なのかに関しては私からはなんとも言えない。
来週のバルセロナでは豊富なデータがあるサーキット、エネルギーマネジメントなど準備をしっかりして臨む
――今回のレースでの角田選手に関してはマシンのバランスとか、マシンのグリップなどに苦しんだとコメントしていた。まだまだ勉強期間という印象か?
田辺TD:マシンのバランスやタイヤのグリップ、今回ここに来ているチームみんなに共通して悩んでいた。それに関して言うとそういう車にのった角田選手がいろいろ学んだのではないか。今年参戦してまで3戦、いいこともわるいこともいろいろなことを学び続けていると思う。
――PUの観点から得手不得手はあるのか?
田辺TD:当然PUもICEやERSなどさまざまなエレメントがあり、そのバランスだったりにより影響はある。今回は外気温が標準的で、どこも不得手はなかったのではないか。外気温によってはそういうこともあって、その日の環境などによって影響は出てくる。しかし、ここが特徴的といえばそれほどでもなく、今回はPUの違いによって得手不得手が大きく出ているとは思っていない。
――いつもよりもパフォーマンスが落ちたというのは車体側?
田辺TD:いつも言っていることが、車体とPUのトータルパッケージのパフォーマンスの中で得手不得手があるということだ。
――来週にはもうスペインGPがある、そのスペインGPに向けた見通しを教えてほしい。
田辺TD:通常バルセロナはプレシーズンテストが行なわれるサーキット(筆者注:今シーズンはバーレーンでプレシーズンテストが行なわれたので、バルセロナでは行なわれていない)で、年間の戦闘力を占えるようなベンチマーク的なサーキットになる。第1戦から第3戦までの結果と、毎年参考になるバルセロナにいって、レファレンスとしてどうなのかが見えてくると思っている。各チームいろいろな解析を加えて、データがたくさんあるバルセロナに乗り込んでくることになる。過去のデータ、今年ここまで使ってきたデータをレビューしてパフォーマンスを最大限に引き出す準備をしていく。チームとPUの使い方、具体的にはエネルギーマネジメントをシミュレーションして次戦にむかいたい。
基本的に来週の日曜日なので、短い期間だが、以前から進めてきた準備に今回の結果も加味して臨む。われわれとしてはこの勢いを維持してそれをもう1歩前に進めるバルセロナのレースにしたいと思っている。