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トヨタ、新型「アクア」ラインオフ式 豊田章男社長「いい感じ、非常にいい感じ」

2021年7月30日 開催

新型アクアのラインオフ式を開催

 トヨタ自動車は7月30日、トヨタ自動車東日本 岩手工場 結ギャラリーで行なわれた新型「アクア」のラインオフ式の模様をオンラインで公開した。

 ラインオフ式で最初にあいさつに立ったのは、トヨタ自動車東日本の宮内一公社長だ。宮内氏は「新型アクアのラインオフ式を前に、岩手県知事および工場のある金ヶ崎町町長へ新型アクアの生産開始を報告してまいりました。地元行政の皆さまからも大変高い期待を寄せていただいており身が引き締まる思いでございます。日本の未来にとって新型アクアは特別な1台になると確信しています」と切り出した。

 続けて「2011年に発売された初代アクアもトヨタの東北における歴史であり、同時に当社の歴史にとって特別なクルマでした。2011年3月11日は東日本大震災が発災しましたが、初代アクアの生産準備を進めていたここ岩手工場も被災しました。大きな被害を受けて4月18日までの38日間生産がストップしましたが、それでも関係者全員が『アクアのラインオフは絶対に遅らせない、予定された日に生産を開始してお客さまにお届けするんだ。それが東北の元気にもなる』という強い思いで工場の復旧とアクアの生産準備をやり遂げ、地域の皆さまのためにも“東北復興の星”として世に出すことができました」と、今回と同じく東北工場で行なった初代アクアのラインオフについての思い出も語られた。

 そして「その半年後、震災で多くのものを失った東北でクルマを作り続け、自動車産業の基盤を構築することがトヨタグループとしての復興への貢献といったことを強く想う豊田社長の命により、トヨタ自動車東日本株式会社が設立されました。当時、豊田社長は“アクアというクルマが岩手とともに、そして東北とともに日本のモビリティ社会をきっと変えてくれると期待します”と言われましたが、その言葉どおり、幅広いお客さまからの支持により、アクアは140万台を超える保有台数となるクルマへと成長しました。また、ハイブリッド車というクルマをより多くの人に乗っていただく基盤を築き上げることができたと思っています。アクアは震災復興と東北経済回復の象徴としてこれまでも、そしてこれからも新しい時代を切り開き東北の未来を作る存在であり続けます」と結んだ。

東北復興の象徴であった初代アクア。そのあとを継ぐ新型アクアも新しい時代を切り開き、東北の未来を作る存在を目指すとのこと

 続いて紹介されたのはトヨタ自動車の豊田章男社長からのビデオメッセージだ。ここではテストコースにて初めて新型アクアをドライブしたときに豊田社長の口から自然に出た「いい感じ、非常にいい感じ」という言葉が、そのとき録音された音声として紹介された。そしてその「いい」というひと言が新型アクアのTV-CMにおいてイメージとワードとして使用されていることも紹介された。

 初代アクアの立ち上げ時期に発生した東日本大震災についても、「アクアは東北復興の星、東北を元気にするためのクルマです。それはいまも変わりません。2代目が岩手で立ち上がることを本当にうれしく思います。2代目アクアは東北だけでなく日本全体をも笑顔にしていく存在になってくれると思います。2代目アクア全車には給電機能がつきます。災害が起きたときに乗っているお客さまを助けられるだけでなく、まわりの人の助けにもなる。そのようなまわりを想う気持ちでアクアを選んでいただける方もいらっしゃるかもしれません。そんな方に出会えたらとてもいい気持ちになるでしょう。東北を、そして日本をもっと笑顔にできるならそんなうれしいことはありません、岩手の皆さん、よろしくお願いいたします」と語った。

初めて新型アクアに乗ったときに口から自然に出た「いい感じ、非常にいい感じ」という豊田社長に肉声も流れた。音声には試乗中に曲がるシーンであったと想像できるウインカーのリレー音も入っていて、本当に自然に口から出た言葉という感じだった。豊田社長は「2代目アクアが岩手で立ち上がることを本当にうれしく思います。2代目アクアは東北だけでなく日本全体をも笑顔にしていく存在になってくれると思います」と東北工場の従業員に向けてコメントした

 宮内社長、豊田社長によるあいさつが終わると、画面は岩手工場 結ギャラリーへ戻る。そして新型アクアの実車を前に商品特徴の紹介が行なわれた。ここではトヨタ自動車から新型アクア企画担当者とトヨタ自動車東日本から3人の女性従業員が登場。それぞれが新型アクアに試乗し、その際に感じたことを挙げて企画担当者がそのことについて簡単に説明するという展開となった。

 1つ目は「スタイルとカラー、そして走りのよさについて」だ。これに対して企画担当者からは「新型アクアは初代アクアから引き継いだアクアらしい精悍さと親しみやすさをより上質に進化させたました」と回答。さらに「車名であるアクアは“水”のことで、水は“いつでもどこでも必要とされ浸透する”、そんな思いで人に寄り添う存在であることを願って付けられたものです」と付け加えた。

 カラーについては、車両のコンセプトであるシンプルでクリーンな心地よさを表現することに加え、幅広い層のユーザーに気に入ってもらえることを考えて全9色の設定であると紹介した。

 走りに関しては、下り坂を走るときなどアクセルペダルの操作だけでスピードの調整ができる「POWER+モード」の利点が語られた。同時に駐車支援システムとして、ハンドル操作、ブレーキ、アクセル、シフトチェンジなど、駐車時における全操作を車両が支援するトヨタチームメイト アドバンストパークとアクア初設定となる4WDのE-Fourも紹介された。

新型「アクア」は7月19日に発売。今日のラインオフ式でユーザーに渡る完成車が世に出たので、初代アクア同様に「街でよく見るクルマ」になっていくのだろう

 インテリアについては使い勝手のよさを中心に、初代アクアと比べて全長を変えずに後席居住性やラゲッジスペースの使いやすさを向上させたことに触れた。また、ドアミラーの配置場所を工夫することで前部三角窓からの視界を広げているとのことだった。

 最後は新型アクアに標準装備された給電機能についてだ。映像では女性従業員によって新型アクアの給電機能の立ち上げが行なわれた。機能を立ち上げるにはブレーキペダルを踏まずにパワースイッチを2回押して電源をオンの状態にする。続いて右にあるAC100Vスイッチを連続して3回押す。するとディスプレイに「非常時給電モード」という表示が出るのでこれで機能立ち上げ完了。あとはリアシートの足下にある給電用コンセントに100V電源ケーブルをつなぐと、外部の100V電気製品が動くようになる。なお、リアガラスを閉めた状態でリアシートの足下から電源を引くための窓用アタッチメンチ(標準付属品)の使い方も紹介された。

 以上がトヨタ自動車東日本 東北工場から発信された新型アクアラインオフ式の模様だ。新型アクは7月19日より発売開始となっているので、気になる方はトヨタ車販売店で見て乗って、豊田社長が「いい感じ」と口にしたアクアの魅力を体感してみてはいかがだろう。

新型「アクア」製造工程(2分41秒)