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新旧ダイハツ車ユーザーがスポーツ走行を楽しんだ「D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup 2023 筑波」

2023年5月13日 開催

筑波サーキット コース1000で開催された「D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup 2023 筑波」

 ダイハツ工業とSPKの共催となる「D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup」は、スポーツ走行初心者から上級者までのダイハツ車、ダイハツOEM車ユーザーに対して、気軽に安全にモータースポーツを楽しんでもらうための「サーキット走行イベント」だ。

 内容は車種やスポーツドライブテクニックのレベル別にクラス分けされた「D-SPORT Cup」というサーキット走行会と、完走すると「JAF 国内Bライセンス」取得の権利が得られる「DAIHATSU Challenge Cup」の併催となっている。

 D-SPORT Cupのクラス分けでは、コペンオーナー限定の「コペンエキスパートクラス」「コペンビギナークラス」がある。そのほかはダイハツの軽自動車ユーザー向けに「ターボクラス」「NAクラス」「レディースクラス」があり、前記以外のダイハツ車向けの「オープンクラス」が設定されている。

 そして、DAIHATSU Challenge Cupのクラス分けは、ダイハツのターボエンジン搭載車とNAエンジン搭載車で分けられ、「ダイチャレターボクラス」「ダイチャレNAクラス」の2クラスとなっている。

 また、ドライビングテクニック向上を目指す参加者に向けて、各クラスの走行の合間にはD-SPORT Racing Teamの殿村氏、相原氏によるドライビング講習も行なわれる。

エントリー受け付け早々「満員御礼」となった筑波大会。スポーツ走行初心者から上級者まで72組がエントリー

 5月13日の筑波サーキット コース1000で開催されたD-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup 2023 筑波。沖縄に続き今年2回目の開催となる今回は、4月7日の0時からエントリーの受け付けを始めたが、開始して間もなくすべての枠が埋まるほどの人気だったそうだ。争奪戦を勝ち抜いた72組の参加者の中には、今回がサーキット初走行という方も何名かいた。

 当日の朝はスタッフ、参加者が全員参加するドライバーズミーティングから始まる。ここでは主催者側のあいさつ、スタッフの紹介のほか、サーキット走行に関する注意点やルールなどが解説される。サーキット走行が初めてとなる参加者も多いD-SPORT&DAIHATSU Challenge Cupでは、注意点やルール説明に割く時間を長くとっているのが特徴だ。

朝はドライバーズミーティングから。スタッフ、参加者は全員参加の大事なもの

 ドライバーズミーティングでは主催者代表として、ダイハツ工業 コーポレート統括本部 DGR主査 兼 D-SPORT Racing Team代表の井出慶太氏があいさつ。井出氏は先日発表されたダイハツ工業の不正行為に触れ、ダイハツ車ユーザーである参加者に謝罪。そしてダイハツ工業として、徹底的な原因究明や再発防止策を進めることにより、1日でも早くユーザーからの信頼を取り戻せるよう務めていくと語った。

ダイハツ工業株式会社 コーポレート統括本部 DGR主査 兼D-SPORT Racing Team代表 井出慶太氏

 続けてSPK CUSPA営業本部 部長の柴正雄氏があいさつ。柴氏からは今回のイベントが無事開催できたことへの感謝のほか、午後から天候が崩れるという予報にも触れ、安全第一ということを参加者に伝えた。そして「イベント終了時には笑顔で“今日はよかったね”と言ってもらえることがわれわれにとって一番励みになり、うれしいことです」と結んだ。

株式会社SPK CUSPA営業本部 部長 柴正雄氏

 また、D-SPORT Racing Teamから殿村裕一氏と相原泰祐氏がゲストドライバーとして参加。個別走行アドバイスや同乗走行など、1日中参加者と交流していた。

D-SPORT Racing Teamの殿村裕一氏(左)と相原泰祐氏(右)

 数日前から天気予報に傘マークが出ていた5月13日の筑波サーキットだが、幸い午前中は雨の心配はないよう。D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cupは午前中にグループ分けしての練習走行があるので、ドライ路面の状態でサーキットに慣れることができるのは幸いだ。

 初回の練習走行では、ゲストドライバーの先導でコースインし、インラップを含めて2周にわたって隊列を組み、慣熟走行を行なう。その後、ピットレーンに入って一時停止。気持ちを整えてから再度コースインして、それぞれ練習走行に入るという流れ。

 クラス分けされているとはいえ、参加者ごとに速度差はあるし、速い人であってもずっと全力で走るわけがなく、クーリングのためにペースを落として周回することもある。そのため、コース内では「追い越し」というシーンが必ずあるのだが、ハイペースで走行するサーキットではこの追い越しは、正しい手順を踏まないと危険な状況を生んでしまうことにもなる。

