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日野、エンジンの認証申請における不正行為に対する陳述書を提出 小型エンジンの認証試験において意図的な不正行為を確認

2022年3月25日 発表

 日野自動車は3月25日、日本市場向け車両用エンジンの認証申請における不正行為に関し、国土交通省からの聴聞について陳述書を提出した。

 また、3月4日の公表時点では調査中であった小型エンジン「N04C(尿素SCR)」(小型バスに搭載)について、認証試験の燃費測定において意図的にエンジン性能を偽る不正行為があったと判断したことを明かした。

陳述書の内容

 国土交通省が予定している同社に対する不利益処分の内容および、原因となる事実は「中型エンジンA05Cの一酸化炭素等発散防止装置の装置型式の指定の取消し」「中型エンジンA05Cを搭載した共通構造部型式の指定及び燃費評価の取消し」「大型エンジンA09Cを搭載した共通構造部型式の指定及び燃費評価の取消し」「大型エンジンE13Cを搭載した共通構造部型式の指定及び燃費評価の取消し」となる。

「中型エンジンA05Cの一酸化炭素等発散防止装置の装置型式の指定の取消し」について、指定取り消しの対象となる型式は「A05C-TFA」「A05C-TFB」。不利益処分の原因となる事実は、排出ガス性能に係る長距離耐久試験の途中で部品(触媒)を交換し、排出ガス性能が基準を満たしているという技術的根拠がないにも関わらず、満たしているとの評価を得て、不正に型式指定を取得したというもの。

「中型エンジンA05Cを搭載した共通構造部型式の指定及び燃費評価の取消し」について、指定取り消しの対象となる型式は「FC-DH0」(通称名:日野レンジャー)。不利益処分の原因となる事実は、不正に型式指定を取得した一酸化炭素等発散防止装置を搭載し、不正に型式を取得したというもの。

「大型エンジンA09Cを搭載した共通構造部型式の指定及び燃費評価の取消し」について、指定取り消しの対象となる型式は「FR-DH0」「FW-DH0」「FN-DH0」「FH-DH0」「PR-DH0」「SH-DH0」「FR-HH0」「FW-HH0」「RU-DH0」(通称名:日野セレガ、日野プロフィア)。不利益処分の原因となる事実は、燃費測定試験において、不適切な方法(燃料流量計の不正操作)でデータ取得を行なっており、燃費性能が基準を満たしているという技術的根拠がないにも関わらず、満たしているとの評価を得て、不正に型式指定を取得したというもの。

「大型エンジンE13Cを搭載した共通構造部型式の指定及び燃費評価の取消し」について、指定取り消しの対象となる型式は「FR-DH0」「FW-DH0」「SH-DH0」「SS-DH0」「RU-DH0」(通称名:日野セレガ、日野プロフィア)。不利益処分の原因となる事実は、燃費測定試験において、不適切な方法(燃料流量計の不正操作)でデータ取得を行なっており、燃費性能が基準を満たしているという技術的根拠がないにも関わらず、満たしているとの評価を得て、不正に型式指定を取得したというもの。

小型エンジン「N04C(尿素SCR)」について

 小型バスに搭載している小型エンジン「N04C(尿素SCR)」に関しては、認証試験の燃費測定において、燃費性能が基準を満たしていない可能性を認識した上で、アイドリング時の燃料消費量について、燃料流量が安定する前の測定開始といった燃費に有利な条件での試験実施や、複数回の測定結果から最もよい値を採用するといった不正行為を確認。

 今後の対応として、正しい燃費諸元値を確認した上で、使用過程車への必要な対応、当該車種を使用しているユーザーへの対応、ならびに税制優遇への対応を行なっていくとした。

 同エンジンを搭載する小型バス「日野リエッセII」は、モデル切り替えのため現時点で新規出荷はなく、同エンジンが搭載されるトヨタ自動車の小型バス「コースター」も現時点でモデル切り替えのため新規の出荷はないとのこと。

 なお、小型トラック「日野デュトロ」「トヨタ・ダイナ」については、異なる機種の小型エンジンが搭載されており、不利益処分の原因となる不正行為とは関係ないとしている。

 日野は「引き続き、自社によるエンジン認証手続きに関する総点検を実施するとともに、外部有識者で構成される特別調査委員会において、事案の全容解明および真因分析を進めていただいているところです。同委員会からの再発防止策の提言等も踏まえて、当社として、信頼回復に向けた抜本的な再発防止およびコンプライアンス・ファーストの企業体質再構築に取り組んでまいる所存です。なお、本件にかかる業績への影響は精査中です。業績に与える影響につきまして、今後開示すべき事項が発生した場合には速やかにお知らせいたします」としている。