レビュー
【タイヤレビュー】ダンロップの新コンフォートタイヤ「スポーツマックス ラックス」初試乗 しなやかなステアフィールと高い静粛性を味わう
2025年3月12日 12:04
- 2025年2月から順次発売
- オープンプライス
- 全75サイズ
SPORT MAXXの名を冠したコンフォートタイヤ
このところSUVを中心としたプレミアムタイヤが各社からリリースされている。そこで今回紹介するのは、ダンロップの新プレミアムコンフォートタイヤ「SPORT MAXX LUX(スポーツマックス ラックス)」となる。
ダンロップはグローバル戦略の一環としてブランドの統一化を進めている。今回のSPORT MAXX LUXはコンフォートタイヤだが、ブランド名はSPORT MAXXシリーズに入り、従来品「VEURO(ビューロ)」が担っていたポジションに位置するものだ。グローバルで展開するSPORT MAXXを日本でも広く展開することでブランド力の向上を図っている。
なおSPORT MAXX LUXシリーズは、他にスポーツ系の「RS」、全方位の性能をバランスさせた「060+」がラインアップされている。
メルセデスのまったりとした乗り味にもよくマッチ
試乗車はSUVのメルセデス・ベンツ GLC(装着タイヤサイズは235/60R18)と、Eクラスセダン(同245/45R18)の2台。タイヤラベリングは、転がり抵抗がGLC/Eクラスサイズは「A」グレードで、ウェット性能も「a」グレードとなる。
最初にGLCのハンドルを握る。ダンロップの美点である乗りやすさはSPORT MAXX LUXでも磨きがかけられて、メルセデスのまったりとした乗り味にもよくマッチする。
滑らかな走り出しは安心感のある手応えだ。ステアリングのセンターフィールはもう少し欲しいところだが、メルセデス・ベンツとの相性はなかなかよく、直進状態に戻ろうとする力とのバランスもとれている。タイヤに癖がなく幅広いカテゴリーのクルマに合いそうだ。
素直なステアリング応答性を持ち、低中速で舵角が大きくなっても操舵力の変化は小さい。手応えが優しいダンロップらしい製品というのが第一印象。
幹線道路で軽いレーンチェンジを行なっても操舵感が自然で、イメージどおりの走行ラインで車線変更ができる。SUVにもマッチするソフトなステアリングフィールだ。
ダンロップは、タイヤプロファイルを変えることで各ブロックにかかる力を均一化させた結果、効率よく路面をとらえることができたとしている。
少し横Gがかかるような場面では、スポーツタイヤとは違うコンフォートタイヤらしいたわみ方でリラックスしてドライブできるのもSPORT MAXX LUXの魅力だろう。
SUVは大きな居住空間を得られる半面、重心高が高くロールも大きい。GLCもコーナーで少しロールが大きくなるが、タイヤもそれに応じてたわみながらグリップする。グリップ力はガッチリ路面をとらえるスポーツタイヤとは違うが、しなやかで滑らかなところがSPORT MAXX LUXの持ち味だ。このようなコーナーでもステアリングの切り初めからに操舵量の変化幅は小さい。
SPORT MAXX LUXのもう1つの美点に“ビューロ譲りの静粛性”がある。SPORT MAXX LUXも静粛性が高く、特に高周波ノイズがよくカットされている。
パターンはストレートグルーブを基本としたものだが、そのストレートグルーブの溝底に進行方向に向かってL字型の三角スロープを交互に2列を設けることで気柱管共鳴を小さくする技術を採用し、パターンノイズを減らしている。
基本的にパターンノイズの元凶となりやすい横溝がほとんどなく、センターグルーブに入る横溝も斜めに入れており、大きなパターンノイズにならないように工夫されている。
もう1つ音を小さくする技術としては、ダンロップが先鞭を切ったスポンジがある。「SILENT CORE(サイレントコア)」と呼ばれる吸音スポンジを、タイヤ内部の周方向に入れたものだ。最新のAI技術を用いて形状と容量を最適化させることで、タイヤ内部の圧力変化で発する振動音、ロードノイズを減少させている。気になるスポンジの劣化は、これまでの長い実績でもないという。
これらの技術によってパターンノイズはビューロ比で約15%、ロードノイズは約9%減少したとうたわれるが、確かにそのとおりで両車ともパターンノイズはよく抑えられ、どちらかと言えばロードノイズが少し耳に届く。静粛性は低速中速まで真価を発揮し、高速になると風切り音のほうが大きくなるがタイヤノイズはよく消されている。
セダンとSUVを乗ったが、タイヤの基本性能が変わることはなかった。マッチングで言えばEクラスセダンはAMG仕様でサスペンションの突き上げ感が若干強めだった。タイヤの突起の乗り越し性は路面形状を伝える程度でコンフォートタイヤらしいショック吸収性だ。EクラスのAMG仕様では先発のバランス型SPORT MAXX 060+もマッチングしそうだ。
SPORT MAXX LUXは静粛性、そして直進時の微操舵の安定性に注力したプレミアムコンフォートタイヤで、SPORT MAXXシリーズの重要な柱になるタイヤだろう。