 そこで、ドライバーズミーティングで「走行中にまわりの確認を徹底すること」「追いついた方は無用にせかさないこと」「抜かれる側は自車を寄せる方向にウインカーを出すこと」「コーナー区間ではなくストレート区間で譲るor抜くこと」というルールを設定。こうしたルールを設定するはビギナーにとっては安心感が増し、参加者全員にとっては危険を減らすことにつながるので、サーキットイベントの運営としてはとてもいいことだと言えるだろう。

最初は相原選手や殿村選手が先導車をドライブしての慣熟走行。コーナーは外から見るのと実際に走るのではかなり印象が違うこともあるので、ここでコースの感覚をつかむのは大事
ダイチャレターボクラスの練習走行
ダイチャレNAクラスの練習走行
コペンエキスパートおよび、ビギナークラスの練習走行
コペンは2クラス混走の練習走行となった
ターボ、NAクラスの練習走行
NA、レディース、オープンクラスの練習走行
追い越しシーンも多かったが、ルールは守られていたように見えた
K4-GP用のD-SPORT ミラ イースも混ざって走行。会場を盛り上げていた
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジに参戦するD-SPORT Racing TeamのコペンGRスポーツ。殿村氏の愛車だ
お昼の時間帯を使って希望者向けの個別アドバイスを実施。練習走行時の走りを殿村氏と相原氏がチェックし、そこで感じたことを個別にアドバイスするという濃いめのタメになるプログラム。ドラテクだけでなくセットアップについてもアドバイスしていた
予報どおり、お昼ごろになると雨が落ちてきた。あらかじめ分かっていただけに、このようにポップアップテントを持参する参加者は多かった。皆さん、場慣れしていますね
コペンビギナークラスにエントリーしていた逸見さんのコペンはなんとヒッチメンバー付きでミニトレーラーをひいていた
タイヤや工具、イスにテーブルなど余裕で運べる。それになにより洒落ている
こちらのグループはダイハツの従業員さん。しかもコペンの製造過程を見学できる「Copen Factory」でコペンを製造している方々だった。ドライバーはコペンエキスパートクラスに参加のマギさん
撤収時のマギさんのコペン GR SPORT。コペンのトランクは収納力が高いという話は聞いていたが、実際に見るとすごい。用具を入れた衣装ケース、イス、テーブル、ジャッキなどなどが余裕で収まる
午後の走行では抽選で当たった参加者のクルマに殿村氏、相原氏が乗って走らせ方やセットアップのアドバイスを行なった
午後はフルウエットのコンディションの中、D-SPORT Cup、DAIHATSU Challenge Cupともタイム計測が行なわれた。こちらはダイチャレターボクラスに参加した兵頭さんのソニカ
Copen Factoryのマギさんのコペン GR SPORTもタイムアタック。見事クラス優勝となった
ダイチャレNAクラスのウドンさんのハイゼット。走行中に外されていたアオリはパドックに置いてあった。そして帰るときはアオリを付けていた

参加者に聞いた「スポーツ走行の楽しみ方」

 ここからは4名のD-SPORT&DAIHATSU Challenge Cupの参加者にイベントの印象やスポーツ走行の魅力などを聞いてみたのでその内容を紹介していこう。まずはコペンエキスパートクラスのまぃまぃさんから。

コペンエキスパートクラスにエントリーのまぃまぃさん
太めのタイヤチョイスで迫力あるフォルムのL800Kコペンとなっていた

 スカラビュースブルーという色に塗られたコペンアクティブトップに乗る「まぃまぃ」さんは、小学生の頃にレーシングカートでレース(全日本ジュニア)に参戦していた経歴を持つ方で、現在は主に中部、関西エリアのサーキットでスポーツ走行を楽しみつつ、モータースポーツの魅力を伝えるためのYouTubeチャンネルを開設しているそうだ。

 D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cupのようなスポーツ走行は、一般公道では体験できない速度域でクルマを走らせることができることや、そうした状況であってもクルマの挙動を思うようにコントロールできたとき、大きな達成感が得られるのが魅力だという。なお、今シーズンは「KYOJO CUP」の第3戦、第4戦にスポット参戦することになっているとのこと。

ダイチャレターボクラスにエントリーのウルフィーGTIさん
新型ムーヴ キャンバスでエントリー。スポーツカーでなくても参加できるのがD-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup

 パドックでもコースでも目立っていたのがウルフィーGTIさんの新型ムーヴ キャンバス。以前はオプティに乗っていてD-SPORT CupやDAIHATSU Challenge Cupに参加していたそうだ。

 ムーヴ キャンバスは今年の1月に納車されたクルマで、サーキットを走らせるつもりはなかったそうだが、Twitterでこのイベントがあることを知った。そして「オプティだったら出たのにな~」と書き込みをしたところ、なんとD-SPORTのアカウントから「ムーヴ キャンバスでも参加できますよ」という返事が来たといい、それに背中を押されて参加を決めたとのこと。

