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ボルボ、7人乗り新型EV「EX90」世界初公開 まずは517PS/910Nmのツインモーターモデルから

2022年11月9日(現地時間) 発表

EX90

 ボルボは11月9日(現地時間)、7人乗りの新型電動SUV「EX90」を公開した。EX90は2023年からアメリカで生産され、その後中国でも生産される予定。

 また、EX90を皮切りにボルボは毎年1台ずつ新しいEV(電気自動車)を発表し、2030年までにEVのみの販売を目指すという電動化計画を進めている。これは、2040年までにクライメート・ニュートラルな企業になるという高い目標にとって極めて重要だとしている。

 ボルボ CEOのジム・ローワン氏は「ボルボEX90は、私たちが今いる場所と、これから向かう場所を示しています。1回の充電で最大600kmの航続距離を実現するEVであり、当社の安全基準をさらに高めるよう設計され、ソフトウェアによって真に定義される最初のボルボ車であり、お客さまの自宅やその他のデバイスに接続する、より広いエコシステムの一部でもあります。ボルボEX90は、さまざまな意味でボルボ・カーズにとって新しいことの始まりなのです」とコメントしている。

最初は517PS/910Nmのツインモーター搭載全輪駆動モデルをラインアップ

 EX90は機能が形をつくるという原則を定義しており、多用途でスタイリッシュなファミリーカーでありつつ、現代的なプロポーションを持ち、コアコンピューティング、コネクティビティ、電動化などの最先端技術と組み合わせて、安全性、効率、デザインを最適化している。

 EX90は自社開発の全く新しい完全なEV技術をベースに、持続可能な家族のライフスタイルを実現するための完璧なパートナーといい、WLTPテストサイクルによれば、1回の充電で最大600kmの排出ガスを出さない走行距離を実現し、30分以内に10%から80%まで充電することができる。

 最初に販売されるツインモーター全輪駆動モデルは、111kWhのバッテリと2つの永久磁石式電気モーターを搭載し、合計380kW(517PS)、910Nmのトルクを発生。新開発のシャシーとの組み合わせにより、スムーズで素晴らしいドライビングエクスペリエンスを実現するとした。

1回の充電で最大600kmのEV走行ができ、30分以内に10%から80%まで充電可能

 また、EX90の安全性はこれまでのどのボルボ車よりも高いものだといい、周囲の状況を理解し、ユーザーやその大切な人、さらにはそのまわりの人の安全を守るために設計。新しいデータから学習し、アップデートを受けることで、時間の経過とともにより賢く、より安全になっていくという。

 具体的には、カメラ、レーダー、LiDAR(ライダー)など、クルマの高性能コアコンピュータに接続される最新のセンシングテクノロジーを搭載し、NVIDIA DRIVEがボルボ・カーズの社内製ソフトウェアを実行して、リアルタイムに360度ビューを作り出すとしている。

カメラ、レーダー、LiDAR(ライダー)などを搭載

 このテクノロジーはドライバーのアクションがほんの少し遅れただけで反応し、対応するように設計されており、LiDARは昼も夜も、高速道路でも、目の前の道路を検知可能。数百m先の小さな物体も捉えることができ、情報提供や行動や回避のための時間をより多く生み出すことができるという。そして、このセンサーは、車線変更時の新しいステアリングサポートなど、運転支援機能パイロットアシストの信頼性と全体的な性能の向上にも寄与している。

 車内では、独自に開発したアルゴリズムによる特殊なセンサーとカメラで、視線の集中度を測定。この技術により、これまでのボルボ車では不可能だった、注意力散漫や眠気などの状態を把握することが可能となっている。また、万が一、運転中に居眠りや体調不良を起こした場合でも、安全に停止し、助けを呼ぶように設計されている。

 なお、LiDARを含む最新鋭のセンサーにより、EX90は将来の自動運転に対応するハードウェアを備えた最初のボルボ車となったとのこと。

 安全システムとAI用のNVIDIA DRIVEプラットフォームXavierとOrin、クアルコム・テクノロジーズのSnapdragon Cockpit Platforms、ボルボのエンジニアによる自社開発ソフトウェアを搭載したコアシステムは、安全システムやインフォテインメントからバッテリ管理まで、車内の中核機能のほとんどを動かすことで、車内での応答性が高まり、より楽しい体験ができるようになっている。

 Snapdragon Cockpit Platformsの最先端のコンピューティングパワーをEpic Gamesが開発し、世界最大のゲームのいくつかに使用されている3Dツール、Unreal Engineのビジュアライゼーション機能と組み合わせることにより、車載スクリーンとヘッドアップディスプレイに光速のコンピューティングパワーと高品質のグラフィックスを提供。

 14.5インチのセンタースクリーンのインフォメインメント・システムにはGoogleが組み込まれており、Googleアシスタントによるハンズフリー支援、Googleマップのナビゲーション、Google Playのお気に入りアプリなど、Googleのアプリやサービスがすべて使えるようになっている。EX90のディスプレイは、適切な情報を適切なタイミングで提供することで、道路から目を離さないようにサポート。また、EX90はワイヤレスのApple CarPlayに対応する予定としている。

EX90のインパネ
中央に設置される14.5インチのスクリーンにはGoogleが組み込まれる

 利用可能な場所では標準的な5G接続によって、必要なアプリケーションをホーム画面にインストールし、直感性の高いナビゲーションを楽しむことが簡単になった。また、ボルボ初となるドルビーアトモスを搭載し、ヘッドレスト一体型スピーカーで臨場感あふれるサウンドを実現した、25個のスピーカーを搭載する最高品質の新しいBowers&Wilkinsオーディオシステムで、お気に入りの音楽をストリーミング再生することもできる。

シート
Bowers&Wilkinsオーディオシステムを搭載

 EX90は単なる新車ではなく、車輪の上に乗った高度なコンピュータだといい、スマートフォンやノートPCと同じように、定期的な無線ソフトウェアアップデートによって、よりよいものになるように設計されているとした。

 ボルボEX90には、フォンキーテクノロジーも標準装備。スマートフォンがクルマのキーとなり、クルマに近づくと自動的にロックが解除され、パーソナルな出迎えシークエンスが開始される。また、クルマに乗り込むとパーソナルプロファイルが自動的に読み込まれる。

 これらのテクノロジーは、天然素材と責任ある方法で調達された素材を使った、快適でエレガントなカーインテリアに集約されている。そのインテリア構成は、2040年までに完全に循環するクライメート・ニュートラルな企業になるといった、サステナビリティを反映したものとなる。

 EX90には約15%の再生スチール、約25%の再生アルミニウム、そして48kgの再生プラスチックとバイオベース材料が使用されており、自動車に使用されるプラスチック全体の約15%に相当し、これまでのボルボ車で最高レベルとのこと。

 なお、EX90は、双方向充電に必要なハードウェアをすべて搭載したボルボ初のクルマで、クルマのバッテリを自宅やほかの電気機器、あるいは別のボルボのEVへの電力供給など、追加のエネルギー源として利用可能。将来的には、一部の市場から双方向充電を利用できるようにする予定とした。

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