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トヨタ、ZEV開発にNVIDIAのVDI活用 トヨタZEVファクトリー「ZEV B&D Lab」の取り組み公開

2021年12月15日 公開

 NVIDIAは12月15日、3D CADを利用する設計業務のVDI(Virtual Desktop Infrastructure)化について、トヨタZEVファクトリーの新部署「ZEV B&D Lab」での取り組みを紹介するブログを公式Webサイトで公開した。

 公開されたブログでは、トヨタのCAD VDI導入におけるモデルケース的な役割を果たしたZEV B&D Labでの取り組みについて、トヨタ自動車 DX開発推進部 主査 孝久正信氏、トヨタ自動車 トヨタZEVファクトリー ZEV B&D Lab 主幹 山田晃氏らの言葉を紹介している。

 働き方改革を推進する中で、設計製造の現場で課題となるのが3D CADを利用する設計業務のVDI化、3D CADを通常のVDIで利用するには、パフォーマンスが不足し、本格的なCADユーザーはVDIが利用できないという問題に企業は直面しているという。

設計開発プロセスのデジタルトランスフォーメーションを加速するCAD VDI ~トヨタ自動車事例~

 トヨタでは、2016年ごろからNVIDIA 仮想GPUソリューション(NVIDIA vGPU)を利用した、CAD VDIの実現に向けて検討を開始。検討初期からCADのユーザーと共に試行を進めて、画質、レスポンス、ネットワーク環境など現地現物でテストとチューニングを繰り返し、検証の結果、vGPUでパフォーマンスの課題が解決して導入が現実のものとなった。

 現在、管理、設計、モデリング、実験・解析、生産準備といった様々な業務で利用されていて、トヨタではCADユーザーの約5割が「CAD VDI」を利用し、設計業務に携わるエンジニアは場所に縛られずにどこからでも仕事ができるようになっているという。

 その中で、トヨタZEVファクトリーの「ZEV B&D Lab」は、電気自動車や燃料電池車などのZEV(Zero Emission Vehicle)を取り扱い、トヨタの中でも比較的新しい部署で働き方改革を率先して行なっていて、トヨタの全社的なプロジェクトであるCAD VDIの導入におけるモデルケース的な役割を果たした。現在のZEV B&D Labのオフィスは2021年1月に完成し、このオフィスは最初からCAD VDI利用前提で設計され、席はフリーアドレスを採用したことで、CAD VDIの機動性を生かした構成としている。

 CAD VDIへの期待とさらなる働き方改革への展望について、ZEV B&D Labの山田氏は「現状のCAD VDIのパフォーマンスは技術的な観点で満足いくレベルですが、さらなる性能向上を期待したいと考えています。社内でCAD VDIが浸透した一方で、一部のユーザーはCAD VDIで若干動作が緩慢だと感じることを理由に、今も物理ワークステーションを利用しています。将来的にCAD VDIの性能が、物理ワークステーション以上になれば、すべてのCAD端末を利便性の高いCAD VDIに変更できると期待しています」とコメント。

 DX開発推進部の孝久氏は「今後もトヨタ自動車はCAD VDIへの置き換えを推進して、さらに他のトヨタグループ企業にも同様の仕組みを紹介して行く予定です。さらなるCAD VDIの性能アップで、CADのハイスペック化、処理負荷が高いデザインやCAEなどもVDI 上に構築し、他部門のさらなる働き方改革の促進、業務のDXを目指していきます」とコメントしている。