 サーキットを走るにあたり、ダウンサスやアフターのリアスタビライザー、D-SPORT製のフロア補強パーツなどを組んでいる。タイヤは街乗り用なのでグリップレベルはそれなりだそうだが、そのぶんていねいに走らせることが面白いと言うことだった。グループごと(12台中)のタイムアタックではドライ路面で10位、ウエットでは9位のタイムをマークしていた。

ターボクラスにエントリーのサイさん
かわいらしいスタイルでいまも人気が高いミラ ジーノに乗る

 サイさんも以前はレーシングカートに乗っていた方。これまで乗っていたクルマはジムニーだったので、市販車でサーキットを走るのは初めてということ。ミラ ジーノで走った感想を聞いてみると、カートではギヤチェンジがないので、コーナーごとにギヤを変えることやステアリングの回し方(カートはステアリングの持ち替えがない)などが難しく、そして面白いとのこと。

 ただ、グリップ力に優れたタイヤ(ポテンザ RE-71R)を選んだので、軽量なミラジーノではコーナーでのロールが大きくなっているのが気になったという。この点については個別アドバイスのとき、殿村氏から「タイヤのグリップレベルを下げた方が練習になる」という指南を受けていた。

ダイチャレターボクラスにエントリーのスイセラさん
コペン GR SPORTの完成度の高さに満足しているという

 2022年の4月に納車されたコペン GR SPORTで参加のスイセラさん。以前はATの普通車(登録車)ばかり乗っていたが、乗り換えを考えたときに軽自動車に興味を持ったという。その理由としては小排気量ゆえに「無理することなくエンジンを高回転まで回しながら走れそう」ということから。そこで選んだクルマがMTのコペン GR SPORTだった。

 標準車ではなくGR SPORTを選んだ理由も伺ったところ、「スポーツ走行をするのにカスタマイズが必要になりそうだけど、GR SPORTであれば、自動車メーカーがスポーツ走行向けに仕立ててくれているので、クルマに信頼がおけるから」とのことだった。そうしたベース車に対して、自分好みのプラスアルファのカスタマイズを楽しんでいるという。

 サーキット走行はすでに何度か経験してきて、走るのが楽しくなっているそうだが、それでもやはり緊張感はある。そうした中、初心者でも安心して走れると聞いたダイチャレに興味を持ってエントリー。また、国内Bライセンス取得の権利が得られるというも魅力だったそうだ。

走行が終わってもお楽しみはまだまだ続く

 朝からたっぷりと走行できたD-SPORT&DAIHATSU Challenge Cup 筑波だが、夕方になり全車走行終了のアナウンスがパドックに流れてからも、各クラスの表彰式やさまざまな賞品がもらえるジャンケン大会が残っていて、最後の最後まで盛り上がりをみせた。

各クラスの表彰式。こちらはダイチャレターボクラス
ダイチャレNAクラスの表彰式
D-SPORT Cupの表彰式。こちらはコペンエキスパートクラス
コペンビギナークラスの表彰式
ターボクラスの表彰式
NAクラスの表彰式
レディースクラスの表彰式
主催および、協賛各社からの賞品がもらえるジャンケン大会。賞品はかなりの数が用意されていたので、もらえた人も多かったように見えた

 2023年の開催はあと2回。6月18日に静岡県の富士スピードウェイ ショートコース、8月19日は北海道の十勝スピードウェイとなっている。

 直近の富士スピードウェイ ショートコースのエントリー受け付けは5月19日からまさに始まったところで、もしかしたらすでに走行枠は埋まってしまっているかもしれないが、見学は可能なのでD-SPORT&DAIHATSU Challenge Cupに興味のある方は、富士スピードウェイに足を運んでみてはどうだろうか。

 十勝スピードウェイのエントリー開始日のアナウンスはまだないので、興味のある方はダイハツやD-SPORTのWebサイトをチェックしておこう。

最後に出展ブースを紹介。こちらはダイハツブース。ハイゼット トラックの荷台に設置できる荷箱を活用した移動販売パッケージ「Nibako(ニバコ)」を使用
ダイハツのモータースポーツヒストリーを紹介する展示をしていた
こちらはD-SPORTのNibako。D-SPORTグッズの販売を行なっていた
コペン セロのデモカーも展示
地元販社である茨城ダイハツ販売はコペン GR SPORTとロッキーを展示。また、当日に急遽トラブルが発生した参加者のクルマのフォローもしていた
ハイゼット デッキバンにアウトドアふうのカスタムを施して展示したHARD CARGO JAPAN
各タイヤメーカーも出展。こちらは横浜ゴム
TOYO TIRESはパーツメーカーのデモカーも展示していた
ダンロップブース。各ブースとも軽自動車サイズのタイヤを展示。このサイズを展示しているお店はあまりないので、実物を見たい人や担当者に質問したい人はそれを目当てに参加、もしくは見学にくるのもいいかもしれない