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マイクロソフト、トヨタとの共同プロジェクト「通れた道マップ」チームの新たな取り組みを公開

2022年4月4日 発表

左手から、トヨタコネクティッドの皆川氏、奥山氏、藤原氏、日本マイクロソフトの藤巻氏、半田氏、二宮氏、

 日本マイクロソフトは4月4日、トヨタコネクティッドとともに進める、AIとIoT、コネクティッドカーを組み合わせたプロジェクトについての取り組みを紹介するコンテンツを公式Webサイトにおいて公開した。

 両社のプロジェクトでは、2011年の東日本大震災時に協力して取り組んだ「通れた道マップ」をルーツにするテクノロジを活用しながら、さまざまな社会課題解決のためのプラットフォームへ展開しようと取り組んでいる。

「通れた道マップ」は、震災後に通行実績のある道路の情報を集計し、被災地の避難や救援、物流などをサポートする地図サービス。その後、同サービスは発展を続け、現在もトヨタ企業サイトにて公開中。

「通れた道マップ」のイメージ。通行実績を把握することができる

 両社のプロジェクトでは、この通れた道マップを支えるテクノロジを、社会課題解決のためのプラットフォームとして、例えば、無人販売や人物認識、AI浸水検知、工場内輸送、社用車の企業間シェアリングなどへ展開することを考えている。そして、汎用テクノロジを活用したローコストなソリューションとして「Raspberry Pi」と「Windows」をベースに、Azure IoT Edge/エッジソリューションを構築、特にこの1年で、AI浸水検知と人物認識のソリューションが形になるところまで進化させた。

AI/IoT エッジデバイスとクラウドアーキテクチャ
AI/IoT エッジデバイス外観
AI/IoT エッジデバイスの内部構成部品。様々なソリューションを組み合わせ IoT デバイスとソフトウェアの融合を実現させた
GPS トラッカーのプラットフォーム概念図
「GPS トラッカー」から収集された情報はリアルタイムにダッシュボードで確認可能

 AI浸水検知ソリューションは、ドライブレコーダーなどのセンサーから入手した画像の道路状況から浸水レベルをAIがリアルタイムに分析。トヨタコネクティッドが独自で取り組んでいた研究に、Raspberry Piとインテルの外付けUSBアクセラレータ(インテル ニューラル・コンピュート・スティック 2)とWindows マシン上で複数のAI判定をAzure Video Analyzerでパイプライン化し、リアルタイムでの動画のエッジAI解析を実現させた。

 人物認識ソリューションは、高齢者施設や送迎バスなどで人物を認識し、高齢者の運動記録や送迎記録などを自動化。データのデジタル化だけでなく、業務効率の改善や安全の強化にもつながるソリューションとした。

 2011年の東日本大震災時、トヨタ自動車の主査を務めていたトヨタコネクティッド専務取締役の藤原靖久氏は、この大規模な災害に対し何かできることはないかと考え、社内外でアイデアと技術者を募り、そこでいち早く手を挙げたのが日本マイクロソフト。そのチームが再結成し、新たなメンバーも加わり、あらためて社会課題に対応できるサービスを目指して今回のプロジェクトを開始した。

 両社が目指しているは、すべての人に IT を活用してもらう世界。そのため両社では、オープンイノベーションによって汎用デバイスを活用し、安価にソリューションを構築、社会に貢献できるようなサービスを「スマホレス」で実現しようと取り組んでいる。

 今後も両社は、今回のプロジェクトで活用したベース技術を応用し、さまざまなソリューションを展開していく考えで、トヨタコネクティッドの藤原氏は「アイデア次第でどのような使い方もできます。汎用性のある技術なので、小学生でもRaspberry Piさえ用意すればソリューションが作れるのではないでしょうか。ハッカソンなどでアイデアを募りたいですね」などとコメントしている。