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独シェフラー、フォーミュラEを卒業し「DTM」のEVクラス参戦マシンの開発を推進

2021年8月16日(現地時間) 発表

シェフラーが開発中のDTMマシン(EVクラス用)

DTMのEVクラスは2023年開幕予定

 独シェフラーは8月16日(現地時間)、同社がスポンサードする「アウディスポーツABTシェフラーチーム」のフォーミュラE卒業をもって、「フォーミュラE」から撤退し、完全電動化のDTMに参入することを明らかにした。

 アウディスポーツABTシェフラーチームは2014年以降、累計84回フォーミュラEに参戦し、最終戦ではルーカス・ディ・グラッシ選手が、自身として12回目、チームとしては14回目の優勝を果たし、日曜日には20位でフィニッシュ。また、チームメイトのルネ・ラスト選手は、両レースともに9位で終えている。

 シェフラーAGの自動車技術部門のCEOであるマティアス・ジンク氏は「モータースポーツは、これまでも、そしてこれからも、シェフラーのDNAの重要な要素です。フォーミュラE、そして今回のDTMでの取り組みは、シェフラーのパイオニア精神とイノベーションに対する可能性を証明するものであり、テクノロジーパートナーとして、世界の技術を前進させるというシェフラーの主張を裏付けるものです。アウディスポーツ、ABTスポーツライン、そしてすべてのパートナーに感謝します。特に当社のドライバーおよび元ドライバーであるルーカス・ディ・グラッシ、ルネ・ラスト、ダニエル・アプトには、個人的にも多大な貢献をしていただきました」と述べている。

フォーミュラEで活躍する「アウディスポーツABTシェフラーチーム」

フォーミュラE用に独自のドライブシステムを開発

 シェフラーはABTスポーツラインと共同で、シェフラーの歴史上初めてレース用の独自ドライブシステムを開発。フォーミュラEのパワートレインは、技術パートナーであるアウディが2017/2018年シーズンから加わったことでさらに進化。2016/2017年シーズンにルーカス・ディ・グラッシ選手がドライバーズタイトルを獲得したのに続き、2017/2018年シーズンにはアウディスポーツABTシェフラーがチームタイトルを獲得。累計47個のトロフィーを獲得しているシェフラーは、現在フォーミュラEでもっとも成功しているチームであり、ルーカス・ディ・グラッシ選手は35回ともっとも多くの表彰台を獲得しているドライバーとなっている。

 また、シェフラーは、フォーミュラEでの実績をさまざまな形で活用していて、最初のフォーミュラEモーターを供給したCompact Dynamics社は、現在シェフラーの子会社となり、小型でパワフルな電気モーターのハイテク工場となっている。さらに、現在シェフラーのエンジニアは、フォーミュラEの厳しい消費電力仕様に対応する複雑なパワーエレクトロニクスの設計で得た知見や熱管理の経験を、生産車の設計に具体的に活用しているという。

 シェフラーのE-Mobility部門の社長であるヨッヘン・シュレーダー博士は「シェフラーにとって、モータースポーツはそれ自体が目的ではありません。すべてのコミットメントは、生産開発においても私たちを前進させます。モータースポーツでは、効率的かつ創造的でなければならず、型にはまらない方法で考え、常に次のイノベーションを目指して努力しなければなりません。これこそが、パイオニアの使命なのです」と述べている。

フォーミュラEで35回の表彰台を獲得しているルーカス・ディ・グラッシ選手

DTMのEVマシンを支えるテクノロジー

 すでにシェフラーは、モータースポーツにおける目標をDTM(ドイツツーリングカー選手権)のEVクラスに集中していて、2020年秋にはITR(Internationale Tourenwagen Rennen e. V.)とともに初期デモカーを発表している。DTMのEVクラスは2023年からの開始が予定されていて、シェフラーは投入予定の新型EVレースツーリングカーの電気駆動システムを開発中。この開発車両には、すでにレースで実践テストが行なわれているステアバイワイヤ技術「スペースドライブ」と、4つのモーターを作動させるための統合ビークルダイナミクス制御システムが搭載され、出力は1200PSを誇るという。また、2021年にはDTMのEVクラス開発車両として、DTMのサポートプログラムに参加する予定という。