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パナソニック、最大67%の省エネを実現するEV向けオーディオシステムを「CES2023」で発表

2023年1月4日(現地時間) 発表

Panasonic Automotive Systems Company of AmericaのAndrew Poliak CTO

 パナソニックグループは1月4日(現地時間)、米ラスベガスで開催している世界最大の技術見本市「CES2023」のプレスカンファレンスにおいて、同社の車載関連事業について説明した。

 新たな製品として発表したのが、EV(電気自動車)向けに開発したEVオーディオシステムである。EVのバッテリ消費量を減らするために、ドアスピーカーの廃止などスピーカーのサイズと数を減らすことで、最大67%の省エネを実現。スピーカーの設置場所の最適化やサウンドチューニングなどにより、音響性能を向上させたのが特徴だ。EVだけでなく既存の自動車にも搭載可能であり、車両のスペースや重量、出力、コスト面の改善によって、パナソニックグループが打ち出している長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」の実現にも貢献できる製品に位置付けている。

 プレスカンファレンスでは、Panasonic Automotive Systems Company of AmericaのAndrew Poliak CTOが説明を行ない、「米国人全体では年間910億時間を自動車の中で過ごしている計算になる。しかも自動車は未来においても不可欠な存在。そこでパナソニックグループは、パートナーとともにデザイン思考と革新的なエンジニアリング手法を用いて、自動車メーカーと車内での経験を向上させながら持続可能な未来に移行できるための取り組みを進めてきた。その1つがEVオーディオシステムになる」とし、「ここではコラボレーションが重要になる。品質を犠牲にすることなく、より効率的なオプションを設計できるように自動車デザインラボと協力した。目指したのはオーディオシステムの消費電力を減らし、材料のエネルギーと重量を減らし、最終的にはバッテリの航続距離を伸ばし、自動車の走行距離を伸ばすことである。新しいスピーカーデザインは、より電力効率の良いリスニング体験を実現しており、スペースを節約するスピーカー設計と、より効率的な配線によってスペース、重量、電力、コストの面で改善することができる。長時間のドライブでもリスナーの疲労を軽減することが証明されており、最高のエネルギー効率とオーディオ性能を兼ね備えている」と自信をみせた。

 快適な車内空間を実現するための2つめの取り組みが空気のリフレッシュだ。ここでは車内に持ち運んで利用できるポータブル空気清浄機「ナノイーX」を挙げ、「特許技術のナノイーXをポータブル車載製品として再設計し、どんな乗り物のカップホルダーにも収まるようにした。車内の臭いを消すだけでなく、ウイルス、細菌、カビ、アレルゲンを抑制し、より健康的で快適なドライブを実現することができる。EVの車内をよりクリーンな空気にし、家の外にあるセカンドスペース(=車内)を快適にできる」と述べた。

ポータブル空気清浄機「ナノイーX」

 そして3つめに挙げたのがAmazonとの共創の成果だ。パナソニックが提供する業界初の車載インフォテインメント(IVI)システム「SkipGen」のアップデートにより、Apple CarPlayやAlexaを使用中に「Hey Siri」および「Alexa」のどちらかのウエイクワードと言うだけで、SiriとAlexaに同時アクセスできるようになる。

 Amazon Smart VehiclesのArianne Walker チーフエバンジェリストは、「これはAmazonとパナソニックの史上初のコラボレーションになる。この統合はAmazonのAlexaと、AppleのSiriの音声エクスペリエンスを1つのシステムに組み合わせることで可能になる。利用者はiPhoneの機能やCarPlayに対してはHey Siriと呼びかけ、スマートホームや車両制御などにはAlexaと呼びかける。Amazonの優先事項はお客さまに選択肢と柔軟性を提供することである。パナソニックとの協力は、単一のデバイスで複数の音声APIを同時にサポートする業界初の例となる。音声の相互運用性は、複数の音声サービスへの同時アクセスを提供し、アンビエントインテリジェンスを拡張するというAmazonの幅広いビジョンの重要な柱になる」と述べた。

Amazon Smart VehiclesのArianne Walkerチーフエバンジェリスト

 一方、2022年10月に発表した米カンザス州の車載用円筒形リチウムイオン電池の新工場の建設についても言及した。同工場は、予定通り2022年11月から工場建設を開始し、2024年度中の生産開始を計画。車載用円筒形リチウムイオン電池「2170」を生産し、初期の生産能力は30GWhを予定している。

 これまでバッテリを供給していたテスラ以外にもバッテリを供給するマルチカスタマーサイトとして建設。12月には、新興EVメーカーであるLucidへの複数年におよぶ契約を結び、バッテリの供給を開始することを発表している。

米カンザス州の車載用円筒形リチウムイオン電池の新工場の建設についても言及

 Panasonic Energy of North AmericaのAllan Swanプレジデントは、「2030年までに米国の自動車販売の半分以上がEVになる可能性がある。それに伴い、大きなバッテリ需要が見込まれ、パナソニックが変化を生み出す大きなチャンスとなっている。カンザスシティの郊外に新しい生産施設を2022年11月から着工している。これにより生産能力は約60%増加し、急増するバッテリ需要に対応できるようになる。全米の自動車メーカーに対して供給することで、より持続可能な交通手段を消費者に選択肢として提供できるようになる。そして、パナソニックグループが取り組んでいるPanasonic GREEN IMPACTの実現にも貢献する」とした。

 また、ネバダ州の工場では毎秒66個のバッテリを生産し、1日あたり550万個を生産。これまでに生産したバッテリの総数は70億個を超え、約50万台のEVにバッテリを提供したことになるという。だが、「米国で登録されている自動車は約2億9000万台であり、この実績はごく一部に過ぎない」とも語った。

Panasonic Energy of North AmericaのAllan Swanプレジデント