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豊田章男社長、バッテリEV戦略説明会で2030年までに30車種のBEV投入を表明 レクサス「RZ」など16車種を一挙公開し電動化投資は8兆円に
2021年12月14日 20:08
- 2021年12月14日 発表
トヨタ自動車は12月14日、バッテリEV戦略に関する説明会を開催した。この戦略説明会で未公開車種を含むBEV(バッテリ電気自動車)を16車種公開。2030年までに30車種のバッテリEVを展開していくとした。
ここで公開されたバッテリEVはトヨタ「bz4X」などすでに発表済みのものはわずかで、ティザーも始まっているレクサス「RZ」を含め未公開のものばかり。豊田章男社長は「グローバルに乗用・商用各セグメントにおいてフルラインでバッテリEVをそろえてまいります」と語り、トヨタ・レクサスがバッテリEVにかける本気度を具体的なクルマによって示した。
その販売台数予測は、2030年時点で約350万台。これまでは約200万台としていたため、150万台も引き上げたことになる。トヨタ自動車の年間生産台数は、2021年度の期首見通しで約930万台。生産部品不足などの問題から第3四半期で30万台下げており、約900万台を見込んでいる。2030年時点での販売台数見通しは発表されていないが、中規模自動車メーカーの年間販売台数分をバッテリEVにすることを発表した形だ。
とくにレクサスについては、「2030年までにすべてのカテゴリーでバッテリEVのフルラインナップを実現し、欧州、北米、中国でバッテリEV100%、グローバルで100万台の販売を目指します。さらに、2035年にはグローバルでバッテリEV100%を目指します」とするなど、先端ブランドならではの戦略を語る。
すでに電池投資では2030年までに1.5兆円と発表していたが、それも
2兆円へと5000億円引き上げる。クルマへの投資は+2兆円となり、バッテリEV関連で4兆円、HEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCEV(燃料電池車)で4兆円の研究開発・設備投資を2022年~2030年の間に行なう。xEV(電動車)への投資は総額で8兆円となるわけだ。
バッテリEVを30車種で約350万台も生産しようとなると、研究開発・設備投資だけで4兆円もなり、さらにここに生産コストが加わっていくことになる。トヨタほどの規模がないと、とてもできない投資額だし、トヨタほどの規模があってもとてつもない投資規模になる。ちなみに、トヨタの2021年度の年間連結見通しで本業のもうけを示す営業利益は2兆8000億円。為替変動で大きく変わる営業利益だが、数年分の営業利益を2030年までにつぎ込むことになる。
豊田章男社長は、このバッテリEVに力を注ぎ込む戦略を「EV for everyone」と表現。そしてその未来は決してそんなに先ではないという。また、生産工程においてもカーボンニュートラルに取り組み、「エネルギーの使用量を減らす地道な改善を重ねながら、革新的な生産技術の導入を進め、2035年のカーボンニュートラル達成を目指しております」と語り、生産段階でのカーボンニュートラルは2035年をターゲットに取り組んでいく。
ただ、トヨタとしてはすべてのクルマをバッテリEVにするのではなく、地域のニーズに応えてクルマを取りそろえていく全方位戦略を採る。ただしその場合もカーボンニュートラルには取り組んでいき、「トヨタは各国、各地域の、いかなる状況、いかなるニーズにも対応し、カーボンニュートラルの多様な選択肢をご提供したい」と、多様な選択肢を提供していく。