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レクサス、ポー・ユン・ルーさんによる認知症高齢者のリハビリテーション支援ツール「Rewind」を「LEXUS DESIGN AWARD 2022」グランプリ作品に決定

2022年5月12日 発表

グランプリ受賞者のポー・ユン・ルーさん

 レクサス(トヨタ自動車)は、次世代を担うクリエイターの育成・支援を目的とした国際デザインコンペティション「LEXUS DESIGN AWARD 2022」において、ポー・ユン・ルーさんによる認知症高齢者のリハビリテーション支援ツール「Rewind」をグランプリに決定した。

「Rewind」は、日常生活において慣れ親しんだ動作を、デジタルデバイスを用いて再現することで、認知症高齢者の記憶を呼び起こす一助とするリハビリテーション支援ツール。手に持ったデバイスによる動作が、ペアリングされたモニター上に視覚的・聴覚的なフィードバックとして反映され、記憶を呼び起こすきっかけとなるとしている。

LEXUS DESIGN AWARD 2022のグランプリ作品「Rewind」作品概要:慣れ親しんだ動作を再現することで、認知症高齢者の記憶を呼び起こすためのリハビリテーション支援ツール。手に持ったデバイスによる動作が、ペアリングされたモニター上に視覚的・聴覚的なフィードバックとして反映され、記憶を呼び起こすきっかけとなる。メンタリング後の進化:使い勝手や衛生面にも配慮したデザインへと進化。また、記憶を呼び起こすさまざまなシーンをプログラムに組み込んだ。認知症という世界的な社会課題に対するリハビリテーション支援ツールを、いかに身近で取り入れやすいものにするかという点を重視して、実践的なアイデアへと発展させた

 グランプリ作品は、57の国と地域から集まった1726点の応募の中から選ばれ、豊かな社会とよりよい未来を創造するためにLEXUSが掲げる3つの基本原則「Anticipate(予見する)」「Innovate(革新をもたらす)」「Captivate(魅了する)」、そして、今回新しく審査項目として追加された「Enhance Happiness(そのアイデアがいかに人々に幸せをもたらすか)」を最も具現化していると評価され、グランプリに選出された。

 グランプリを受賞したポー・ユン・ルーさんは「『Rewind』という作品によって、より多くの人々の生活の向上に貢献したいという想いが、実現に近づいたことをとてもうれしく思っています。素晴らしいメンターの方々をはじめ、一緒に取り組んできたエンジニア、プログラマー、ヘルスケアの専門家、そして試作品を試してくださった高齢者の皆さんのお力添えなしには到底実現できませんでした。LEXUS DESIGN AWARDが、このアイデアを実現するきっかけになったことは間違いありません。また、世界各国の熱意に満ちた入賞者たちと出会い、彼らから多くを学べたことにも心から感謝しています。LEXUS DESIGN AWARDでの経験は本当に刺激にあふれた実りあるものでした。今後も、より良い未来のためのデザインに挑戦し続けていきたいと思います」と感想を述べている。

 LEXUS DESIGN AWARDは、2013年に創設された世界中の新進気鋭のクリエイターに焦点を当てる国際デザインコンペティション。よりよい未来を形成する力を持った作品を制作するデザイナーやクリエイターを支援することによって、社会に貢献するアイデアを育むことを目的としている。同賞は、世界的に認知された一流のデザイナーをメンターとして、提案したデザイン案のプロトタイプ化に取り組む貴重な機会を6組の入賞者に提供している。

 グランプリ受賞者のポー・ユン・ルーさんを含めた6組の入賞者は、2022年の1月以降、アイデアを形にしていくプロトタイプの制作に取り組み、メンターを務める、サム・バロン氏、ジョー・ドーセット氏、早野洋介氏、サビーヌ・マルセリス氏らの指導のもと、約3か月間かけてアイデアをブラッシュアップし、それぞれのアイデアをプロトタイプとして形に仕上げた。

 今後、LEXUS DESIGN AWARD 2022の入賞者6組のプロトタイプは、6月6日〜12日にイタリアで開催される世界最大級のデザインイベント「ミラノデザインウィーク2022」のレクサス展示エリア内で一般公開予定。

作品名「Chitofarm、入賞者:シャーロット・ボーニング&メアリー・レンプレス。作品概要:ミールワーム(餌用の虫)が廃棄発泡スチロールを食べて消化することに着目したエコシステム。発泡スチロールゴミを、より安全に、そして簡単に処理することのできる革新的な提案。メンタリング後の進化:ミールワームの抜け殻を使った環境に配慮した梱包素材の提案だったものを、社会全体のエコシステムにテーマを拡張した
作品名「Hammock Wheelchair」、入賞者:Wondaleaf(アレックス・ウォン、ルーベン・タン、ルイス・タン、ウォン・ピン・ミン、ジョン・タン、ラウ・イェン・イェン、シー・ハウ・シン)作品概要:車いす、フォークリフト、ハンモックの3つの機能を持ちあわせた介護用の椅子で、介護者の身体的負担を軽減するために介護者の目線で開発された。布がパレットの役割を果たし、2本のつめが付いた車いすがフォークリフトの役割を果たす。メンタリング後の進化:機能性の向上に加え、高齢者・患者に寄り添った色や質感に変更した
作品名「Ina Vibe」、入賞者:Team Dunamis(オバソジ・オッパメ、オバソジ・オサスンウェン、アナスタシア・アマディ、ウワゲ・アイゼヨサボ、エマニュエル・オモレヒン)作品概要:軽量で持ち運び可能なソーラー式調理器具。電力供給が不安定な地域において、環境に配慮した電力を供給することができる。付属のバッテリーパックから照明や、その他のデバイスへの充電も可能。メンタリング後の進化:当初は水素をエネルギー源として想定していたが、自然の力を有効活用するソーラー式発電へシフト。電力供給が不安定な地域でアクセスしやすい方法へと変更した
作品名「Sound Eclipse」、入賞者:クリスティーナ・ロギーノワ、シャミール・サハビエフ。作品概要:ノイズキャンセリング技術を活用し、屋外の騒音を打ち消すことで、窓を開けた状態でも静かな室内環境で楽しむことを目指す。窓に設置したデバイスの背面のマイクが騒音を感知し、スピーカーから騒音と同じ振幅で逆位相の音波を出すことで、音波と騒音が合成し、互いに打ち消しあって外からの騒音を軽減する。メンタリング後の進化:単なるノイズキャンセリングデバイス機能だけでなく、日常生活における環境音量のバランスについても探求した
作品名「Tacomotive」、入賞者:三國孝。作品概要:薄いシートを切り抜いた様々な文様が創り出す触感を利用して、感覚的に情報を伝える触覚言語。識字能力に左右されない全く新しいコミュニケーションツール。メンタリング後の進化:当初、盲ろう者のためのドライビングゲームの提案であったが、この技術が持つ可能性を紐解き、ターゲットを特定しない新しい触覚言語の開発へと進化させた