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ベントレー、新型グランドツアラー「マリナー バトゥール」電動化時代を見据えた新デザイン採用

2022年8月21日(現地時間) 発表

新型グランドツアラー「マリナー バトゥール」

W12エンジンを搭載するベントレー車の集大成となる1台

 ベントレーのビスポーク(特注)部門であるベントレーマリナーは8月21日(現地時間)、アメリカで開催されていたモントレー・カー・ウィーク2022で新型グランドツアラー「マリナー バトゥール(Batur)」を発表した。価格は165万ポンド(税別・オプション含まず)。限定18台はすでに受注済みで、出荷開始は2023年半ば予定。

 マリナー バトゥールのデザインは、ベントレーのデザインディレクターであるアンドレア・ミンド氏とそのチーム、エクステリアデザインの責任者であるトビアス・シュールマン氏、インテリアデザインの責任者であるアンドリュー・ハートバロン氏が共同で製作。

 まったく新しいデザインテーマ、アプローチ方法、ディテールが導入され、2025年の発売が予定されるベントレー初のBEV(バッテリ電気自動車)や、それに続くラインアップの基本方針となるデザインを示しているという。

ベントレーの新型グランドツアラー「マリナー バトゥール」

 エクステリアは、ボディ形状以外のほぼすべてをオーナーが注文でき、カラーはもちろん手書きのグラフィックを入れることも可能なほか、フロントスプリッター、サイドスカート、リアディフューザーなどのエアロパーツはカーボンファイバーまたは持続可能な複合素材であるナチュラルファイバーも選択可能。

 また、マリナー バトゥールに装備される専用の22インチホイールは、ブラッククリスタル塗装にブライトマシニング&ポリッシュ仕上げを施したデザインが標準となり、オプションでダークグロス仕上げとサテンスポークを組み合わせたダークな雰囲気のホイールも設定。

22インチ専用ホイールにはピレリタイヤを装着。ブレーキシステムはベントレーのCSiC(カーボンシリコンカーバイド)で、キャリパーはフロント10ピストン、リア4ピストン。ディスクはフロント440mm、リア410mmを採用

 モントレー・カー・ウィークで公開されたマリナー バトゥールのエクステリアカラーは特注のボンネビルパールセントシルバーで、カーボンファイバー製のフロントスプリッター、サイドスカート、リアディフューザーはブラッククリスタルで塗装され、エクステリアにアクセントを付与した。

 フロントグリルはメインマトリクスにグロスダークチタン仕上げが施され、そこに配された水平方向のジグザグ模様が中央部分のハイパーアクティブオレンジから、サイドのブラッククリスタルへと徐々に変化するグラデーションを採用。エンドレスボンネットと呼ばれるラインと22インチの専用ホイールはサテンチタンに塗装され、サテンダークチタンのホイールスポークはグリルとの統一感を演出したという。

ハイパーアクティブオレンジからブラッククリスタルへとグラデーションしているフロントグリル

持続可能なビスポークの美を追求したキャビン

 インテリアは究極のパーソナライゼーションと長距離グランドツーリングを実現するための空間を目指し、「バカラル」のキャビンデザインから主要素を踏襲しつつ、イギリスするよりも短い移動距離で調達できるスコットランド産の低炭素レザーや、本革に代わるスエード調のダイナミカなど、持続可能でラグジュアリーなアイテムを追加。

 内装パネルは縦糸2本と横糸2本の綾織りをサテンラッカーで仕上げた複合素材ナチュラルファイバーを初採用。これはカーボンファイバーに代わる持続可能な複合素材で、フロアカーペットもリサイクル糸を初めて採用し、持続可能なものにしたという。

 公開されたマリナー バトゥールのインテリアはブラック、レッド、オレンジの印象的なカラーコンビネーションを採用し、ハイパーアクティブオレンジのレザーは、マリナーが新たに手掛けた持続可能な素材となっている。

 各内装パネルはグロスブラック塗装で、フェイシアからドアへと続くファインブロッガーが、ギターのフェードカラーのように徐々に変化し、最終的にブラックに溶け込ませている。フェイシアに施された独特のレーザーエッチングはW12エンジンサウンドを芸術的に表現したという。インテリアの金属パーツには、ブラックアルマイト仕上げのアルミニウムやサテン仕上げのチタンが用いられている。

ダイナミックドライブセレクターには18金が使用されている

ベントレー史上最もパワーのあるエンジンを搭載

 マリナー バトゥールに搭載されるW型12気筒6.0リッターツインターボエンジンは、新設計の吸気システムやインタークーラー、ターボチャージャーのアップグレードとキャリブレーションの徹底的な見直しによって最高出力740PS超、最大トルク1000Nmを発生し、ベントレー史上最もパワーのあるエンジンとなっている。8速ダブルクラッチトランスミッションが組み合わされるほか、スポーツエキゾーストシステムはチタン製で、マフラー出口はベントレー初となる3Dプリンター造形品という。

 シャシーには空気量で硬さが変化するアダプティブ3室エアスプリングが採用され、ドライバーは乗り心地とボディコントロールのバランスを「スポーツ」「ベントレー」「コンフォート」「カスタム」の4種類のモードから選択可能。

 モードを選択すると、48V電動アクティブアンチロールコントロールシステムの動作も変化し、アンチロールコントロールシステムは0.3秒で最大1300Nmのアンチロールトルクを加えたり、各ホイールを制御するほか、前後のロール剛性も調整してくれる。スポーツモードではターンインがよりシャープになり、加速時のバランス性能が向上するという。

 また、駆動トルクを適切に配分し、トラクションとコーナリンググリップを最大限に確保する電子制御式リミテッドスリップデフ(eLSD)も搭載。さらに、トルク・ベクタリング・バイ・ブレーキはeLSDと連携していて、コーナー入口では内側後輪に軽くブレーキをかけてフロントアクスルの応答性を高め、コーナー出口では内側両輪に軽くブレーキをかけて駆動力を外側に移動させ、荷重のかかったホイールのトラクションを確保するという。

 ベントレーのエイドリアン・ホールマーク会長兼CEOは「バトゥールはベントレーにとって大変重要な意味を持つクルマです。大成功を収めたバカラルの後継というだけでなく、ベントレーが開発を進めるBEVのデザインの方向性をバトゥールが示します。アンドレア・ミンド氏率いるチームは、ベントレー伝統のデザインを新たな解釈で生まれ変わらせ、優美さを大切にしつつ、力強さとたくましさを一層強調したデザインを完成させてくれました。美しいエクステリアの内側に横たわるのはベントレーが開発してきた中で、最も強力なエンジンです。ベントレーのW12エンジンが、歴史上最も成功した自動車用12気筒エンジンであることは自明のことでありますが、ハイブリッドやBEVに道を譲る日が近づいてまいりましたので、バトゥールに搭載し、有終の美を飾ることができればと考えています。バトゥールをご予約された18名の幸運なお客さまには、マリナーのデザインチームと協力して理想のクルマを作り上げるという、またとない体験を心からお楽しみいただきたいと思います。ラグジュアリーとパフォーマンスをベントレーならではの方法で融合させる真のオーダーメイドカーへの需要は明らかに高まっています。バトゥールがマリナーのさらなる発展の足掛かりとなるでしょう」とコメントしている。