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マクラーレン、“グランツーリスモSPORT”から現実世界に誕生したサーキット専用モデル「Solus GT」
2022年8月26日 20:27
- 2022年8月19日(現地時間) 発表
車重は1000kgを切り、1200kgを超えるダウンフォースを発生
マクラーレン・オートモーティブは8月19日(現地時間)、アメリカのカリフォルニアで開催されていたモントレー・カーウィークで、ゲームソフト「グランツーリスモSPORT」に登場するコンセプトカーを現実のものとしたサーキット専用モデル「Solus GT」を発表した。
Solus GTは、シングルシートのクローズドコクピットを採用したサーキット専用モデルで、世界限定25台ですでに完売済み。現在サーキットでテスト走行を行なう段階で、2023年からデリバリーが開始される。
エクステリアデザインは、インスピレーションとなったバーチャルカーを忠実に再現しつつ、エアロダイナミクス理論と「すべてのものに理由がある」というマクラーレンのデザイン理念、CFD(数値流体力学)と風洞を駆使したエアロダイナミクス研究により、1200kg超のダウンフォースを発生するエアロダイナミクス性能を実現。
タイヤは覆われ、巨大なフロントスプリッターから取り込んだ空気は、グラウンドエフェクトトンネルを通過して、フルワイドのディフューザーから排出。エンジンへの吸気インテークをコクピット上に配置し、ラジエータはレーシングカーのようにサイドポッドに内蔵した。また、ツインエレメントの固定式リアウイングは、ダウンフォースとドラッグの比率も最適化され、直線パフォーマンスを押し上げると共にコーナリング能力も高めるという。
コクピットは特徴的なスライド式キャノピーを採用し、浅い弧を描いてキャノピーが前方へスライドし、そこから乗車。ステアリングは、F1マシンからインスピレーションを得て、ディスプレイ一体型を採用。後方はリアビューディスプレイに映し出される広角カメラの映像で確認できる。
シートは固定式だが、25人のオーナーはモータースポーツではおなじみの「シート合わせ」を購入前に経験できるという。また、ペダルボックスは座った状態で調整できるリモートコントロールシステムを搭載。さらに、シート合わせだけでなく、FIA認可のレーシングスーツ、ヘルメット、HANSを各オーナーに合わせて特注し、無線通信が可能なイヤーピースも用意されるほか、ドライバー育成指導プログラムも提供され、Solus GTをオーナーがフルに乗りこなせるようにサポートしてくれるという。
搭載されるエンジンは自然吸気のV型10気筒5.2リッターで、最高出力840PS、最大トルク650Nm超えを発生。少数生産の削り出しパーツを使用することで、エンジン最高回転数は1万rpmを超え、さらにエンジンのレスポンスを強化するため、各気筒独立のバレル式スロットルを採用。0-100km/h加速の目標タイムは2.5秒、最高速は200mph(320km/h)となっている。
ギヤ駆動のため補機類を駆動させるチェーンやベルトは存在せず、専用設計の7速シーケンシャルギヤボックスは、アルミニウムとマグネシウム製のケースに収められエンジン後方に搭載。エンジンとギヤボックスがシャシーのストレスメンバー(構造部材)として働くため、リアのサブフレームが不要になり、1000kgを切る車重を実現している。
また、Solus GTに使われている素材は、軽くて強いカーボンファイバーだけではなく、3Dプリントでデザインしたチタン製パーツがあり、マクラーレンの市販モデルで初めて構造材に採用したという。サスペンションはダブルウィッシュボーン式を採用する。
ホイールは18インチ鍛造アルミニウム製ホイールでセンターロック式となり、タイヤはスリックとウェットの両コンパウンドが用意される。ブレーキはモノブロックのアルミニウム削り出し6ピストンキャリパーと、カーボン製のブレーキディスク&パッドを装備。コクピットから前後のブレーキ調整も可能となっている。
マクラーレン・オートモーティブCEOミハエル・ライタース氏は、「Solus GTは、バーチャルレースの世界のために作られたマクラーレンのラディカルなコンセプトカーを現実化したマシンです。一般道の制約やレースのレギュレーションから完全に解き放たれ、マクラーレンのあらゆる専門性をフルに駆使して、現実のものとなりました。まさにマクラーレンの開拓者精神を象徴しています」と述べている。