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ジャン・アレジ氏が来日しSUPER GTで会見 「今のF1ドライバーは過剰に守られている」

息子のジュリアーノ・アレジ選手の応援に駆けつけたジャン・アレジ氏が記者会見

 2022年10月7日にF1日本グランプリが開幕するが、それに合わせてジャン・アレジ氏が来日。10月1日~2日に開催されたSUPER GT第7戦オートポリスにも登場し、記者会見を開いた。

 かつてF1でアイルトン・セナ氏やアラン・プロスト氏、中嶋悟氏らと戦った同氏だが、今は息子であるジュリアーノ・アレジ選手がau TOM'S GR SupraからGT500クラスに参戦している。息子の日本での勇姿をリアルで見るのは初めてだったという同氏との会見でのやりとりをお届けする。

記者会見に臨むジャン・アレジ氏

印象的だったのは星野一義氏の走り

──1989年には全日本F3000で日本のサーキットを走ったこともありますが、そのときの日本の印象を教えてください。

ジャン・アレジ氏:当時F3000のために日本に来たときは、ヨーロッパの外でレースをすること自体が初めてだった。今やインターネットを通じて世界各地のレースの状況が分かるようになっているが、1989年のころは当然そんなものはなかったので、日本に来てみて初めて知ることばかり。日本のレースはプロフェッショナルで、オーガナイザーやプロモーションもすばらしく、ドライバーに対するリスペクトもあった。初めてのレースは鈴鹿で、勝ったのは星野(一義)さんだった。彼はF1でのキャリアはないけれど、国内ではとても人気があって速かったし、日本ではすばらしい経験ができたと思う。

──F1というトップカテゴリーで活躍したドライバーとして、ドライバーとメディアとの関係性のよりよいあり方とは?

アレジ氏:私がラッキーだったのは、かつてはドライバーそれぞれが自由に動けて、記者・カメラマンらと1対1で、あちこちで話をしたり、写真を撮ったりできたこと。でも今のF1の若い世代は、少しばかり過剰に守られている(メディアと関係性を作れていない)ように思う。僕らは(メディアと個々に関係性を築けたことで)イタリア、フランス、日本などに、レース人生を通じてできたいまだに付き合いのあるたくさんの友人と言える人たちがいる。それって素敵なことだよね。

自分の時代は取材するメディアとも自由に交流できたと振り返るアレジ氏

──グローバルでカーボンニュートラルの動きがあるが、そうしたレース業界の状況をどう思っているか。

アレジ氏:今の世界の状況は過去にないもの。コロナ禍でもあるし、戦争でエネルギーの問題があらゆるところで噴出している。自動車産業ではメーカーが燃費改善のために大変な努力をしていて、例えば昔鈴鹿でレースをしていたときは200kgの燃料を一度に積んでいたが、今はそれと同じ距離を100kgの燃料で走っているし、システムで燃費をコントロールする技術も活用している。こうした産業のレースで戦えるのは誇らしいこと。環境への取り組みはわれわれとしても支援していかなければならないことだと考えている。

──息子のジュリアーノ・アレジ選手が参戦しているSUPER GTのレースをリアルで見た感想を。

アレジ氏:2年前からジュリアーノはGT500に参戦しているが、コロナ禍の影響で来日するのが困難で、それが比較的容易になったことから今回初めて生で見ることができた。彼が走るならぜひとも来年もまた見に来たいと思っているし、もちろんインターネットやTVでもレースを見ると思う。ここに来て衝撃だったのは、車両のスピード、マニュファクチャラー間の競争など、それらの質がものすごく高いこと。クルマそのものだけでなく、エンジン、タイヤなども含め、すばらしいチャンピオンシップだと感じた。最高だね。

──息子のジュリアーノ・アレジ選手の評価は?

アレジ氏:彼は(レーサーにとって)一番大切なパッションを持っている。ほかの皆と同じようにかけがえのない経験を積んでいるところだが、TOM'Sは彼にとって2つ目のファミリーと言えるようなとてもいいチームで、遠く海を隔てたところから見守っている僕としてはありがたいこと。(前戦で)ペナルティを受けたのは、それもレース経験ではあるけれど、僕にとってはいい気分ではなかったかな。ただスピードはいい感じだし、昨年は何回か勝っている。このチャンピオンシップは本当にタフで、同じグリッドに何人ものチャンピオン経験者が並ぶ、世界でもまれなレースだと思う。なので「ガンバレジでやろう」。