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ボッシュ、ドレスデンに300mmウエハーの半導体工場設立 メルケル首相やIntel ゲルシンガーCEOが祝福

2021年6月7日(現地時間) 実施

ボッシュがドレスデンに新設した半導体工場ではAI技術を用いて半導体生産を行なっていく

 ボッシュは6月7日(現地時間)、ドイツ連邦共和国ザクセン州の州都であるドレスデンに新しい半導体製造工場をオープン。オープニングイベント実施した。このイベントはオンライン形式で行なわれ、ボッシュのフォルクマー・デナー取締役会会長やメルケル首相、マーガレット・ヴェスタガー欧州委員会副委員長も参加。そのほか、Intel パット・ゲルシンガーCEOや、NVIDIA ジェンスン・フアンCEOら半導体メーカーのトップがビデオでお祝いのメッセージを送るなど華やかなものとなっていた。

 ボッシュがドレスデンにオープンした半導体工場は、直径300mmウエハーでパワー半導体を製造する最新の工場になる。一般的に半導体は銀塩写真と同様のプロセスで電子回路を半導体ウエハーに刻み込んでおり、ウエハーのサイズが大きければ大きいほど、一度に製造できる半導体チップの数が多くなることでコスト効率に優れ、スケールメリットの向上が期待できるとされている。とはいえ、光とレンズを使った製造工程のため、中心はよいが周辺はその特性的に回路パターンが甘くなる傾向にあり、どれだけしっかりしたものを作り込めるかは各メーカーの技術力となっている。

ボッシュ フォルクマー・デナー取締役会会長(Dr.Volkmar Denner,chairman of the board of management of Robert Bosch)
メルケル首相(Dr.Angela Merkel,Chancellor of the Federal Republic of Germany)
Intel CEO パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)氏
NVIDIA CEO ジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏

 ボッシュはこの工場の設立に向け10億ユーロを投資。製造プロセスは「1μm(マイクロメートル)の数分の1という微細な構造」としており、300mmウエハーから3万1000以上のチップを切り出していくという。この工場では、電気自動車やハイブリッド車に搭載するDC/DCコンバータ向け半導体から製造され、初期の生産は計画より半年早く、7月に開始予定。まずは、ボッシュの電動工具に組み込まれ、自動車メーカー向けチップの生産は、計画よりも3か月早く9月にスタートする予定としている。

Die neue Bosch Waferfabrik in 360 Grad(英文、独文)

https://www.360-grad-sachsen.de/panos/bosch_halbleiterwerk_dresden/index.html

 また、ボッシュはこの工場をより知ってもらうために、英文と独文の説明のみとなるがWebでのバーチャルツアーコンテンツ「Die neue Bosch Waferfabrik in 360 Grad」を用意。AIを活かしたというボッシュの半導体工場のレイアウトを垣間見ることができる。

 なお、オンラインではあるがドレスデンに工場を立地したことについて質問してみたところ、この地に優秀な半導体技術者が多くいることや優秀な技術系学校があることを挙げ、最先端の半導体工場を立地するには最適な場所であるとした。

AMD、ドレスデンFab30レポート(PC Watch)

https://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991021/amd01.htm

AMD Fab36グランドオープニングレポート(PC Watch)

https://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1015/amd.htm

 僚誌PC Watchの関連記事にもあるとおり、このドレスデンはかつてAMDがFab30やFab36を設置した(現在はGLOBALFOUNDRIESのFab1)土地であり、今では欧州のシリコンバレーとも呼ばれるシリコン・サクソニー(Silicon Saxony)となっている。その地に最先端の半導体工場を新たに設けることで、ボッシュは今後の電動化需要に応えていくことになる。