レビュー
【タイヤレビュー】トーヨータイヤ「オープンカントリーH/T II」 オンロード志向のSUVや軽自動車にジャストフィット!
2025年5月1日 09:00
- 2025年4月より順次発売
- オープンプライス
- 全20サイズ
トーヨータイヤの「OPEN COUNRY(オープンカントリー)」シリーズは“オプカン”という愛称がユーザーの間に生まれるほどスマッシュヒットしている。その理由の1つがきめ細やかなラインアップであり、実は本格オフロード向けからオールシーズンといえるものまで7つものラインアップを展開している。
今回はその中の1つで最新作となる、主にオンロード向けに開発された「オープンカントリー H/T II」を試してみる。このタイヤはファッショナブルなデザインは他のシリーズと同様としながらも、トレッド部はオンロード向けにすることで、静粛性、摩耗、転がり抵抗の低減などを手にしていることが特徴となる。
今回は軽自動車向けの「オープンカントリーH/T II」を試した。その実物はブランド名や銘柄を白字とする好評のホワイトレターではなく、なんと可愛らしいホワイトリボンを採用していた。レトロな仕上がりは人気が出そうだ。
話はやや脱線するが、このホワイトレターやホワイトリボン、一体どうやって作っているかご存知だろうか? てっきり塗装しているのかと思いきや、白いゴムが中にあり、表面だけを削って作っているとのこと。よって、縁石に擦ったりしたとしても、白い部分が剥げてしまうなんてことはない。
トレッドパターンを見てみると、他の「オープンカントリー」に比べてかなりフラットな見た目であることが伺える。ただ、ブロックの1つひとつが大きく設計されており、力強い感覚が伝わってくる。ショルダー部はSUV向け(断面幅215以上)はスクエアだが、軽自動車やコンパクトSUV向け(断面幅205以下)はラウンドしている。
これなら確かにオンロードで乗ったとしてもゴツゴツはしないだろう。特徴の1つとしては摩耗時に溝幅の一部が広がるように設計されたディンプル付きワイドグルーブが備えられていることだ。溝が浅くなったとしても横方向に広げることで、水を吸収する面積を確保しようとしている。
今回の試乗ではオフロード向けの「オープンカントリー R/T」(以下R/T)と比較しながら、「オープンカントリー H/T II」(以下H/T II)の特徴を見てみることにする。
まずはR/Tで舗装路の外周コースを走ってみると、動き出しからゴツゴツとしたフィールと“ゴーッ”というロードノイズが車室内に入ってくる。いかにもオフロードタイヤといった感覚だ。後席に座ると音はさらに拡大し、やや耳障りであることは否めない。リアのタイヤハウス横に座らされているのだから当然といえば当然だが、これではちょっと同乗者が可哀想かもしれない。
走りの面では主にコーナーリング時のグリップの頼りなさが気になる。特に高速からの緩めの旋回ブレーキでは、リアの接地が瞬間的に抜けるようなこともあった。テストコースだからと特別な乗り方ではなく、高速道路のジャンクションにちょっと速く入ってしまった時に、若干ブレークしてしまうような動きは気になる。
もちろん、その後はスタビリティコントロールに助けられるから、本当にヤバイ状況になるわけではないが、瞬間的にグリップが抜ける動きは気になるところ。おそらくイン側リアの接地が抜けてしまっているのだろう。スタビリティコントロール付きのクルマで、速度を抑えて乗るならR/Tでもいいかもしれないが、雰囲気がいいからと何の安全装備もない旧車の四駆に装着するのは、あまりオススメできないと感じた。まあ、オフロード向けのタイヤだから当然といえば当然の話ではあるが……。
対するH/T IIは同じような状況でリアの接地が抜けるようなことはない。安定した走りを展開しており、さらに抵抗感もなく静粛性にも優れていることは明らか。リアに座ったとしても嫌な音に悩まされるようなこともない。「おしゃれは我慢から」なんていう世界だったものが1つ解決したように感じたH/T IIの仕上がりだった。オンロードしか走らないユーザーには、断然コチラをおすすめしたいと思った。