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BMW、水素化植物油燃料「HVO100」を使った部品の試験輸送 従来の化石燃料ディーゼルと比べCO2排出量を最大90%削減

2023年4月19日(現地時間)発表

水素化植物油燃料を使った部品の試験輸送を開始

 BMWグループは4月19日(現地時間)、水素化植物油燃料を使った部品の試験輸送を開始したと発表した。

 この取り組みは再生可能ディーゼル燃料「HVO100」を使ったプロジェクトで、HVOとは「Hydrotreated Vegetable Oil(水素化植物油)」の略であり、名前にある「100」は従来のディーゼル車が純粋な再生可能燃料で100%走行可能であることを示す。

 プロジェクトはBMWのミュンヘン工場とその約120km北東にあるランダウ・アン・デア・イザールを結ぶルートを走行するトラックにHVO100を用いるもので、すでに2022年12月から物流業者のグッゲモス(GVトラックネット)のトラック4台で実施している。2023年3月からはトラックを6台追加してHVO100のテスト車両を拡大しており、追加分のトラックに関してはDBシェンカーが運営。トラックはミュンヘン北部のエヒング地区にあるBMWグループ・サプライ・センター間を走り、市街地の製造工場へ倉庫用部品を届ける。毎回の往復距離は少なくとも40kmになるという。

 HVO100は使用済み食用油を含むさまざまな廃棄物、残留物、再生可能原料から作られる。従来の化石燃料ディーゼルと比べ、油井から車輪まで(採掘から走行消費まで)のCO2排出量を最大90%削減する。HVO100を使った場合は燃料消費量が平均で約3%増加するものの、現在トラック10台が試験的に使用している燃料は、フィンランドのエネルギー企業ネステが製造する「Neste MY Renewable Diesel(ネステの再生可能ディーゼル)」として知られるもので、CO2排出量は従来のディーゼル燃料を使った場合と比べ、1年で最大800tを削減する見込みであることが示されている。また、HVO100では再生可能原料のみを使用し、植物油は水素との触媒反応によって炭化水素に変換される。HVOディーゼルは科学的にも製造プロセスとしてもバイオ・ディーゼルとは異なるという。

 加えてHVO100には大きな利点があるとし、車両やエンジンの改良が不要な点、任意の比率で化石燃料と混ぜて使うこともできる点、既存の燃料補給施設で供給することも可能である点が挙げられている。

再生可能ディーゼル燃料「HVO100」を使ったトラック

 なお、BMWグループでは輸送ロジスティクスに今回の新燃料を使って、日常業務で再生可能ディーゼルがどのように使用できるか、コスト効率がどの程度なのかを調査していくとしている。

グッゲモス(GVトラックネット)のトラックでは、エコロジー認証として「Ich tanke HVO100, um CO2 -Emissionen zu senken(CO2削減のため、HVO100を使用)」と記載した緑色のステッカーを掲げる