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富士24時間レースを見すえ、BRZや1.4リッターターボのGR86などカーボンニュートラルレース車両のテストを実施

2022年2月23日 実施

カーボンニュートラル燃料でのフル参戦を予定しているスバル「61号車 BRZ CNF Concept」。昼の時間帯は通常のガソリンでのテストを実施

 2月23日、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)においてスーパー耐久公式テストが実施された。スーパー耐久は3月19日~20日に第1戦鈴鹿5時間が、6月3日~5日に第2戦富士24時間が開催されるが、このテストは開幕戦の鈴鹿5時間はもちろん、富士24時間を見すえたもので夜間走行などもスケジュールに組み込まれている。

 2021年のスーパー耐久は、カーボンニュートラル車両の開発のため水素を内燃機関で燃やして走るトヨタ自動車の「32号車 ORC ROOKIE Corolla H2 Concept」(以下、水素カローラ)の参戦が大きな話題となった。2022年はさらにその流れが大きくなり、水素カローラに加えて、同じカーボンニュートラル燃料で走るトヨタ「28号車 ORC ROOKIE GR86 CNF Concept」(以下、GR86CNF)やスバル「61号車 BRZ CNF Concept」(以下、BRZ CNF)がフル参戦。マツダはユーグレナのバイオディーゼル燃料「サステオ」で走る「55号車 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept」(サステオMAZDA2)をフル参戦させるなど、実験車両が走るST-Qクラスにはクルマの未来の選択肢を増やすためのカーボンニュートラル車両の参戦が相次いでいる。

新開発の直列3気筒1.4リッターターボを搭載するGR86CNF
サステオMAZDA2
水素カローラもフル参戦。昨シーズンからの進化点はどこに? 当たり前の風景になりつつあるが、世界的に希有な最先端の水素燃焼内燃機関を持つレーシングマシン

 そのほか、SUPER GTで日産自動車のエースドライバーでもある松田次生選手が「311号車 Team Fukushima フェアレディZ」でテストにエントリーしているほか、シビック タイプRの開発車を含む本田技研工業の有志による「743号車 Honda R&D Challenge FK8」もエントリーしているなど、新型車の開発につながる要素を持つ車両も見受けられる。

フェアレディZもテストを実施
シビック タイプR

 水素カローラの参戦にともなうST-Qクラスの新設以来、スーパー耐久の現場における車両開発の要素が入ってきており、その結果「クルマの未来も見える」イベントになりつつある。実際、トヨタは「公開開発」というキーワードで直列3気筒1.4リッターターボという新開発エンジンを搭載するGR86CNFを参戦させており、その公開具合も楽しみな要素だ。

 ただ、今回はテストであり、残念ながら積極的なインフォメーションはなかった。GR86CNFやBRZ CNFが使うカーボンニュートラル燃料についても昨今の国際的な輸送状況逼迫により輸入が遅れており、夜間走行から使う予定になっていた。

 これらのクルマの現状は、3月19日~20日に行なわれる第1戦鈴鹿5時間で明らかになり、6月3日~5日の第2戦富士24時間で耐久性が試されていく。カーボンニュートラル社会を作っていく上で電動化は大きな要素だが、各社は内燃機関の可能性をこのスーパー耐久で広げていこうとしている。

 カーボンニュートラル燃料によるモータースポーツは、今後スーパーフォーミュラやSUPER GTでも導入されていくが、水素やガソリン、ディーゼルなど世界的にも最先端を行くのがスーパー耐久であるのは間違いない。