ニュース

ユピテル、静岡研究所2号棟発表会 「霧島レイ」で新ユニット「羽衣6」を結成し声優も登場

2022年4月21日 公開

ユピテル研究所2号棟発表会に出演した女性声優と株式会社ユピテル 代表取締役会長兼CEOの安楽憲彦氏

 映像技術、マイクロ波、無線通信技術の専門メーカーであるユピテルは4月21日に研究開発、実証実験、コンテンツ発信を行なう拠点として「静岡研究所2号棟」を竣工。同日にメディア発表会を行なった。

 発表会は研究所2号棟内に設けられたXRスタジオで開催された。超大型のLEDビジョンを使用してのオープニング映像が流れたあと、ユピテル 代表取締役会長兼CEOの安楽憲彦氏がステージに登壇した。

株式会社ユピテル 代表取締役会長兼CEOの安楽憲彦氏
XRスタジオは150名まで収納可能。ステージ背面にはおよそ300インチの大型高輝度LEDビジョンを備え、前面には特注の透過型プロジェクタースクリーンを配してレイヤーで異なる映像を見せることも可能。奥行き感のあるバーチャルな映像が体感できる場所だ。また音協設備と防音装置はライブハウス同等。ステージを撮る高性能カメラも完備。スタジオ配信にも対応する

 静岡研究所2号棟の開設の前に安楽氏は「多くのことが困難なこの時期、研究所2号棟の建設スケジュールも遅れていました。そして新たに加入したインドからの優秀な8人のAI関連の技術者も約1年半、テレワークをしてもらっていました。先日、ようやく日本へ入国できましたが、まだ待機期間となっているのでこの場に来ることはできませんでした。彼らは優秀で日本語も約1年半のテレワークの間にずいぶん覚えてくれました。彼らは静岡の街で暮らしていくのでやはり日本語が話せることは大切です。そのためユピテルの社員も英語ではなく日本語で彼らとコミュニケーションを取るようにしています。また、今回に限らずいい人材がいたら海外からでもどんどん来ていただきたいと思っています」とインドから招いた新戦力であるAI技術者について触れた。

 続いて「無線のユピテルとしましては静岡県では初となる5G SA(スタンドアローン方式)の基地局を研究所2号棟に設置しました。LTEまでは商品として使いこなしておりますが、これからは5G、6Gと世の中は進んでいきますので、それに先がけて、ちょっと投資にはなりましたけども5Gの研究も進め、いずれ商品化する予定です。その際はAIと結びつけてのものになると考えています」と静岡研究所2号棟に5Gの設備を設け、この分野の研究も進めていくことを語った。

2022年で創業55周年を迎えたユピテル。2019年の研究所1号棟建設に続き、静岡研究所2号棟を竣工
静岡研究所2号棟には静岡県内発のスタンドアローン方式を採用したローカル5G基地局を設置している

 つぎに「私どもは“霧島レイ”というキャラクターをもっておりまして、昨年の10月26日で10周年を迎えました。今後このキャラクターはもっと発展的というか、メタバースの入口であるARに展開できるはずだと考えています。現在は小さい規模でAR技術を体感できることやっていますが、もっと広いところでAR技術を有効に使っていきます。そのプランには研究所2号棟に設けたXRスタジオを使用する新しいエンタテインメントとして“羽衣6(はごろもシックス)というキャラクターコンテンツを実施します。今日はこのコンテンツに参加していただく3名の声優さんを紹介します。羽衣6なのに3名というと6とはなにかと思うでしょうが今日はまだ聞かないでください(笑)。ご紹介する声優さんたちについて私どもとしては歌って踊れる方であり、魅力的な方であることを求めて選ばせていただきました」とキャラクターコンテンツ事業でも新たな展開があることを明かした。

 また、羽衣6を生かし、ユピテルのグループ6社の力を結集することでメタバース事業を進めることも語られた。安楽氏は「ユピテルらしいメタバースをやろう」と話し合っています。まあやってみないことにはわからないことではありますが、今日、4月21日から新しい事業としてスタートしました」とのことだった。

