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4年ぶりの東京モーターショーを「ジャパンモビリティショー」に変更した経緯を自工会 長田准委員長が語る
2022年11月19日 12:17
自工会 長田委員長、2019年の東京モーターショーを振り返る
自工会(日本自動車工業会)は11月18日、2023年に開催予定の東京モーターショー改め「ジャパンモビリティショー 2023」に関する概要説明会を開催した。説明会には、自工会 モーターショー委員会 委員長 長田准氏、同 理事・事務局長 髙橋信行氏が出席し、東京モーターショーをジャパンモビリティショーに変更した経緯などが語られた。
2023年に開催される東京モーターショーは、2022年5月の自工会会見によって「JAPANオールインダストリーショー」(仮称)へ変更されるとしていた。しかし、前日の自工会会見により「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」として開催されることに決定したことが発表された。今回の長田委員長の会見は、前日の会長会見を受けてのものになる。
長田委員長は、次回の東京モーターショーは2023年10月26日~11月5日に東京ビッグサイト全館(江東区有明)を中心に開催することを発表。100万人の来場者がより一層楽しめるイベントを目指すという。
長田委員長の会見は、2019年の前回開催の振り返りから始まった。
長田委員長による冒頭あいさつ
次回の開催概要を説明する前に、これまでのモーターショーを簡単に振り返りたいと思います。表にありますように、1991年には約200万人を超える来場者がありました。ところが残念ながら、2017年まで右肩下がりに来場者が減り続けました。このような状況の中であったので、モーターショーを魅力的なものに生まれ変わらせたい、そんな思いから2019年は来場者数100万人を目標として、自動車産業のみならず産業界のみなさまにも参加をいただいて、モビリティの未来を感じていただくような新生モーターショーとして、第一歩を踏み出しました。
映像の中にありましたように、自動車業界だけではなく、日本のさまざまな企業の最新技術が一同に結集し、少し先の未来のモビリティ体験をするフューチャーエキスポをはじめ、 1人でも多くのお客さまに楽しんでいただけるよう、さまざまなプログラムを実施いたしました。
特に、キッザニアさまとのコラボレーションでは、これまでモーターショーで見ることのなかった、多くのお子さまの笑顔を見ることができたと思います。そうした結果、たくさんの若者や女性、そしてファミリーのみなさまに大変多くお越しいたいただき、来場者数は130万人を上回りました。
そして2023年、東京モーターショーはジャパンモビリティショーへと生まれ変わります。なぜ、生まれ変わる必要があるのか、この変革に込めている思いをお話ししたいと思います。
先日、岸田総理と経団連でモビリティに関する懇談会の場がありました。そこで、モビリティ産業は、新しい資本主義の中軸の分野であり、さまざまな産業と広がりを持ってつながることで、経済成長につなげ、持続可能な社会を作っていくことをお互いに確認をしました。このように持続可能な社会を、私たちモビリティ産業がペースメーカーとなり、他産業のみなさまと一緒になって作っていきたいと考えております。
このほか、産業を含めたオールジャパンで作る、明るく楽しくワクワクする。日本の未来を1人でも多くのお客さまに体感をしていただきたい、モビリティで日本を元気にしたいと思っております。
この思いから2019年に新生モーターショーとして踏み出した歩みをさらに進め、モーターショーからジャパンモビリティショーへと変革をいたします。
さらに、一緒に未来を作る仲間はほかの産業だけではありません。ジャパンモビリティショーには、スタートアップのみなさんにもご参画をいただき、若い世代の力をも結集することで、もっと楽しく、もっとパワフルなショーにしたいと思います。
ここからは実施予定のコンテンツについて、簡単にお話しを申し上げたいと思います。新しい仲間も含めたオールジャパンで作る未来の日本、ジャパンモビリティショーのメインコンテンツがフューチャーモールです。
モビリティ産業だけではなく、スタートアップのみなさまも含めた日本の産業界すべての力を結集して、未来のモビリティ生活を体感いただけるモールを作っていきたいと思います。
2019年(のモーターショーで)実施したフューチャーエキスポからさらに仲間を増やし、ワクワクする日本の未来を感じていただけるコンテンツに進化をしていきたいと思います。
