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シェフラー、約5000万ユーロを投資して電動モビリティ向け部品の開発製造施設を拡張

2022年8月29日(現地時間) 発表

シェフラーは約5000万ユーロを投資して電動モビリティ向けの開発製造施設を拡張すると発表した(完成予想図)

 独シェフラーは8月29日(現地時間)、ドイツ・ビュールのブースマッテン工業団地にある電動モビリティ開発・製造施設の敷地面積を約8000m 2 まで拡張して、新たに複合施設を建設すると発表した。

 この新複合施設の建設は、シェフラーの「ロードマップ2025」に盛り込まれている戦略計画の一環で、電動モビリティ分野の能力拡充において重要なマイルストーンとなり、2022年9月に着工して2024年秋の完成を予定している。また、この建設計画の投資額はおよそ5000万ユーロ規模で、完成したら電動モビリティ分野の新拠点として機能させる計画という。

 新たに建設される複合施設は、2棟の建物を橋で連結する構造で、延べ床面積は15000m 2 となり、従業員およそ400人が高いサステナビリティ基準に準拠した近代的なワークスペースで、各種プロジェクトや電動パワートレーンの新システムの開発に取り組む。

新たに建設される複合施設は、2棟の建物を橋で連結する構造となる(完成予想図)

 また、シェフラーはすでにブースマッテン工業団地に3棟の建物を持ち、同施設では電動モビリティのコンポーネントやシステムを開発・製造していて、新複合施設は既存の施設3棟を強化する役割を果たすだけでなく、橋で連結する構造となることから、新施設で働くさまざまなチーム間でのコミュニケーションや対話がさらに深まることが期待できるとしている。さらに施設には、学際的なチームのためのワークスペース、大規模なコラボレーションおよびネットワーキング ゾーン、実験室およびワークショップが備わっているほか、カンファレンスセンターの設置も計画されている。

 そのほかにも、屋上や外観に太陽光発電設備を設置する予定で、ヒートポンプを利用してサステナブルな冷却・発熱を実現させたり、雨水回収タンクを設置して、灌水やトイレの洗浄水などといった、さまざまな用途に利用するなど、新複合施設はDGNB(ドイツサステナブル建築協会)のゴールドスタンダードに準拠させた建造物になるという。

電動モーター生産工場「UltraELab」を建設

 ブースマッテンの既存施設のうち1棟は、トランスミッションコンポーネントの製造に利用している生産施設だが、シェフラーは現在この棟に電動モーター製造工場「UltraELab」を建設中。

 電動パワートレーンの心臓部である電動モーターの製造方法を、従来の固定化された生産ラインから、必要に応じて再調整や規模の変更が可能で柔軟性に優れたデジタル化技術モジュールを利用した方法に切り替えるとしていて、標準化されたインターフェイスと最先端のIT統合のおかげで、モジュールは従来のシステムよりもセットアップと構成が、はるかにシンプルかつスピーディになるという。

 また、この革新的な製造構想は、シェフラーが他の17のコンソーシアムパートナーとともに、ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWK)が出資するAgiloDrive2プロジェクトの下で策定された。

 シェフラーは、2021年に電動パワートレーン事業の売上高が10億ユーロを超えたほか、総額32億ユーロ相当となる各種新規プロジェクトを世界規模で受注。2022年上半期にも32億ユーロ相当の新規受注を獲得し、2022年通期目標を上半期の6か月間で達成したという。今後こうした複雑性の高いプロジェクトの多くを、拡張を進めている電動モビリティの新複合施設で取り扱う予定という。

 シェフラーAG自動車技術部門の最高経営責任者(CEO)であるマティアス・ジンク氏は、「シェフラーは電動モビリティ分野における活動を大幅に広げており、主要プロジェクトの受注を強化しています。シェフラーは電動モビリティのイノベーションを目指して最先端の新しいワークスペースを創出しています」とコメント。

 また、ビュールのフーベルト・シュヌアー市長は、シェフラーが自動車事業のグローバル本社をビュールに建設するとの発表を行なった2018年に続き、今回の開発施設建設について「開発施設の建設は、事業拠点であるビュールにとって、また従業員の将来にとって、重要な契機となります。ビュール拠点の強化のみならず、未来のモビリティを創出する企業になるというシェフラーからの明白なメッセージであると捉えています」と述べている。

 シェフラーの電動モビリティ事業部門の責任者であるヨッヘン・シュレーダー博士は、「シェフラーは今後、機械、電子、そしてソフトウェアの統合型システムに関する総合プロジェクトの受注を強化してまいります。こうした複雑性の高いプロジェクトに最適に対応するため、強力なプロジェクトチームと未来志向の職場環境づくりを進めています。効率性と生産性の基準を引き上げるのみならず、シェフラーがUltraELabによって目指しているのは、より優れたサステナビリティの実現に真に貢献することです。当社の目標は、革新的な電動モーターを柔軟かつ効率的に生産できるようにすることで、電動モーターの開発製造地を1か所に集約することで、製品の継続的な改良に重要な相乗効果を生み出すことができます」とコメントしている。