昨年10月に生誕10周年を迎えた霧島レイ。クルマ好きでありキャラクターコンテンツ好きな人に霧島レイが受け入れられている理由はキャラクターや製品の魅力だけでなく、キャラクターを大事にするユピテルの姿勢を評価している面もあるだろう
AR技術を使った羽衣6というキャラクターコンテンツを展開する。このあとキャラクターの声を担当する声優さんが紹介された
アバターを作りバーチャル空間のお店で買い物をするとリアルの商品が届くメタバース事業。4月21日よりスタートしている

 話はARに関してのものになった。安楽氏は「ARはいろいろ活用できる技術です。例えば工場内に新たに設備を入れるときにレイアウトの検討などです。こうしたARを生かすビジネスは広がっていくのではないかと思っていますのでこの分野の研究は積極的に行なっていきます。私どもは“ローカルからグローバルへ”という題目を掲げていますので、それを実現させていくのが今後の大きな課題となると思っています。ただ、この目標達成に多くの時間を掛けるのではなく、羽衣6を使いながら素早く新しい事業に取り組んでいきたいというふうに思っております」と語った。

AR技術を高めてビジネスに展開していくという。大型機器や家具などをどこに置くか、置くとどうなるかがARで確認できる
テーマパークなどでは大規模なARアトラクションを用意することも可能になる
AR技術を高めるために人員も補充している。企業などからの依頼に対して制作を行なっていく。
販売品である富士サクラのどら焼き包装紙でARコンテンツが楽しめる。「Yupiteru AR」というアプリをスマートフォンにインストールし、包装紙のマーカーにカメラを合わせれば富士サクラが現れた

ユピテルオリジナルアニメキャラクター「霧島レイ」で新ユニット「羽衣6」結成、担当声優さんの登場

 安楽氏に続いてステージに登場したのはユピテルのオリジナルキャラクターに声をあてる女性声優陣。昨年、生誕10周年を迎えた霧島レイは飯田ヒカルさんが担当。なお、霧島レイの声優は沢城みゆきさんが担当していたが今回より飯田さんに代わることになった。前出の富士サクラは高柳知葉さん、そして3人目の新キャラクターの葵茶々は汐入あすかさんが担当する。

左から霧島レイの声を担当する飯田ヒカルさん。富士サクラを担当する高柳知葉さん。葵茶々を担当する汐入あすかさん
霧島レイ役の飯田ヒカルさん

 各声優さんからは演じるキャラクターの印象が語られたのでその点を紹介しよう。まずは霧島レイ役の飯田ヒカルさんから。飯田ヒカルさんは「霧島レイちゃんの台詞を読んだときに、自分のなかの理想の女の子みたいなものを感じました。やさしいだけでなく小悪魔的な面もあるのが素敵なんです。例えばクルマでドライブに行ったときにこういう女の子が助手席に座っていてくれるといいなぁと思うのです。これからの収録を通してレイちゃんから理想的な女の子の振る舞いを勉強していきたいです」と語った。

 霧島レイ役はこれまで実力派のベテラン人気声優の沢城みゆきさんが演じていただけにプレッシャーもあると思うが、発言からは気負いは感じらない。むしろ自然体であることが頼もしい。これまでの霧島レイ好きの方にも受け入れてもらえる新しい霧島レイを見せてくれることを期待したい。

富士サクラ役の高柳知葉さん

 つぎは富士サクラ役の高柳知葉さん。高柳知葉さんは「初めてキャラクターデザインを見たときはその容姿から“お姉さんキャラなのかな”と感じたのですが、実際は語尾が“だぜ”とか“〇〇だな”とか男の子っぽい話し方をする子でした。ビジュアルとはギャップがありますがそこがすごく魅力的です。そういった彼女の個性が今後の収録、作品を通して皆さんに伝わっていったらいいなと思っています。また、彼女は自信に満ちた行動や発言をするのですが、私にはない部分なのでそこは憧れますね」と語った。

