ニュース

トーヨータイヤ、同社初の欧州生産拠点「セルビア工場」開所式 セルビア共和国ヴチッチ大統領が出席

2022年12月14日(現地時間) 開催

左から駐セルビア特命全権大使の勝亦孝彦氏、TOYO TIREの清水隆史社長、セルビア共和国のアレクサンダル・ヴチッチ大統領

 TOYO TIRE(トーヨータイヤ)は12月14日(現地時間)、セルビア共和国のインジヤ市に建設した、自動車用タイヤを生産する新工場の開所式を実施した。開所式にはセルビア共和国のアレクサンダル・ヴチッチ大統領が出席し、だるまの目入れ、鏡開きなどの日本的な儀式でヴチッチ大統領の訪問を歓迎した。

 同社は、売上高の9割を占める主幹事業となる自動車用タイヤを日本、米国、マレーシア、中国で製造・販売してきたが、同社初の欧州生産拠点となるセルビア工場を新設。セルビア工場の生産体制については、2023年下期には年産約500万本(乗用車用タイヤ換算)を確立するとし、欧州地域での地産地消を進める一方で、同社の主力市場である北米も主要ターゲットとして既存工場のバックアップとなる位置付けとしてタイヤを供給していくという。

 新工場については2019年7月30日に新工場建設の決定が発表され、2020年12月15日に起工式を開催。すでに2022年7月より同社グループのトーヨータイヤセルビア(Toyo Tire Serbia d.o.o.)により運営され、一部、工場棟の建設、設備搬入を経て立上げを完了したラインでの操業を開始している。

セルビア共和国のアレクサンダル・ヴチッチ大統領からは、新工場からより多くの成果が出されることへの期待感が語られた。駐セルビア特命全権大使の勝亦孝彦氏からは、日本とセルビアの友好関係140周年であることに触れ、故安倍晋三首相の遺産となる現在の両国の協力関係について、これからも継続して協力していく考えが示された

 敷地内には、同国内最大規模となる発電電力容量8.4MWの太陽光発電システムを設置。年間10.15GWhの発電電力をまかない、同7100tのCO2の削減を果たすとしている。また、工場棟に隣接して直線距離720m、周回1690mとなるテストコースを敷設。テストコースで実車装着での走行テストを行ない、欧州地域で細かく定められている法規制認証に対応した評価をスピーディーに実施する体制も整えた。

開所式に登壇した清水隆史社長

 開所式に登壇した清水隆史社長は「すでに次世代モビリティへの変革が始まっており、世界に押し寄せるEV化の波とともに、タイヤに期待される役割もより難易度が高まってきています。2019年、ドイツに新設したR&Dセンターは、セルビア工場との連携によって付加価値の高い事業構造を実現していく、技術戦略上の重要拠点として位置づけています。最先端の材料技術によって開発したタイヤをセルビア工場で生産し、工場敷地内に設けたテストコースでの実証試験によって、変化の速いマーケットに対しても、ニーズの高い魅力ある商品をスピーディーに供給していきます。また、欧州地域での地産地消を進めることはもちろん、主力のアメリカ市場に向けた戦略的供給拠点としての機能をフルに発揮し、存在価値の高い工場に成長させていく考えです」と新工場の位置付けについて説明。

 セルビア共和国に新工場を建設したことに、清水社長は「さまざまな面で大きな意義を持つTOYO TIREの新工場をこの地に竣工し、事業を稼働させることができるに至ったのは、ヴチッチ大統領閣下をはじめとする、中央政府、州市行政の皆さまの当国の経済発展に対する並々ならない情熱に尽きると私は確信しております。セルビアは国として、質の高い労働力創出プログラムを打ち出しておられます。大統領閣下からは、当国の将来有望な人材の育成と確保に向けた支援のお話しを頂戴し、早速、当社からもセルビア国内の大学や研究機関とコンタクトを取り、当社の技術部門と共同で研究開発を行なうプロジェクトが始動したところです。このようにご期待とお力添えをいただいていることに感謝申しあげ、われわれもそうした力をお借りして、ぜひとも、立派な工場にしていきたいと思っています」と、セルビア共和国への感謝の気持と今後への意気込みが語られた。