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ブリヂストン、ブラジル・バイーア工場で乗用車用プレミアムタイヤの生産能力を増強 約73億円を新たに投資

2022年9月6日 発表

バイーア工場の乗用車用タイヤ生産能力を増強

 ブリヂストンは9月6日、同社のグループ会社であるブリヂストン ド ブラジル インドゥストリア イ コメルシオ・リミターダがブラジルで乗用車用タイヤおよび、小型トラック用タイヤを生産するバイーア工場の生産能力増強を決定したと発表した。

 今回の投資金額は約2.7ブラジルレアル(約73億円)で、2021年7月1日に発表した生産能力増強の投資金額と合算すると、総投資金額は約9.7億ブラジルレアル(約262億円)となる。2024年第1四半期までに増強を開始し、2024年末までにバイーア工場の生産能力は現在の年間約350万本から約500万本となる予定。

 ブリヂストンは、グローバルでプレミアム商品を「創って売る」体制の強化に向けた投資を実行しており、2022年8月31日に発表した「2030年長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」においても、グローバルで乗用車用高インチタイヤの販売・シェアの拡大を継続して目指すとともに、“新たなプレミアム”を創造するプレミアムタイヤ事業にフォーカスしていくと表明。今回のバイーア工場の生産能力増強はその一環として、北米・中南米を合わせた米州地域の乗用車高インチタイヤの「創って売る」体制の強化に加え、“EV時代の新たなプレミアム”として位置付けている環境性能と運動性能を両立し、EV航続距離の延伸に寄与するENLITEN技術へも対応するとしている。

 また、米州における地産地消率を向上することで、地産地消を前提とした生産体制であるグローバルタイヤフットプリントの構築につなげていくとのこと。現在の米州地域における地産地消率は約90%で、今回の増強によって今後の米州市場への拡売に対応し、乗用車用タイヤの地産地消率グローバル95%を実現していくとした。

 さらに、今回の生産能力増強により、バイーア工場における雇用が約1300人から1560人以上となるなど、地域の雇用促進、地域社会と共同で工場周辺の緑化や生物多様性保全プログラムを実施するなど、地域社会に寄り添い、貢献するとともに、技術&イノベーション、サステナビリティの観点においても、グループの重要な生産拠点として、将来のグリーン&スマート工場化も見据え、進化させていくとのこと。グリーン化については、カーボンニュートラル化実現に向けたCO2排出抑制新技術を導入することで暗黙知を形式知化するなど、強い“リアル”דデジタル”でものづくりを極めることによって、属人的なものづくりから脱却し、タイヤのさらなる品質の向上や現場のスルラク(現場の負担軽減)による労働生産性の向上、DE&Iの推進にもつなげていくとしている。

 ブリヂストン 代表執行役 Global CEOの石橋秀一氏は「当社グループは、2030年長期戦略アスピレーション(実現したい姿)で示した道筋に沿って、『断トツ商品』の価値と社会・お客さまからの信頼をベースに、プレミアムタイヤ事業を強化しています。乗用車用高インチタイヤにおいては、グローバルの販売総本数における高インチタイヤ比率を現状の約20%から2030年には約60%へ拡大していきます。今回の増強は当社グループの最重要市場である米州におけるプレミアムタイヤ事業基盤をより強固にするものです。米国の直営店約2000店をはじめとした米州地域全体に広がる小売サービスソリューションネットワークを通じてお客さまに寄り添ったサービスを提供することで、『断トツ商品』の価値を増幅していきます。また、EV化を足下から支える“EV時代の新たなプレミアム”ENLITENビジネス戦略を通じて、生産から販売・サービスをカバーするタイヤを『創って売る』『使う』といったバリューチェーン全体で社会価値・顧客価値の創造を両立することで、競争優位の獲得を目指します。このようなプレミアムタイヤ事業の基盤構築を通じ、2030年へ向けて常態化する変化に動ぜず、強靱でしなやかに変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへ進化していきます」とコメントしている。

バイーア工場概要
所在地:ブラジル バイーア州カマサリ市
設立年:2006年
建屋面積:約8万4000m 2
従業員数:約1300名(2022年8月時点)
生産能力:年間350万本
生産品目:乗用車用および、小型トラック用ラジアルタイヤ