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レクサスと室屋義秀選手の新チーム「LEXUS/PATHFINDER AIR RACING」新生エアレース参戦発表会 常勝チームを目指し新機体に“かちいろ”採用

2021年10月21日 発表

室屋選手とLexus International Co. Presidentの佐藤恒治氏がふくしまスカイパークで参戦予定の新機体を初公開

 レクサス(トヨタ自動車)とエアレースパイロットの室屋義秀選手は10月21日、新チーム「LEXUS/PATHFINDER AIR RACING」を発足。室屋選手の地元、ふくしまスカイパークで、新生エアレース世界選手権(The Air Race World Championship)に参戦するための新機体が初公開された。

 室屋選手は2022年に開幕する新生エアレース”The Air Race World Championship”への参戦が決定しており、レクサスとの新たなチーム体制で、新生エアレース世界選手権の初代世界チャンピオンへ挑戦する。

 ふくしまスカイパークで開催された参戦発表会では、室屋選手とLexus International President/Chief Branding Officerの佐藤恒治氏が登壇して、新たなパートナーシップにかけるそれぞれの思いが語られた。

カーボンニュートラルの実現を目指す新生エアレースが2022年5月スタート

エアレース世界選手権の競技統括のウィリー・クルークシャンク氏からビデオメッセージが届いた

 同発表会では、冒頭に新生エアレース世界選手権の競技統括 ウィリー・クルークシャンク氏からビデオメッセージが届き、新生エアレースについての概要が示された。新生エアレースでは、新しいレースフォーマットでの大会となるとともに、カーボンニュートラルを実現するためのイノベーション要素を導入予定であることが語られた。

 具体的には、2023年に“ネットゼロ・カーボン燃料”を導入予定で、そのために米国のPrometheaseと提携し、正味のカーボン燃料をゼロにするという。そして将来的に、パートナー達と協力して電化を導入して、最終的には2027年ごろまでに電動垂直離着陸機への移行を目指すという。

 また、2022年のスケジュールについてはギリシャ、ポルトガル、イギリス、ロシア、インドネシア、エジプト、そして中東の都市などでレースを開催する予定で、レースは2022年の5月にスタートし、12月に最終戦を迎えることが示された。

 クルークシャンク氏は「ヨシ、君がこの新しいエアレース世界選手権に参加することを本当に楽しみにしています。あなたは過去にも世界チャンピオンを取った、驚異的なパイロットです。そして、あなたが新しいシリーズに参加してくれるのは嬉しいことです。最初のレースイベントで君と、君のチームに会えるのが待ちきれません」と室屋選手の参戦を歓迎するコメントを述べるとともに、「最初のシリーズではカレンダーに日本開催がないことは知っています。私たちは現在、日本でのレース会場を確保するために全力で取り組んでいます。私たちは日本でのレースが大好きです。できるだけ早く日本に行けるようにします。皆さんにお会いできる時を楽しみに待っています」と、日本開催の実現に向けた意気込みをコメントした。

常勝チームとして“勝ち”にこだわり新たな機体に“褐色”を採用

 2019年から3年ぶりに復活するエアレースに新たな体制で挑戦することに、室屋選手は「これからは常勝チームで、常に勝てるチームとして、本当に強い体制を築こうということで、チーム体制をいろいろと組み立てて理想像を描いて準備をしてきました。その中で、レクサスがチームのパートナーとして入ってもらえるということで、技術的なことについては、本当に他のチームをかなり出し抜くようなカタチになると思うのでこれから楽しみです」と話した。

新機体がハンガーに登場

 また、会場で公開された新たな機体について、室屋選手は「これ僕のオフィスになので、色が変わってすごく嬉しいです(笑)。この色は褐色という色で、日本古来ではこの青は勝つ色ということで、代々ある色なんですよね。よく知るところで“サムライブルー”とかサッカーでありますけれども、あのブルーってこの褐色からきていて、それになぞらえて本当のオリジナルの褐色に近い色で、今回機体をデザインしてもらいました」と紹介。

 佐藤氏は「すごく深みのあるいい色だと思います。今、褐色って話がありましたけども、褐色というのは染物を作る時に生地を叩く、“カツ”という叩くというところで、鍛えるという意味もあるように聞いてます。技術と人を鍛えるという意味でも、本当に最適な色なんじゃないかなと思います」との感想を話した。

室屋選手とレクサスのコラボレーションで誕生したレクサス「LC」特別仕様車“AVIATION”と並べられた新機体

レクサスがエアレースに取り組む理由は「室屋さんと一緒に日本を代表して世界と戦っていく」こと

Lexus International President/Chief Branding Officerの佐藤恒治氏

 室屋選手と佐藤氏のトークセッションでは、レクサスと室屋選手のパートナーシップの始まりから、これまでの取り組みの歴史が語られた。そして、これから新たなチーム体制での具体的な取り組みとしては、レクサスはテクニカルコーディネーターを新チームへ派遣し、エアレースに必要とされる空力・冷却・人間工学分野での技術開発と実証など、室屋選手を勝利へと導く強いチーム体制の構築に向けたサポートを行なっていくという。

 レクサスがエアレースに取り組む理由について、佐藤氏は「われわれ自動車メーカーですけれども、チームパートナーとして一緒にエアレースに向き合う、大きな意味合いが3つぐらいあるのかなと思っています」と語り、その1つ目の理由として「やっぱり室屋さんと一緒に日本を代表して世界と戦っていく、夢を追いかけてモータースポーツの素晴らしさを1人でも多くの方に伝えていくということ。そこにわれわれ共感して一緒にいますので、それをエアレースという舞台を通して実現していきたい」と話した。

 そして2つ目はモータースポーツの持つ魅力といい、佐藤氏は「われわれに与えてくれる価値というのが非常に大きいと思ってます。モータースポーツというのは常にレースのタイミングが決まっていて、開発というのは納期管理が難しく、レースをやっている自分たちの状態がどうであれ、納期というのが管理されていきます。非常に短いリードタイムで、その間にどうであれ結果につなげていかないといけないというのがモータースポーツなんです。特にエアレースというのは、大変エクストリームな世界での戦いということになりますので、われわれの限界を超えた技術の探求というのをアジャイルに行なっていく。自動車と航空機の技術のコラボレーションによって生み出される新しい価値というものに、アジャイルに取り組むということが、このエアレースに参戦するということによって実現できるのかなと思います」と語った。

 最後の3つ目の理由として、カーボンニュートラルの実現を目指すエアレースのフォーマットといい、佐藤氏は「カーボンニュートラルな社会の実現に向けて、さまざまな挑戦をしていくということが宣言されてます。大変素晴らしいことだと思っています。われわれも、さまざまなカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを行なっているわけですけれども、可能性を広げていく、選択肢を増やしていくという意味においても、このエアレースの世界で、カーボンニュートラルな社会のためにつながる技術開発ということを、1つでも多く発見して、未来に向けてモータースポーツが社会的責任を果たしていけるような、そんなカタチになっていくといいなと思っています」との意気込みが語られた。