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インディカー最終戦、日本でも活躍したアレックス・パロウ選手がホンダ製エンジンでシリーズチャンピオン獲得
2021年9月27日 10:20
- 2021年9月24日~9月26日(現地時間) 開催
日本での活躍が認められ2020年からインディカーにデビューしたパロウ選手
北米のトップフォーミュラーシリーズ「インディカー・シリーズ」の第16戦ロングビーチが9月24日~9月26日(現地時間)にわたり、米国カリフォルニア州ロサンゼルス近郊の保養地ロングビーチの「ロングビーチ市街地コース」で最終戦を迎えた。
名門チップ・ガナッシ・レーシングに今年から移籍したアレックス・パロウ選手は、最終戦を前に2位のパト・オワード選手(アロウ・マクラーレン・SP)に35ポイントの大差をつけていたが、そのオワード選手はレース序盤に右リアを破損して修復に入り脱落。
続く3位のジョセフ・ニューガーデン選手は47ポイント差があり、ポールポジション獲得、最多ラップリード獲得、さらに優勝したうえでパロウ選手が25位以下という厳しい条件であったが、レース途中で最多ラップリードをこのレースをトップでゴールしたコルトン・ハータ選手(アンドレッティ・オートスポート)に奪われて脱落し、レース中ではあるがその時点でパロウ選手の2021年ドライバーチャンピオン獲得が確定することになった。
アレックス・パロウ選手は1997年4月1日生まれの24歳。インディカー・シリーズに挑戦する前のパロウ選手は、2019年はスーパーフォーミュラ(SF)とSUPER GT(SGT)のGT300クラスに参戦し、2017年には全日本F3選手権にと、日本のレースシリーズにあしかけ2年参戦。2019年のSFではTCS NAKAJIMA RACINGから参戦し、開幕戦でいきなり予選2位を獲得し、第4戦富士で初優勝を遂げている。また、同年のSUPER GT(GT300クラス)にはチーム郷から参戦し、荒聖治選手とのコンビで720号車「マクラーレン・720S」をドライブし、最終戦のツインリンクもてぎ戦でポールポジションを獲得する活躍を見せた。
インディカーにデビューしたのは、そうした日本での2019年の活躍が評価された翌2020年。デイル・コイン・レーシングと日本のチーム郷との共同プロジェクトとしてスタートした「デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴウ」から参戦することになり、第3戦で早くも3位に入り、多くのレースでトップ争いに絡んだことでトップチームから注目を浴びる存在になった。
そして、その実績をもって、今年はインディカー・シリーズでチーム・ペンスキーと並ぶ強豪チームで、ホンダ・エンジン搭載チームの中では、ほぼ毎年最上位になっている強豪「チップ・ガナッシ・レーシング」に移籍した。
開幕戦のアラバマ州バーバー・モータースポーツ・パークのレースで移籍後いきなり、インディカー・シリーズ初優勝すると、シーズンのハイライトともいえるインディアナポリス500マイルレースで2位、その他にもロード・アメリカ、ポートランドのレースで優勝し、オーバルでもロードコースでも安定して速さを見せて、最終戦を前にして2位に35ポイント差でほぼチャンピオンを手中に収めていた。今回のロングビーチのレースでは手堅く4位に入り、参戦2年目にして自身初となるビッグタイトルを獲得した。
チップ・ガナッシ・レーシングには、インディカー・シリーズのタイトルを6回、通算50勝となる「ミスター・インディカー」といっても過言ではないスコット・ディクソン選手が絶対エースとして君臨しているチーム。そのチームでディクソン選手を破りパロウ選手がシリーズチャンピオンを獲得したことは、これまでベテラン勢が中心だったインディカー・シリーズに、若手へのシフトという大きな地殻変動をもたらすことになりそうだ。
実際、今シーズンはデイル・コイン・レーシングで活躍した元F1ドライバーのロマン・グロージャン選手がアンドレッティ・オートスポートへ移籍し、ベテランのライアン・ハンター・レイ選手がアンドレッティを去ることなどが発表されており、今後さらなる若手選手の参加などでインディカー・シリーズでも世代交代が進んでいく可能性が高い。
佐藤琢磨選手は予選16位から9位とシングルフィニッシュ、シリーズランキングは11位に
なお、日本の佐藤琢磨選手は、このレースで予選16位から最終的に9位まで追い上げた。これでシリーズランキングでは戦前の12位から11位に順位を上げてシーズンを終えることになった。
現時点では、来シーズンの佐藤琢磨選手の動向についての公式な発表はないが、海外メディアでは現在所属するレイホールチームから今年活躍したホンダ系の別のチームへの移籍が噂されるなどしており、現チームなのか、それとも別のチームなのかは分からないが、来シーズンもインディカー・シリーズで佐藤選手の姿を見ることができる可能性は高いと考えられる。
同選手からの正式発表を待ちたいところで、同時に3度目のインディ500制覇にも期待したいところだ。