そのほかにも多くのお客さまにも楽しんでいただけるよう、さまざまなコンテンツを用意しております。東京オートサロンやCEATEC、スーパーカー協会とのみなさまと連携したプログラムや次世代モビリティの展示・体験はもちろん、ファミリーのお客さまにも楽しんでいただける、キッズコンテンツ。そして前回を上回る多くのお客さまに楽しんでいただけるよう、エンタテイメントコンテンツの充実を図っていきたいと思います。
会期は来年の10月25日から11月5日、メイン会場は東京ビッグサイトです。2年に1度の国民的イベント、さらには、世界最大級のモビリティの祭典を目指し、オールジャパンで日本を元気に、そして世界へと発信をしてまいりたいと思います。
メディアのみなさまにも日本を元気にする仲間として、ジャパンモビリティショーをどんどん発信していただけるようお願い申し上げたいと思います。
インダストリーショーからジャパンモビリティショーへ変更した背景
長田委員長のあいさつ後、質疑応答を実施。インダストリーショーからジャパンモビリティショーへ変更した背景、経団連で発足したモビリティ委員会との関連、前日の自工会会見で発表されたモビリティ産業の成長で1000万人規模となることとの関連などについての質問が行なわれた。
長田委員長は、インダストリーショーからジャパンモビリティショーへ変更した背景などについて次のように語った。
長田委員長:5月のタイミングで、オールジャパンインダストリーショー(仮称)という形で申し上げました。私ども自公会でも今は100年に1回の大変革期で、その変革期の中のオートモービル、いわゆる従来の自動車産業は新しくモビリティ産業になるんだということは、常ながら申し上げていました。
モビリティ産業になるということは、今の自動車産業のサプライヤーさんだけではなくて、いろんな方のインダストリーの方の力がないと、結集しないと、モビリティ産業には行けないという思いが強くあったものですから、5月のタイミングではそういうことを少し強調し、インダストリーショーという形で、仮の名称として申し上げていました。
一方で、アナウンスしてから「産業展みたいなことを自動車工業会でやる」とか、「従来のモーターショーはやるんだよね」という質問をいただいておりました。
あるいは、先ほど話のあった経団連にモビリティ委員会が立ち上がり、やはりこれが自動車をいろいろなインダストリーの方を含めて、新しいモビリティ産業を作っていくための経済界の受け皿として発足しました。やはり、そことしっかり合わせていくのだという思いも込めました。
もう1つ、われわれはBtoCで、BtoBではなくて。お客さま向けにショーをやるんだということを明確にするために、今回モビリティショーに名前を変更したのが1番大きなところです。
従いまして、(経団連の)モビリティ委員会の方とは、これから相談してまいりたいと思います。モビリティ委員会には約200社ぐらい参画しております。先ほど申し上げたフューチャーモールという形で出展する、モビリティをプレゼンテーションする場に一緒に参画をいただいて、未来の日本はこんな形になるよということを一緒に作り込んでいきたい。一緒になって仲間としてやっていきたいという思いも、これから相談しながらというのが今の率直な思いです。
2つ目の質問で、850万人の方というのは、自動車産業の550万人に加えて旅行業界の方など含めて、われわれで入れさせていただいたわけですけども、結果的にいろいろなインダストリーの方が、お客さまとか、あるいは地域社会をよくしていくためのコンテンツを一緒になって作っていくことをすれば、新たに雇用が150万人ぐらい生まれて1000万人になるという風に思っています。
この850万人を(将来的に)1000万人にするには、(DXなど多用した)こんな社会になるよ、そのための起点が今回のモビリティショーだとお考えいただくと、大変ありがたいなと思います。
長田委員長は、インダストリーショーでは産業向けというイメージがあったといい、お客さま向けにショーをやるのを明確にするために「ジャパンモビリティショー」に変更したという。また、前回の東京モーターショーで好評だった子供向けコンテンツの「Out of KidZania」については、同様のものを計画していることを示唆した。
確かに「Out of KidZania」では、ジェイテクトのトルセンデフの仕組みを理解できたり、スバルは本物のニュルブルクリンク24時間クラス優勝車でホイル交換できるなど、大人にとっても魅力的なコンテンツが一杯だった。
そのほか、ショー会場でのオンライン販売の検討や、音楽フェスの同時開催などさまざまなことを検討中とのこと。
長田委員長は、世界的にモーターショーの集客力低下が叫ばれている中、「ジャパンモビリティショー」と新たな価値を打ち出すことで新しいモビリティ産業のスタートにしたいという。そのために多くの人からの意見を聞きたいとし、記者会見に出席していたメディアに対しても協力を呼びかけた。