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アルプスアルパイン、次世代自動車の開発などを目的に東北大学の「6軸動揺装置搭載ドライビングシミュレータ」を自社工場へ移設

2021年5月11日 発表

ドライビングシミュレータ

HMI領域を中心とした次世代自動車の製品開発へ応用

 アルプスアルパインは5月11日、国立大学法人東北大学(以下、東北大学)所有の「動揺装置搭載ドライビングシミュレータ」をアルプスアルパイン涌谷工場に移設し、稼働を開始したことを発表した。今後、ドライビングシミュレータを活用して次世代自動車の走行を想定したさまざまな評価・分析を行ないながら、人々の安心・安全な移動に貢献する製品開発を加速させるとしている。

 同社はすでに、いわき事業所や古川開発センターにあるテストコースやEMC評価センターをはじめとした多様な車両評価設備を活用して、品質にこだわった各種車載向け製品を提供。昨今ではCASE(Connected、Autonomous、Shared&Services、Electric)の技術革新により、自動車に求められる機能の高度化・複雑化が進んでいることに伴い、安心・安全を担保するための評価設備にもより高度な機能が求められており、さまざまな走行シーンや搭乗者への影響を織り込み、かつ現実と乖離しない環境での再現が必要になっているとのこと。

 そこで今回、東北大学所有のドライビングシミュレータを設置していたみやぎ復興パーク内東北大学多賀城拠点の満期閉鎖に伴い、現在は同ドライビングシミュレータを用いた共同研究も行なっているアルプスアルパインが、さらなる評価設備の拡充を目的に移設を決定。アルプスアルパイン涌谷工場への移設はすでに完了していて、5月11日から稼働を開始した。

 このドライビングシミュレータは6軸動揺装置を備え、走行時の車両運動をリアルにドライバーへフィードバック可能。実際にドライバーがドライビングシミュレータに乗車して利用することで、交通インフラのほか運転支援・自動運転などのシステムによる運転への介入に対するドライバーの反応などを、公道で実車を走行させることなく低コストで評価・分析できるようになる。

 本ドライビングシミュレータによる評価・分析結果は、アルプスアルパインが持つHMI(Human Machine Interface)領域を中心とした次世代自動車の製品開発へ応用され、安全・快適な移動を実現する車室内空間の実現へと活用される。また、ユーザーの要求する評価の代行実施や、東北大学をはじめとした大学や政府機関との共同研究などにも利用することで、産官学連携の拡大も目指すとしている。

ドライビングシミュレータの主な評価項目

ドライバー評価: ドライバーの反応や状態を運転動作(ハンドル、アクセル、ブレーキ操作)ならびにドライバーの生体信号(バイタル、視線計測)から評価。実車では危険が伴う実験などで有用。

インフラの事前評価: 看板や道路標識など、ドライバーから視認しやすいレイアウトと配置を評価可能。また、仮想空間の構築により事故多発地帯における路車間通信を想定した評価検証など、さまざまなインフラ評価もできる。

車両特性評価: 車両運動解析シミュレーションとの連携接続が可能。自動運転の制御やブレーキアシスト制御、カメラを用いた認識など試験内容を設定した走行評価が可能。また、車内レイアウトの評価もできる。

シミュレータ評価: 搭載されている実車両はさまざまな車両に入れ替えることができ、より現実に近い運転操作感の追求や映像のリアリティ向上など、シミュレータ構築の評価も可能。