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日産と日立ビルシステム、軽バッテリEV「サクラ」からエレベーターへの給電で14時間56分の連続稼働を実証

2023年4月12日 発表

日産自動車の軽バッテリEV(電気自動車)「サクラ」(手前)から給電する様子

 日産自動車と日立ビルシステムは4月12日、EV(電気自動車)からの給電で停電時のエレベーター利用を可能にするV2Xシステムの普及に向けた協創の第2弾の取り組みとして、軽バッテリEV「サクラ」からの給電で日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」を連続稼働させる実証実験を行ない、14時間56分の連続稼働を達成したと発表した。

 昨今、自然災害が頻発する中、その影響で停電が発生した際にも、社会生活を継続できるようにするための対策に注目が集まっており、高層ビル・マンションなどでは、停電時にエレベーターなどの共用部設備が使用できなくなる事態を回避するため、非常時電源として蓄電池などを整備する動きが進んでいるものの、導入コストなどが課題となっているという。

 このような背景のもと、日立ビルシステムは、EVの普及によってビルの非常時電源として活用できる可能性が広がっていくことを見据え、停電時にEVと建物をつなぐV2X技術により、EVからエレベーターなどのビル設備に給電を行ない、継続利用を可能とするシステムを開発し、実用化に向けて準備を進めている。

 今回の実証実験は、EVの電力を利用した給電可能最大時間までのエレベーター動作確認と、エレベーターの実稼働データ計測を目的に実施。バッテリ容量20kWhで、残量10%まで外部給電ができる軽EVのサクラと、日立標準型エレベーターのアーバンエース HFを使用し、6階建ての試験棟に設置されているエレベーターに実利用を想定した重りを搭載して、サクラからの給電で往復運転(停電時に使用する低速運転モード、1階と6階でドア開閉)を行ない、サクラのバッテリ残量が10%になるまでの、エレベーターの連続稼働時間と昇降回数、EVのバッテリ残量を測定した。

 実験開始から14時間56分が経過し、エレベーターの連続昇降回数が416回(往復)を数えた時点で、バッテリ残量10%に到達し、エレベーターは安全に休止。今回実験により、サクラからの給電で、約15時間エレベーターを連続稼働させられることを実証した。

 なお、バッテリ容量60kWhの「リーフe+」を用いて、外部給電が可能なバッテリ残量10%まで同条件でエレベーターの連続稼働を行なった場合の理論値は、連続昇降回数1248回(往復)、連続稼働時間44時間48分となるとしている。

 日立ビルシステムは、今回の実証実験結果を踏まえ、6月のV2Xシステムの販売開始に向け、詳細な仕様検討などを進めていくとともに、日産と日立ビルシステムは、V2Xシステムの普及に向け、今後も取り組みを推進していく。