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ホンダ、第71回 自動車技術会賞の「論文賞」「技術開発賞」を受賞

2021年5月27日 発表

論文賞:モーターの回転子における電磁鋼板と残留応力発生部位(赤線部)

電動車の進化と燃費向上への貢献に期待

 本田技研工業は5月27日、「第71回 自動車技術会賞」における「論文賞」「技術開発賞」の受賞を発表した。

 自動車技術会賞は、公益社団法人自動車技術会によって、自動車工学および自動車技術の向上発展の奨励を目的として1951年に創設されたもの。今回受賞した技術および技術者と受賞理由は以下の通り。

論文賞

・受賞テーマ
「電磁鋼板のプレス打ち抜き影響を考慮したモーター回転子の疲労寿命予測」

・受賞者(敬称略)
井上健太郎(いのうえ けんたろう)/本田技術研究所
大図達也(おおず たつや)/本田技術研究所
松本鉄平(まつもと てっぺい)/本田技術研究所
熊野勝基(くまの まさき)/本田技術研究所
齋藤圭介(さいとう けいすけ)/本田技術研究所

・受賞理由
 2モーターハイブリッドシステム「e:HEV(イーエイチイーブイ)」に搭載されているモーターの回転部(回転子)は薄い電磁鋼板を積層した部品であり、高速回転の遠心力によって大きな応力が発生する。モーターの耐久寿命の予測には、電磁鋼板のプレス加工で生じる残留応力の推定が不可欠となるが、加工硬化や破断などさまざまな現象が伴うため、その推定は難易度の高いものであった。本論文では、FEM(Finite Element Methodの略、有限要素法と呼ばれる数値解析手法の1つ)による計算と放射光X線による測定を組み合わせることで、プレス加工における残留応力を高い精度で得られることを検証し、この手法を生かした部品の耐久寿命の予測は実物による試験結果とよく一致した。こうしたデジタルを用いた高効率なモーター開発は部品の性能向上や電動車の進化、普及への貢献が期待される。

技術開発賞

・受賞テーマ
「進化型CVT金属ベルト」世界最高動力伝達効率の追究

・受賞者(敬称略)
矢ヶ崎徹(やがさき とおる)/本田技研工業
隅田聡一朗(すみだ そういちろう)/本田技研工業

・受賞理由
 金属ベルトを用いたCVT(無段変速機)は変速比を連続的に変化させることで、燃費の向上とスムーズな加速を実現するが、発進やクルーズ時の動力の伝達効率が課題であった。本開発の「進化型CVT金属ベルト」はエレメントとプーリーの形状を変更することによって、エレメントとリング、ベルトとプーリー、エレメント同士の接触状態を最適化。これにより課題であった動力の伝達効率を改善させるだけでなく、振動の原因となるミスアライメント(芯ずれ)も併せて解決し、電動車のさらなる燃費向上への貢献が期待される。

技術開発賞:進化型CVT金属ベルト