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ボッシュ、2024年度竣工の「新研究開発拠点」と「都筑区民文化センター」をメーダー社長と下山田氏が詳説 約390億円投資

2022年2月24日 発表

2024年度竣工の「新研究開発拠点」

 ボッシュは2月24日、神奈川県横浜市都筑区に2024年度竣工する「新研究開発拠点」および「都筑区民文化センター(仮称)」建設に関するプロジェクトについてオンライン会見を行なった。この新研究開発拠点はボッシュにとって都築区において2つ目の研究開発拠点となる。新研究開発拠点は都筑区民文化センターと一体になってボッシュが建設し、このプロジェクトはフュージョンプロジェクトと呼ばれている。

 オンライン会見には、ボッシュ 代表取締役社長 クラウス・メーダー氏とフュージョンプロジェクト推進室シニア・ゼネラル・マネージャー兼渋谷施設管理部ゼネラル・マネージャー兼渋谷本社事務所長 下山田淳氏が登壇。この大規模プロジェクトについて詳説した。

ボッシュ株式会社 代表取締役社長 クラウス・メーダー氏

地上7階、地下2階、約390億円投資の新研究開発拠点

新研究開発拠点の概要

 新研究開発拠点は、地上7階、地下2階、延床面積5.3万平方メートルという大規模なものになる。メーダー社長によると、1990年に都筑に設置した最初の研究開発施設の2倍の規模となり、現在東京都渋谷区にある本社を移転するほか、国内8拠点、約2000名の従業員を集約。電動化、自動化、ネットワーク化、パーソナライズなどより高度な電気・電子ソフトウェアの重要性が増している現在、ボッシュとしてもクロスドメインコンピューティングソリューション事業部を2021年に創設。それらを進めていき、AI開発などのソフトウェア開発者約200名の新規採用も予定している。

 コロナ禍における現在、多くの会社はオフィスエリアを縮小する動きなども見られるが、メーダー社長はオフィスがあることで「長期的な視点に立ち、より自由な開発が進められる。ボッシュはダイアログ、対話を重視する社風を持ち、コラボレーションが促進される」と説明。ソフトウェア開発も中心となっていくためテレワークに対応しているオフィスとなっているが、ボッシュの主要な顧客である日本の自動車メーカーとのコラボレーションやワークショップなども考えているとのことだ。

 ボッシュは2020年春にグローバルでカーボンニュートラルを達成しているといい、ボッシュのアジア太平洋地域の施設として初めてボッシュのSOFC(固体酸化物形燃料電池)を導入。都市ガスによる水素精製発電のほか、別途水素も購入してカーボンニュートラルへ対応していく。この施設により、電気代を20%削減するほか、CO2の排出量の20%削減を実現するという。

 新社屋ではそのほか、太陽光パネルにより年間50MWh発電、窓へのルーバー設置で日射量を50%削減、自動換気システムで冷房や暖房の電力需要を年間68MWh削減、雨水の再利用で水利用を年間13%削減するといい、ボッシュとしてはドイツ ドレスデンの半導体工場と同様デジタルツイン手法を用いて建設されている。さまざまな角度からシミュレーションが行なわれていることになる。

SOFC
サステナビリティの取り組み
デジタルツイン化もされている

新研究開発拠点とつながる都筑区民文化センター(仮称)

ボッシュ株式会社 フュージョンプロジェクト推進室シニア・ゼネラル・マネージャー 下山田淳氏

 この新研究開発拠点と接続される都筑区民文化センター(仮称)もボッシュが新たに建設。2024年度中(2025年3月まで)に竣工し、横浜市に引き渡される。フュージョンプロジェクト推進室シニア・ゼネラル・マネージャー 下山田氏がこの都築区民文化センターについて説明。

 ボッシュは日本においては1911年に横浜で創業しており、日本での創業以来この地とともに発展してきたという。ボッシュの社屋と区民文化センターを一体化した作りはボッシュとしてもグローバルとして初めての試みになるとし、「年間を通じて一般の人々にまた行きたいと思える場所にしたい」と語った。

都筑区民文化センター
全天候型広場

 区民文化センターとして年間20万人の利用が見込まれており、そのような大規模施設の建設をボッシュが担当したのは「区民文化センターの建設をまかせていただいたのは大変光栄なこと」と述べた。

 区民文化センターにおけるイベントとしては、ボッシュも協力しているクリスマスマーケットなどが予定されており、「地域連携に心から貢献していきたい」と下山田氏は、施設ができるのが楽しみなようだった。

施設概要

ボッシュ・グループの研究開発施設

所在地: 神奈川県横浜市都筑区中川中央一丁目9番1、2
構造: 鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)
階数: 地上7階、地下2階
敷地面積: 1万2,037.66平方メートル(区民文化センター部分を含む)
延べ床面積: 約5.3万平方メートル
設計・施工: 株式会社大林組
竣工予定: 2024年9月
移転時期: 2024年12月までに順次移転予定
認証: CASBEE横浜建築評価にてAランクを取得予定(区民文化センター部分を含む)

都筑区民文化センター(仮称)

構造: 鉄筋コンクリート造(一部 鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造)
階数: 地上4階、地下1階
設計・施工: 株式会社竹中工務店
竣工予定: 2024年9月
開館時期: 2024年度中(2025年3月まで)
認証: 同上