 見た目と発言や行動のギャップがある印象的なキャラクターに戸惑いながら楽しんで演じているということだ。

葵茶々役の汐入あすかさん

 葵茶々役の汐入あすかさんからは「私が演じる茶々さんはレイちゃんとサクラさんよりお姉さん的なポジションです。演じる前には“母性を大事にしてほしい”ということ言われました。ただ、相手のことを気にかけすぎないで下さいというディレクションもいただきましたが、この解釈は難しくどう演じたらいいのだろうと悩みました。そこでやさしいだけでなく、相手を温かく見守れる“余裕のあるお姉さん”という意識で表現しています。この性格は自分とは逆です。私は仕事を含めて妹的なポジションになることが多かったので、茶々さんを演じることは新鮮でとても勉強になります」と自分とは違う性格のキャラを演じることを楽しんでいることが語られた。

ユピテル静岡研究所2号棟の内部を紹介

 ユピテルの静岡研究所2号棟はオフィス機能だけでなく、ショールームやXRスタジオを備えているのが特徴。地域に密着すると同時に開かれた拠点を目指すという。そしてユピテルの技術を静岡から世界へ発信するこの地をアメリカにあるIT企業の一大拠点であるシリコンバレーをもじって「シズコンバレー」と名付けている。今回は静岡研究所2号棟の一部も公開されたので画像で紹介していこう。

静岡県葵区長沼にあるユピテルの静岡研究所2号棟。隣に研究所1号棟がある
静岡研究所2号棟の内部。ここは庭を見ながらスタッフが休憩できるスペース
2階にも同様のスペースが設けられている
オフィスの区画。広々とした室内にゆったりとデスクを配置する
オフィス内に中2階が設けられている
1回の正面入口を入ってすぐがショールーム。ここは一般公開しているので見学することができる
ショールームには初代からの“霧島レイ製品が展示されている。これは2011年の初代モデル
2012年に発売された製品。レーダー探知機「霧島レイモデル」と「Lei02アペンドSD」
2013~2014年モデル。Tシャツは当時の特典品。製品はポータブルナビゲーションの「Lei NAVI「Lei NAVI+」
2015年の製品。GPS&目覚まし時計の「Lei Clock」ととGPS&レーダー探知機の「Lei Lite」GPS &レーダー探知機の「Lei03」
2016年~2017年のGPS &レーダー探知機の「Lei03」。2017年にはGPS&ウェアラブウルウオッチの「Lei Watch」も発売していた
2017年~2018年モデル。GPS&レーダー探知機の「Lei03+」と「Lei04」
2021年のGPS&レーダー探知機「Lei05」
グッズ類も多数販売されている
霧島レイのグッズ
富士サクラのフルグラフィックTシャツ
2021年12月の霧島レイモデル バーチャルフィギュア「LVR-01」
静岡の清水庵原屋製造の「どら焼きサクラ」
あんは白あんに国産の桜ペーストを練り込んでいる。皮は静岡産の卵を使用
こちらは「霧島レイ・生サブレ」
このショールームはメタバース空間としても用意されているので現地に来られない人でも見学やショッピングができる。「羽衣6バーチャルミュージアム」という名称だ
VRゴーグルは不要。スマホにアプリをダウンロードし、アバターを設定すれば羽衣6バーチャルミュージアムへ入ることができる
ミュージアムには静岡のご当地Vチューバー「葵わさび」が店長として応対してくれる。3D化された歴代商品を眺めたりミュージアム内で買い物もできる。買ったものは後日、自宅へ配送される
トヨタ自動車のアルファードに富士サクラのラッピングを施した仕様
富士サクラ役の高柳知葉さんがご自身の記念撮影用に撮っているのを許可を受けて取らせていただいた