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アウディ、新型「RS 3」がニュルブルクリンクでコンパクトクラスのラップタイムレコードを樹立

2021年8月3日(現地時間) 発表

コンパクトクラスの新たなラップタイムレコード樹立した新型「RS 3 セダン」

セグメント最高レベルの加速と最高速度を実現

 アウディAGは8月3日(現地時間)、新型「RS 3 セダン」がニュルブルクリンクのノルトシュライフェ(北コース)で、これまでのコンパクトクラスのラップタイムレコードを4秒64上まわる「7分40秒748」という新記録を樹立したと発表した。

 アイフェル山脈に広がるニュルブルクリンク ノルトシュライフェでのタイムアタックは、理想的な気象条件の中、Audi Sportレーシングドライバー兼開発ドライバーのフランク・スティップラー氏がステアリングを握った。また、記録となるラップタイムを計測する前に、チームが行なった作業は、ピレリ P Zero Trofeo R(セミスリックタイヤ)の空気圧をサーキットコンディションに合わせて調整しただけという。

Audi Sportレーシングドライバー兼開発ドライバーのフランク・スティップラー氏

 スティップラー氏は「このような記録を出せるチャンスは、いつでもあるわけではありません。だからこそ、走行前に常にファインチューニングを実施する必要があるのです。特にタイヤ空気圧に関しては、トルクスプリッターの機能にも影響を及ぼします。そして、私たちのアプローチは成功しました。この日は、すべてがうまくいきました」と述べている。

 ここグリーンヘル(緑の地獄)と呼ばれる過酷なコースでの記録達成には、アウディの量産モデルとしてRS 3に初めて採用された、リアアクスルのトルクを完全に可変配分できる「トルクスプリッター」が大きく貢献したとしている。

 RS 3テクニカルプロジェクトリーダーのマーヴィン・シュウェッター氏は、レコードタイムが掲示板に表示されたとき、「チーム全員を大変誇りに思います! 誰もがこの日のために、懸命に作業を続けてきました。私たちが開発を始めたとき、このコンパクトスポーツカーが、ニュルブルクリンク北コースで実際にどの程度のタイムを出せるのか、まったく分かりませんでした。しかし、耐久テストの過程で、私たちは素晴らしいタイムを出して、新記録を樹立できると確信しました」と述べている。

Record Lap Nordschleife | Audi RS3 Sedan

敏捷性を最大限に高めるトルクスプリッター

 ニュルブルクリンク ノルトシュライフェで2回実施された8000kmの耐久テストでは、まだテスト段階であるにも関わらず、スティップラー氏は、このコンパクトスポーツカーのコーナリング性能を最適化することに成功。スティップラー氏は「大まかに言えば、新型RS 3は、クリッピングポイントからコーナー出口に向かう際の俊敏性が大幅に向上しています。また、コーナー出口における加速も明らかに改善されています。RSトルクスプリッターによりアジリティは飛躍的に高まりました」とコメントしている。

 このトルクスプリッターは、左右のリアホイール間で駆動トルクを完全に可変配分し、各ドライブシャフトはそれぞれ電子制御式のマルチプレートクラッチを搭載。スポーティな走行をするとシステムはコーナー外側の後輪のトルクを増加させ、左右駆動輪の推進力に差が生まれ、コーナー進入時の挙動が改善されるとともに、ステアリング操舵角に対する追随性をより正確にしてくれる。その結果、特に高速コーナリングで最適な安定性と最大の敏捷性を両立する。

サーキット走行用に特別に設計された「RSパフォーマンスモード」

 トルクスプリッターの特性は、アウディドライブセレクト ダイナミックハンドリングシステムを介して、用途、路面状況、ドライバーの好みに応じて、さまざまなモードに変更が可能。トルクスプリッターは新たに設定されたRSパフォーマンスモードと組み合わせることで、アンダーステアおよびオーバーステアを最小限に抑え、狙った走行ラインに沿った、非常にダイナミックでスポーティな走りを実現。これにより、コーナー出口でより早く加速することが可能になり、ラップタイムの短縮が可能となる。

 また、RSパフォーマンスモードを選択すると、今回初めて工場出荷時に装着することが可能になったオプションのピレリP Zero Trofeo R(セミスリックタイヤ)に合わせて、エンジンやトランスミッションも制御が最適化され、ニュルブルクリンク北コースでラップタイム出すための理想的なセットアップになるという。RSスポーツサスペンションプラスは、路面条件や運転状況、アウディドライブセレクトで選択されたモードに合わせて、各ショックアブソーバーを連続的かつ個別に調整してくれる。

 さらに、RSパフォーマンスモードには、異なる性質のサーキット用に2つのセットアップが用意され、1つはノルトシュライフェのように起伏の激しいサーキットに適したモード。このモードでは、優れたコーナリング性能を維持しながら、アンジュレーションに対するボディの揺れを柔軟に抑え込んでくれる。もう1つは、ホッケンハイムのようにフラットな路面に適したモードで、ステアリングを切るにつれてギア比が小さくなる「プログレッシブステアリング」により、ステアリングフィールは非常にダイレクトなものになるという。