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ヤマハ、ロードスポーツ「MT-09 ABS」をフルモデルチェンジ 進化と同時に4kgの軽量化を実現
2021年6月22日 15:56
- 2021年7月28日 発売
- 111万円~126万5000円
軽量化技術を盛り込み旧モデルより4kgの軽量化を実現
ヤマハ発動機は、ロードスポーツ「MT-09 ABS」をフルモデルチェンジして8月26日に発売する。また、MT-09 ABSをベースに、オーリンズ製リアサスペンションやダブルステッチ入りシート、塗り分け塗装のタンクなど、性能と品質感を向上さた上級モデル「MT-09 SP ABS」を7月28日に発売する。価格はMT-09 ABSが111万円、MT-09 SP ABSが126万5000円。
MT-09 ABSは、従来からの「Torque&Agile」のキャラクターを継承・進化させ、ライダーに「Feeling」をもたらす「The Rodeo Master」をコンセプトに開発されたモデル。エンジンと車体をともに刷新することで大幅に進化させながら、随所に軽量化技術を織り込み、従来モデル比で約4kg軽量に仕上げられている。
新たな特徴としては「トルクフルな新888cm 3 CP3エンジン」「最低肉厚1.7mmの軽量CFアルミダイキャスト製新フレーム」「独自のSPINFORGED WHEEL(スピンフォージドホイール)技術による軽量アルミホイール」「トルク感と加速感を表現したサウンドデザイン」「新IMUを活用した運転操作を支援する各種制御」「感覚を刺激する新ボディデザイン」などが挙げられる。
2021年モデルの新たな特徴
トルクフルなCP3エンジン
慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率よく引き出す設計思想「クロスプレーン・コンセプト」に基づき開発された排気量888cm 3 クロスプレーン・コンセプトの3気筒エンジンは、ボア・ストローク78.0mm×62.0mm、11.5:1の圧縮比から優れたトルクとパワー特性を発揮。
また「ピストン」「コンロッド」「クランクシャフト」「カムシャフト」「クランクケース」など主要パーツの多くが新設計により軽量に仕上げられている。さらに、燃料供給系も一新し、インジェクターは従来のシリンダーヘッド直付けからスロットルバルブ側に取り付け位置を変更。噴射はバルブ傘裏方向とし、優れた燃焼効率を実現。この燃焼改善と軽量化により、燃費の改善も実現したという。
軽量CFアルミダイキャスト製新フレーム
最新のCFアルミダイキャスト技術により、最低肉厚1.7mmを実現した軽量アルミ製フレームを採用(旧モデルは最低肉厚3.5mm)。エンジン搭載角を47.5度から52.3度へと立て気味にしてコンパクト化し、ディメンションの最適化が図られた。また、直進安定性と操縦性を両立させるために、縦・横・ねじり剛性のバランスを調整し、特に横剛性については従来比で約50%アップさせたことで直進安定性に貢献。さらに、ヘッドパイプの位置を従来比30mm下げることでフロント荷重をかけやすくし、旋回時の優れたフロント接地感を実現している。
アルミパネルを溶接したボックス構造のリアアームは、高剛性と軽量化を両立。ピボット締結をリアアームの外側からフレームで支える構造に変更し、剛性チューニングやシート周辺形状の作り込みとの相乗効果で、スリム感を維持しながら優れた直進安定性、コーナリング安定性を両立している。リアフレームもCFアルミダイキャストを採用し、フレーム、リアアームとの合算で従来比約2.3kg軽量化して、アジャイルな走りの味を洗練させている。
独自の製造技術による軽量アルミホイール
ヤマハ独自のアルミ材の開発と工法の確立により「鋳造ホイールでありながら鍛造ホイールに匹敵する強度と靭性のバランス」を達成したヤマハ独自の「SPINFORGED WHEEL」技術による軽量ホイールを初採用。従来モデルより前後で約700g軽くできたほか、リアの慣性モーメントを11%低減させるなど、俊敏な運動性能に貢献している。
トルク感と加速感を表現したサウンドデザイン
「排気音」「吸気音」の質が“乗り味”に寄与する重要な要素であることに着目し、排気・吸気を独自に設計・チューニングし、トルク感・加速感を演出。排気音は1.5段膨張室サイレンサーと左右シンメトリーのテールパイプを採用することで、発進時はリアの駆動力と同期した排気音によってトルクを感じ、スロットルを開けた瞬間に音が増大して聞こえるような、スイッチ感のあるサウンドが響きわるようにチューニング。また、エンジン回転数の上昇に従って、ライダーへの主音源が排気音から吸気音へ切り替わるように調整してあるという。
吸気音は、断面積と長さの異なる3つの吸気ダクトを採用し、各ダクトによる吸気音を各周波数帯で共鳴させ、かつ音圧をチューニングすることで中・高回転域でサウンドを強調し、気持ちのよい加速感を演出する。
新開発のIMUを搭載しモデル特性に合った自然な制御を実現
新開発の「IMU(Inertial Measurement Unit)」を搭載。2015年モデル以降の「YZF-R1」で実績のあるIMUの基本性能を維持しつつ、センサー構成を見直すことで50%の小型化、40%の軽量化を実現。IMUの情報は、エンジン出力を制御する「ECU(エンジンコントロールユニット)」および、ブレーキ油圧を制御する「HU(ハイドローリックユニット)」に展開され、個々の制御は相互に連動して運転操作を支援。マシンのポテンシャルを効率よく引き出してくれる。各システムとも、介入レベルの調整とON/OFF設定も可能。「Torque&Agile」なモデル特性に合った自然な制御が特徴となっている。
新たな3代目を印象付けるデザイン
2014年の初代、2017年の2代目を受け継ぎ、大きく進化したポテンシャルを表現する新たなスタイリングが採用された3代目。エアインテークとそこに風を導くフロントウイングのスタイリングに空気の「流れ」や音の「波」などサウンドを想起させるテーマを採用。
また、ヘッドライトやサイレンサーなど各パーツをエンジンを中心に凝縮させて力強いトルク感を表現。さらにスムーズなトップラインに、ショートオーバーハングのシルエットを組み合わせ、初代から引き継いできた「ライダーの意のままに操れるイメージ」に加え、カバー類を極力減らしたゼロカバー造形による構造体を魅せるスタイリングで、軽量化したボディによる軽快なハンドリングも表現している。
さらに、コンパクトさとデザイン性を両立し、優れた照射性をもつバイファンクションLEDヘッドライト(Hi-Lo一体)を採用。照射範囲と範囲外の境目のコントラストが穏やかで柔らかくムラのない配光を実現した。ポジションランプも導光体を備えたLEDタイプとして、新しいMTフェイスを印象付ける意匠となっている。