ニュース
BMW、限定1000台の新型「M4 CSL」 ニュルブルクリンクでBMW量産車史上最速タイムを記録
2022年5月27日 20:29
- 2022年5月20日(現地時間) 発表
軽さこそ正義! CSLは「コンペティション スポーツ ライトウェイト」の略
BMW Mは5月20日(現地時間)、創立50周年記念事業の一環として、プレミアムミッドサイズセグメントの高性能特別仕様車となる新型「M4 CSL」を発表した。2022年7月にBMWグループ ディンゴルフィング工場にて、限定1000台の生産が開始される予定。
CSLは「Competition Sport Lightweight(コンペティション スポーツ ライトウェイト)」の略で、モータースポーツで成功を収めるためには、重量を最小限に抑えた設計が重要であることを表現。また、BMW Mが過去に開発した「3.0 CSL」は、1973年にヨーロッパツーリングカー選手権で初優勝を果たし、M4 CSLは、2003年の伝説的な「M3 CSL」や2016年に発表された「M4 GTS」など、BMW M3/M4の旧世代の特別仕様車の成功例を踏襲したモデルという。
M4 CSLは、昔ながらのレースへの情熱と革新的テクノロジーを融合させ、「M4 Competition Coupe」から30kW(40PS)パワーアップの405kW(550PS)へ引き上げられているのと、競技仕様の兄弟車である「M4 GT3」とDNAを共有していて、2シーター化などにより約100kgの軽量化が施されている。また、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェサーキットでは、BMWの量産車として史上最速のラップタイムである7分20秒207(周回距離20.832km)を記録。0-100km/h加速は3.7秒、0-200km/h加速は10.7秒で、最高速は307km/hをマーク。車重は1625kgに抑えられ、2.95kg/PS(4.01kg/kW)というパワーウェイトレシオを誇る。
軽量化の詳細については、Mカーボン製フルバケットシートの装着によりM4 Competition Coupeに装着されている標準シートと比較して約24kg、リアシートとシートベルトを取り外しパーティションを組み込んでラゲッジルームに変更を加えることで21kg、超軽量のMカーボンセラミックブレーキと専用の軽合金製ホイールやスプリング、ストラットの追加などのシャシーの変更により約21kg、防音材の削減や超軽量防音材の採用で約15kg、ボンネットやルーフ、トランクリッド、センターコンソールなどにCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)製を採用することで約11kg、チタン製サイレンサーによりエキゾーストシステムで4kg以上の軽量化を実現。さらに、キドニーグリルやテールランプ、フロアマット、オートマチッククライメートコントロール(エアコン)などの細部変更により4kgと合計100kg以上の軽量化が図られている。
エクステリアは専用塗装で、革新的なテールランプを装備
ボディは、専用の「フローズン・ブルックリン・グレー・メタリック」が標準塗装となり、この色合いは、露出したカーボンファイバーの表面や赤のアクセントと相まって、視覚的にも“ピュアスポーツ”な外観を演出。また「アルパインホワイトソリッド」と「サファイアブラックメタリック」も選択可能となっている。
外観では、ボンネットの2つのくぼみやルーフなど、さまざまな箇所でカーボンファイバーを見ることができるほか、ボディカラーに塗られていないくぼみの表面には、赤い輪郭線を追加。また、CFRP製ルーフの2つのフィンと、サイドシルの輪郭、ブラックのモデルバッヂ、フロントエプロンのモデル専用CFRP製スプリッターとエアカーテンインサートにも、赤いアクセント線が強調されている。
新たなアクセントになるオプションの「レーザーライト ヘッドライト」は、ドアのロックを解除したときや、ロービームとハイビームを点灯させたときに、ヘッドライトがホワイトではなくイエローに光り、GTカーのような演出がなされる。LEDテールランプには、量産車として初めて採用されたレーザー技術を標準装備。ガラスカバーに織り込まれた複雑な光の糸がレーザー技術によって照らされ、ライトの表面に鮮やかな構造をもたらし、暗闇の中で遠くからでも認識できる、非常に個性的な光の演出が可能となった。
レースに特化した高回転型ハイパワー直列6気筒エンジン
専用パワーユニットは、M4 GT3レーシングカーに搭載されているMツインパワーターボテクノロジーを搭載した高回転型の直列6気筒3.0リッターエンジンをベースに、2基のモノスクロールターボチャージャーの最大ブースト圧を1.7barから2.1barに高めたことと、エンジンマネージメントにモデル特有の微調整を施したことで、その性能の高さと安定性や耐久性を犠牲にすることなく大幅なパワーアップを実現。6250rpmで最高出力405kW/550PSを発生し、2750-5950rpmで最大トルク650Nmを発生する。
エンジンは高回転と最高出力に重点を置いたレース用に設計されていて、クランクケースはスリーブのないクローズドデッキ構造で高剛性を実現し、軽量鍛造クランクシャフトにより高トルクに対応。また、3Dプリント技術で作られたシリンダーヘッドコアもM専用品となる。冷却系と給油系は、サーキット走行に対応するよう設計。さらに、電動フラップと軽量化されたチタン製リアサイレンサーを備えたツインテールパイプエキゾーストシステムは、レーシングカーに触発された、感情に訴えるエンジンサウンドを鳴り響かせる。
サーキット走行用に最適化されたMトラクションコントロール
標準装備されているサーキット用機能の「Mトラクションコントロール」は、ドライバーが個別にホイールスリップ制限のための介入しきい値を10段階から設定でき、1~5ならドライ路面でのドリフトコントロールをサポートするのに役立ち、6~10はツーリングカーレーサーのために開発されたアプリケーションをベースに、路面の状態とタイヤの温度の両方を考慮して、トラクションの安定性を最大化するという。
M専用のコントロール/オペレーションシステムには、多数の車両設定に直接アクセスできるMセットアップボタンや、好みの設定を保存できるステアリングホイール上の2つのMボタンを装備。また、MドリフトアナライザーやMラップタイマーを含むMドライブプロフェッショナルシステム、ROAD、SPORT、TRACKの設定を有効にするMモードボタンが標準装備されている。