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マツダ、ユーグレナのバイオ燃料「サステオ」を100%使った「デミオ」でスーパー耐久参戦 水素カローラとカーボンニュートラルレースへ

37号車 MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIOとチーム集合写真。水素カローラとのカーボンニュートラルレースが始まった

 スーパー耐久のカテゴリーに1つとして2021年に新設された「ST-Q」クラス。今シーズンからスタートしたこのクラスは「STO(シリーズ主催者)が認めたメーカー開発車両、または各クラスに該当しない車両」が参戦できることになっている。規定に沿ったマシンとして開幕戦からROOKIE RacingのGRスープラが参戦していて、第3戦の富士24時間からは水素エンジンを搭載したCorolla H2 concept(水素カローラ)が出場して話題を集めてきた。

 このようにST-Qクラスは自動車メーカーが次世代技術を搭載した車両をテストする場としても使われていて、第5戦の鈴鹿サーキットラウンドまでトヨタの2台が継続出場してきた。そこに新たに加わったのが37号車で、マシン名は「MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO」、チーム名は「MAZDA SPIRIT RACING」となっている。事前の暫定エントリーリストには「TBN」という表記になっていたが、予選が始まる11月13日の公式通知でこの37号車の全貌が明らかになった。

37号車 MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIO(井尻薫/前田育男/寺川和紘/関豊)
が用いる、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」。今回はこれを100%用いた状態でレースに挑む
デミオに収まるSKYACTIV-D 1.5エンジン

 11時30分からは、5社(トヨタ自動車、スバル、マツダ、川崎重工業、ヤマハ発動機)による共同記者会見が岡山国際サーキットで実施され、カーボンニュートラル実現に向けて内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦が発表された。会見のなかでも触れられていたが、マツダは次世代バイオディーゼル燃料の普及を目的とし、従来のディーゼルエンジン(SKYACTIV-D 1.5)を搭載した競技車両でスーパー耐久のST-Qクラスにスポット参戦し、来年からはフルシーズンでの参戦を想定して準備を進めていくとのことだった。

 広島では産学官が連携し次世代の自動車用液体燃料の開発を進めてきた。マツダもこの開発計画に参画していて、2018年からは世界で初めて微細藻類「ユーグレナ」の大量培養に成功したユーグレナと次世代バイオディーゼル燃料のバリューチェーンを構築するための共同プロジェクトを立ち上げた。広島ではCX-5に次世代バイオディーゼル燃料を使用した実証実験を続けてきていて、2020年8月にはこの新たな燃料が石油由来の軽油と同等の性能を発揮すること、原料製造から供給、そして利用までのバリューチェーンが構築できたと発表している。

 すでに広島では利用が始まっている使用済み食用油や微細藻類油脂を原料としたバイオディーゼル燃料をモータースポーツの現場に持ち込み、次世代燃料の可能性やカーボンニュートラルの実現に向けた選択肢を示すことになる

 レース参戦する37号車のMAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIOは、元々NOPROがST-5クラスにエントリーしていた車両がベースとなっている。エンジンはSKYACTIV-D 1.5で、トランスミッションは6速MTが組み合わせられている。

 バイオ燃料を使用するにあたって変更されたのは点火時期や燃料噴射などの制御系統がメインだったという。この制御系のセッティングはマツダのエンジニアが中心として作業しているが、レース現場での作業などはNOPROの協力を受けるそうだ。

 また、排気系も従来のマシンから見直されている。実際に走っているマシンの排気音がほとんど聞こえないことから、どのようなパワートレーンを搭載しているのかと疑問が持たれていたが、排気系の刷新によってレーシングサウンドが抑えられている。

 メーカーとしてスーパー耐久に参戦することが決まってからの期間は、わずか1か月ほどだといい、事前テストも限られていた。ほぼぶっつけ本番の状況の中で、37号車の予選結果はAドライバーの井尻薫選手が1分51秒904をマーク。Bドライバーはマツダの常務執行役員を務める前田育男選手がステアリングを握りタイムは1分53秒057。スーパー耐久の予選結果はA、Bドライバーのタイムを合算するため、合計で3分44秒961となっていた。

 MAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIOは、11月14日の午前中に実施されるGr.2の決勝レースで3時間の耐久レースを戦うことになる。

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第6戦 チケットについて

http://www.okayama-international-circuit.jp/special/stai-2021/

バイオ燃料普及の取り組み
レースクイーンも存在するなど、本格的なチーム運営で戦いに挑んでいる