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ポルシェ、「911ターボS」をベースにしたWEC用新型セーフティカー公開

2022年3月14日(現地時間) 発表

ポルシェがWEC2022年シーズンで使用される新型セーフティカーを公開した

 ポルシェは3月14日(現地時間)、WEC(FIA世界耐久選手権)で使用される新型セーフティカーを公開した。

 新型セーフティカーは「911ターボS」をベースにしていて、478kW(650PS)を発生し、0-100km/h加速は2.7秒を誇り、最高速度は330km/hをマーク。WECのセーフティカーとして使用するため、データ通信技術、照明信号システム、2つの追加モニターを搭載している。

新型セーフティカーは「911ターボS」がベース車両となっている
黒と赤のカラーリングが施された2台の新型セーフティカーは、2022年シーズンのWEC全戦に出走する予定という

 ポルシェのパートナーであるマンタイで、セーフティカーの運搬とメンテナンスを担当するアダム・コット氏は「セーフティカーは、出発するとルーフの大型LED灯がアンバー色に点滅します。必要であれば中央部分を緑色に切り替えることもできます。ルーフの大型LED灯と前後のフラッシュライトの制御装置は、フロントのラゲッジルームに移設されました。また、省スペース化のため、レースコントロールへの無線接続、いわゆるマーシャリングシステム用の電源と電子機器もフロントのラゲッジルームに収められています。市販車モデルと比較すると、センターコンソールには新しいスイッチが設置され、ステアリングホイールには拡声器用の赤いボタン、ロールバー、6点式安全ベルト、バケット型レーシングシートが装備されています」と解説する。

ルーフの大型LED灯
ルーフのLED灯の中央部分は緑色にも光らせられる
通信アンテナ
前後にフラッシュライトを完備
追加モニター
LED灯の操作スイッチ
ステアリングの拡声器使用ボタン

 さらに、サーキット走行用に特別にセットアップされたサスペンションも装備されていて、2022年シーズンのセーフティカーのドライバーは、ポルトガル人のPedro Couceiro氏と、1994年のル・マン24時間レースでポルシェ「962」を操り総合優勝を達成したフランス人の元レーシングドライバー、Yannick Dalmas氏が務めるという。

セーフティカーの運搬とメンテナンスを担当するアダム・コット氏

 ファクトリーチームと一緒に世界中を巡るセーフティカーは、WECの練習走行日にも仕事があり、「セーフティカーのドライバーは信号システムや無線をチェックするために周回を重ねます。クルマ自体の走行距離はそれほど多くなく、平均すると年間1000kmくらいでしょうか。いつもは燃料を補給して、タイヤとブレーキをチェックするだけです」とアダム・コット氏は解説を加えている。

通常のレースでは1台のみの稼働だが、ル・マン24時間だけは1万3623kmという長いレースのため、2台のセーフティカーが同時に出動できる特別ルールが適用されているという

 FIA WECファクトリー・モータースポーツディレクターの Alexander Stehlig氏は「セーフティカーの供給は、FIA WEC組織およびル・マン主催者であるACOとの信頼関係の1つです。今年から非常にパワフルで速い911ターボSをサーキットで見られることを嬉しく思っています」とコメントしている。

FIA WECファクトリー・モータースポーツディレクター Alexander Stehlig氏