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ホンダ、東大、凸版、三洋化成、「装身型生化学ラボシステム 社会連携講座」を共同開設

2022年3月9日 発表

 本田技術研究所、東京大学大学院工学系研究科、凸版印刷、三洋化成工業は3月9日、体に装着して使う生化学ラボシステムの開発に向けた社会連携講座「装身型生化学ラボシステム 社会連携講座」を2022年1月1日に東京大学内に共同開設したと発表。

 同講座で、体に装着し、汗などの生体試料から主にストレスや疲労などに関わる生化学情報を体への負担が少なくかつ連続的にセンシングする「装身型生化学ラボシステム」の開発や、その実証技術の研究に着手したことを明らかにした。

 この講座は、業種の異なる3社と東京大学のバイオエンジニアリング専攻で、ヒトとデバイス・マテリアル、さらに機械をつなぐバイオインターフェース技術、デバイスおよびシステム設計技術を構築し、さらに、開発する装身型生化学ラボシステムを用いた“先進ヘルスケアシステム”の実証技術を構築。これによって、将来的には自動車や建機など移動・輸送機械の運転時の安全性や快適性の向上、健康・医療・介護機器などでの活用による人々の一層の健康増進に貢献することを目指している。

 また、同講座では、装身型の生化学ラボシステムを用いた先進ヘルスケアシステムのあり方の議論を、医工学連携教育として実施することで、未来の医療を担う人材育成を行なうとしている。

“先進ヘルスケアシステム”とは、体温・脈拍・心電などのバイタル情報を用いて体調管理や健康維持に活用するヘルスケアをさらに発展させ、安心・安全・快適性を向上させたウエアラブルセンシングデバイスかつ、さらにそれらの情報をIoTやAI技術と複合・高度化し、取り巻く環境や機器と連動させた次世代のヘルスケアシステム。

 同講座に参画するホンダは、先日公表した、AIを活用した「知能化運転支援技術」において、眠気や疲労を軽減してくれる「バイオフィードバック」など、それぞれのドライバーの認知状態と交通シーンに応じた適切な運転支援を行なう将来安全技術として、2020年代後半の実用化を目指している。

 これら技術をさらに進化させるべく、ホンダが参画する同講座では、運転リスクの要因となる疲労やイライラ、怒りといった人の体と心の状態を、不安全な運転行動が現れる前に検知・予測するモニタリングシステムの研究開発に取り組むとしている。

 4者で取り組む「装身型生化学ラボシステム」の研究成果を自動車などの運転時に活用することで、ドライバーの心と体を常に“見守り”、運転時のヒューマンエラーを低減することが可能となるとして、「2050年に全世界でHondaの二輪・四輪が関与する交通事故死者ゼロ」を目指すとしている。